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ど正論ヒーロー セイロンガー  作者: 月極典


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135/154

正論(135)カツ丼


 五百旗頭邸の2階、リビングルームにセイロンガー、ブラックオウガ、ホワイトピーチ・マリンが入る。


 テレビの前のソファで水沢雪菜が報道番組を観ている。晩御飯を済ませ、風呂にも入った彼女は真佐江が用意したラフなスウェット姿だ。


「あっ、管理人さん! いやだ、私こんな格好で、すっぴんだし……」

 雪菜は立ち上がり、素顔を両手で隠し、恥ずかしがった。


「雪菜さん、本当に無事で良かったですね。安心しました。それと素顔なら、前に何度かゴミ捨ての時にお会いしているので、お気になさらず」


 そのやり取りを聞いたマリンが、鬼島に聞く。

「セイロンさんって、なんで管理人さんって呼ばれているんです?」

 

「あぁ、水沢ちゃんはあいつのマンションの入居者だからな。どっちかっつぅと『大家さん』が正しいと思うが、セイロンは管理業務で掃除とかもするから管理人さんってイメージらしいぞ?」


 セイロンガーとのやり取りを終えた雪菜は鬼島に向かって、

「オウガもマンション突入、カッコ良かったわ。あと、警察署から出てくる姿もダラダラ歩いてなくて良かった」


「だろ、惚れたか? 水沢ちゃんはすっぴんでも美人だぜ」

 鬼島は雪菜の肩に手を置き、照れる様子もなく言った。


「何言ってんの、馬鹿。で、こちらは……」

 雪菜は肩から鬼島の手を払い退け、マリンに手を向けた。


「水沢さん、初めまして。IHA東東京所属、白桃の微笑みホワイトピーチ・マリンです! 私、昔からオウガさんのファンやってます!」

 自己紹介ついでに、なぜか、オウガファンであることを雪菜に公言したマリン。

 

「……は?」

 雪菜は一瞬固まった。どう見ても20代の若い女性ヒーローが、オウガのファンなどあり得ない。オウガが格闘家として名を馳せていたのは20年以上前なのだ。それよりも、なぜ自分にアピールしたのか。


 しかし雪菜は、ここは気を取り直してきちんと挨拶をする。

「あ、すみません。私、元VVEIで怪人課の課長をしていました水沢雪菜です。オウガと一緒にこちらで保護してもらっています。マリンさんのお名前はかねがね。よろしくお願いします」


 真佐江が何だか楽しそうに間に入る。

「あらあら、なんだかややこしい感じになってるわねぇ。とにかくマリンちゃん、話は後にしてお風呂に入ってきたら? 大浴場にお湯張ってあるから」


「は〜い」

 マリンは階段を降りて大浴場に向かった。五百旗頭邸には、裏庭に面した場所にシャドウトゥルーパーズが使用する大浴場がある。


「みんな晩御飯まだよね? 今日はトンカツだから今から揚げるわね」

 真佐江の言葉にセイロンガーが答える。

「それは、ちょうどいい。真佐江さん、卵と玉ねぎ、それと麺つゆはありますか?」


「あるけど、どうするの?」


 セイロンガーは両手を広げ、片方で鬼島を指差して言った。

「鬼島にカツ丼を作ってやります。この男が警察署からカツ丼、カツ丼とうるさいものですから」


「マジか、セイロンちゃん。お前が作ってくれるのか?」


「あぁ、男やもめのガサツな手料理で良ければな」


「え〜、私も食べたい!」

 少し前にトンカツで晩御飯を済ませた真佐江と雪菜が揃って手を挙げた。

 

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