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君はあるがままに なるように  作者: 風神RED
第六章  元の鞘
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無礼講

カタリナ・マリア・バルヴィオーネ。正式には、今はバルヴィオーネ家の名前は捨てて、カッパーニ女侯爵とも呼ばれている彼女は、22歳。フィーネとは10歳も離れている腹違いの姉であった。


母親の影響か政治外交に長け、若いながら王国副宰相の地位にあると共に、王国の貴族全般を監視し、揉め事を解決する特務監察官でもある。


金髪の巻き毛に長身、やや丸みを帯びた体つきに、にこやかな笑みをたたえながらデスパレス冒険者ギルドの面々の前に姿を現した彼女は、胸の隙間から扇を取り出すと、口元に当てる。


「お久しぶりねぇ、フィーネちゃん。積もる話は、あ・と・で・・」


フリルの付いた薄ピンク色のドレスは、この場には似合わないものの、本人は気にする風もない。


「エミリアちゃんと、少しお話したいので、顔にかぶせた袋を取ってもらえるかしら? 」


一同、固まっている。各々(おのおの)の頭の中では様々な思念が渦巻いている。一体、この状況をどう説明すればよいのか。はたまた、これから一体何が起ころうというのか。何となれば王立冒険者ギルドのギルドマスターを縛り上げている、この現状を前にしては無理からぬこと。


(どうなる? )


考えても仕方がない。


バンドーは縛り上げたエミリアの顔にかぶせていた布袋を取ると共に、首に嵌めていた沈黙の首輪も外す。


「したたかにやられたようねエミリア。感想は・・? 」


カタリナ姫を見上げながら、苦笑交じりにエミリアはこたえる。


「面目次第も、ございません。恥ずかしながら、私の技量もハーフポート家の対魔兵サイレンスもものの役には立ちませんでした」


カタリナ姫は、それを聞きひとしきりうなずくと、一同に向き直る。いや、バンドーに歩み寄り、静かに頭を下げた。


「ごめんなさい、あなたを試しました」


(なん、だと・・? )


バンドーをはじめ、ここにいる一同にとっては思ってもいない言葉。


「だってねぇ。レイ様はフィーネちゃんをかまう風もないし、それどころかキスされた相手の下で戦争の真似事とか、この前はこの街の神殿ひとつ、王族魔法でぶち壊したって言うじゃない? 」


「あ、がっ・・」


何を言っているバンドー。一同の視線を集めるも、みんなこの場で問いただしてよいのか判断がつかず、ただただ沈黙。


そう、気まずい沈黙がひとしきり辺りに立ち込め、ややあってカタリナ姫が言葉を続ける。


「ちょっとどんな男なのか試してみようと思って、舞台用意してエミリアをけしかけたって訳。まさか自制するなんて、ねぇ。・・その点は評価が別れるところ()()()・・」


「仲間を呼び込んで冷静に対処するという備えがあるのだとすれば、合格だわ」


フィーネも固まっている。というか、もともとこの、歳の離れた義姉は苦手であり、しかも今回の騒動の原因がそもそも自分で、しかもバンドーに口付けされた過去をばらされるというおまけ付き。


「お・お・お・お義姉様! わた、わたしは・・」


そこで勢いよく、カタリナ姫が両手を叩く。後ろに控えていたのか、数名のメイド達が現れると応接間のテーブルの上に酒や料理を並べ始めた。


「まあでも、準備が無駄にならなくてよかったわ~。さあ、無礼講です。全てを水に流すパーティを始めましょう! 」


(くっ! なんなんだ? )


理屈ではカタリナ姫の言った言葉は判る。フィーネ姫の最近の振る舞いも全て事実。


「さあ、皆さん。飲んで食べて? 」


カタリナ・マリア・バルヴィオーネ、22歳。現カッパーニ女侯爵の身で、王国副宰相も務めるこの人は、母親の影響か政治外交に長け、王国の貴族全般を監視し、揉め事を解決する特務監察官でもある。


バンドーをはじめとする冒険者達にとって、言葉で抵抗するには荷が勝ち過ぎる。ここは彼女の流れに乗るしかない。何より、全てを水に流すと言っているのだから。


「ええい、くそ! みんな食おうぜ! 」


突然に降って湧いたパーティは夜明けまで続いた。











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