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22 宣言

 ブレイジア祭翌日。

アイザックを含むエムレーア王国の王子・王女たちが、再び王座の間へ集められていた。

前回同様、国王から秘密裏に呼び出されたリアンも王座の後ろで待機している。

国王が来るまで時間があるだろうと、王座の影から兄弟たちを覗き見てみる。


 第二王子エリックが不機嫌そうにアイザックを睨みつけているが、アイザックは涼しい顔で受け流していた。

その様子に第三王子二コラは苦笑し、第四王子ライオネルはオロオロしているようだ。

第四王女ナタリーは気まずそうに俯いてる。

どうして血の繋がった兄弟で、ここまで性格が違うのだろうか。

自分のことを棚に上げ、リアンは不思議に思うのだった。



 そんな収集の付かなかった空気も、国王アルバートの登場で引き締まる。

皆が膝をつき、アルバートの言葉を待った。


「ブレイジア祭での働き、大儀であった。」

国王の声が王座の間に響き渡る。

その言葉を聞き、満足気に頷く者、悔し気に顔をしかめる者、反応は様々だ。


「今日はお前たちに伝えねばならない事がある。国内での混乱を避けるため、王位継承争いに終止符を打つ事に決めた。」

その瞬間、王座の間に緊張が走る。

それはリアンも同様で、高鳴る鼓動を抑えつけ国王の次の言葉を待った。


「来年のブレイジア祭最終日。投票により皇太子を指名する。詳細は宰相から説明がある。」

それだけを告げ、アルバートは王座の間から姿を消してしまった。

嵐のような出来事に、王位継承者たちは呆然としている。

投票とは一体何のことだ。

皆の視線が宰相へ集まると、宰相はゴホンと咳ばらいをして説明を始めた。


 曰く、投票は国王を含む四大名家当主、国民、同盟国国主によって行われる。

四大名家当主はそれぞれ1票、国王は2票を持つそうだ。

国民はブレイジア祭開催期間中に投票所が設けられ、最も投票数が多かった者に2票。

同盟国については、アルビオン王国とフラメル公国の2国と同盟を結んでいるため、それぞれの国主が1票ずつ。

つまり、国王の2票、他の四大名家当主の3票、国民の2票、同盟国国主の2票の計9票のうち、最も多く獲得した者が皇太子になると言うことだ。


 単純で分かりやすい仕組みだが、後盾の弱いアイザックにとって厳しい戦いとなるのは間違いない。


 現状を考えれば、風の四大名家当主は第二王子エリックに投票するだろう。

さらに、教会の力を使って他の四大名家や国民票の獲得に乗り出すと思われる。


 第三王子二コラは、実母がフラメル公国出身であるため1票は固い。

またフラメル公国は金属資源が豊富で、四大名家とも取引が盛んだ。

それを安く融通するなどして、他の四大名家を取り込むことも可能だろう。

アルビオン王国を取り込もうとする可能性もある。


 対してアイザックはと言うと、神の薬事件や剣闘会で国民人気は高いが、確実に票が取れるとは言い難い。

それに四大名家からの票は絶望的だろう。

強いて言えば実姉が嫁いだアルビオン王国の票は期待できるが、これは明日からの訪問の結果次第だろうか。

とすれば、今回の訪問は非常に重要なものとなる。


 王子たちは一様に難しそうな顔をして考え込んでいた。

アイザックに目を向ければ、いつもの朗らかな表情ではなく険しい顔をしている。

リアンの初めて見る表情だ。

ここにいても自分に出来ることはないだろうと、リアンは王座の間を後にした。



 地下室へ戻り、明日からのアルビオン王国訪問に向けて装備を整える。

今年1年は、今まで以上に王位継承争いが激しくなるはずだ。

絶対にアイザックを守り切ると、誓いを新たにした。



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