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ど正論ヒーロー セイロンガー  作者: 月極典


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142/152

正論(142)ホークパレスへ


 深夜。五百旗頭邸からマンション『ホークパレス』に向かうセイロンガー、ブラックオウガ、そして水沢雪菜の姿があった。


 VVEIから追われる雪菜はキャップを被り、サングラスと白いマスクをつけている。芸能人の変装のようで逆に目立ちそうだ。その雪菜が言う。

「それにしても近いですよね。マンションと五百旗頭社長の家」

 水沢雪菜は管理職(VVEI東京征服本部怪人課、課長)であったため、現場に出ることは稀であった。

 

 五百旗頭邸を出て、左に進み、T字路を右折、次の曲がり角を左折すれば、もうマンションだ。徒歩3分といったところだろう。セイロンガーの部屋から五百旗頭邸の広大な敷地が見渡せるし、五百旗頭邸の庭からは11階建てのホークパレスが見える。

「こればかりは本当に奇遇なのです。あの場所、元々は広い庭のある古い廃洋館が建っていたのですが、老朽化が進んでいて……どうせならと、今のマンションを建てたのです」


 その時、曲がり角の電柱から女性の声が聞こえてきた。

「セイロンガーさん……」


「うわぁっと、びっくりしたぁ。なんでぇ、トゥルースリーパーズじゃねぇか! 普通に登場できねぇのか?」

 オウガが電柱を見ると黒装束のヒーローがヌッと現れていた。

 

「あの、シャドウトゥルーパーズです。私、先ほど任務でお会いしたサーティーンです」

 そのシャドウズは、セイロンガー邸の救出任務にあたったサーティーンであった。11階の壁を造作もなく素手でよじ登り、バルコニーから侵入した女性ヒーローだ。


「サーティーンさん、助太刀ありがとうございました。見事な戦いぶりでした。これから皆でマンションに向かいますが、お茶でもいかがですか?」

 深夜にもかかわらずお茶に誘うセイロンガー。


「いえ、任務中ですから。報告ですが、辺りに張りついたカメラマンにはすべて撤収してもらいました。警察官も数名警備してますので、ご安心ください。また、本日から2名体制でシャドウズがマンションの警備につきます」

 シャドウズの補充が行われるまで、2名体制の警備となるようだ。ちなみに本日、サーティーンは15時から23時までの8時間勤務(休憩1時間)である。夜勤シフトのメンバーとの引き継ぎを考えると、多少の残業となるが、もちろん、残業代はきちんと支払われる。


「そうですか。仕事を増やしてしまい、申し訳ありません。そうだ、ついてきてください」

 『ホークパレス』に到着してから、セイロンガーは、サーティーンをマンション入り口にある管理人室に案内した。正面玄関の自動ドアを開け、さらにオートロックの自動ドアの手前、左手に小窓の付いた部屋がある。

 

「これがマスターカードキーです。中には清掃道具の他に、仮眠が取れるスペース、テレビや電子レンジもありますから、休憩などに使ってください。それから……エミリー?」

 セイロンガーは管理人室の天井のスピーカーに向かって、統合AIエミリーを呼んだ。

『はい、マスター。お疲れ様です』


「このマンションの警備システム、主に監視カメラや施錠管理になりますが、彼女が24時間、一括で行っています。監視カメラはこちらのPCで確認できます。不明な点は彼女に聞いてください。もちろん、彼女を通じて私と連絡を取ることも可能です」


『マスター、先ほどのサーティーンさんの外壁登りは見事でした。しかし、彼女が可能であるなら敵も可能であると考えるべきでしょう。外壁の防犯システムについて、これからご相談したいのですが』


「エミリー、もう深夜だ。それについては、明日の移動中にでも話をしよう、すまんな」


『失礼しました。シャドウトゥルーパーズの皆さんのデータは五百旗頭社長からすでに拝領しています。サーティーンさん、いつでもエミリーと声をかけてください。今後とも宜しくお願いします』


「あっ、はい。よ、よろしくお願いします……」

 サーティーンは流暢なAIとのやり取りに慣れないのか、戸惑いながら挨拶を返した。


「それでは、行きましょう」

 これから、雪菜の自室に当面の荷物を取りに行き、シェアハウスと化すセイロンガー邸の部屋割りが行われる。


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