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ど正論ヒーロー セイロンガー  作者: 月極典


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131/154

正論(131)ナイトホーク


 米国、ロサンゼルスの高層ビルの屋上に、漆黒の装甲に身を包んだ男が立っている。

 

 シャープなボディに猛禽類を思わせるマスクは頭部全体を覆っている。背中からは大きく展開された翼状のユニットが伸び、羽毛のように見えるそのユニットは特殊硬化プラスチックの板を複雑に重ねられた構造となっている。

 腰にはアサルトライフルを下げている。しかし、重装備には見えない。


 男は腕に取り付けた端末で、なにやら映像を見ていた。


「……スター、マスター!」

 やはり漆黒のヒーロースーツに頭部まで身を包んだ男が声をかけた。いくぶんシンプルなスーツだが、やはり背中に羽状のユニットを背負っている。

「何を熱中してご覧になっているのです?」


 マスター(先生)と呼ばれた男は少し慌てたように端末を閉じた。

「オホン、熱中はしていない……マスク越しにわかるのか? 私はただ、日本の弟子トシオ・イオキベから送られてきた映像を確認していただけだ」


「あぁ、例の人質事件の。やはりマスターもジュニアのことは気になりますか?」

 ジュニアとはセイロンガーのことであろう。

そう、目の前のマスターと呼ばれる男こそ、米国の民間ヒーロー組織『New Hero Order (NHO)』の創始者で最初のヒーロー『ナイトホーク』その人である。


「……テリー、報告を」

 ナイトホークは不機嫌そうに報告を促して、息子セイロンガーのことには答えなかった。


「失礼しました」

 テリーと呼ばれたこの男はナイトホーク直属部隊『レイブンズ』のメンバーである。彼の後ろには9名の部隊員が控えている。同じヒーロースーツを纏っており、個人の区別はつかない。

 

 テリーが報告する。

「目の前のビル30階で合成麻薬及び合成鎮痛剤120kgが受け渡しされます。敵は約20、うち怪人は1、多くても2体と推測しています」

 

 ヴィラン組織VVEIグループの医療・製薬会社『ヴィヴァノール・ヘルスシステムズ』で極秘裏に製造された高品質の麻薬と鎮痛剤は、同じく国際物流会社『ルクレス・グローバル・ロジスティクス』を通じて米国内全域に配送される。

 VVEIの末端組織に受け渡されたそれらは売人やネットを通じて一般顧客へと販売され、最悪なことに、それらの中毒患者は『ヴィヴァノール・ヘルスシステムズ』系列の病院で治療されるという悪しき循環が出来上がっていた。


 ナイトホークはナイトヴィジョンを高感度サーモカメラへ切り替え、眼下、ビル30階のフロアに視点を定める。赤いシルエットが次々とフロアの奥から姿を現した。

「どうやらパーティが始まったらしい。怪人は……恐らくあのデカいのが1体だな」

 周りのシルエットの1.5倍はあろうか。通常の人間では考えにくいその巨体はまさしく怪人のそれであろう。


 ナイトホークが黒いアサルトライフルを構え、背中の飛行ユニットを大きく広げた。


 レイブンズのテリーが手で降下準備の合図を隊員に送り、自らも飛行ユニットを広げる。


 ナイトホークは振り返りレイブンズの準備が整ったと見るや、号令をかけた。

「Let’s get it on(さぁ始めよう)」

 漆黒の猛禽類の影がゆっくりと前に倒れ、夜の闇に溶けながら降下していった。

 

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