情報共有
一ヶ月後。
情報を共有するためエリーゼの部屋にエリーゼとリアーナ、アン、リンの四人が集まっていた。
「皆、集まったわね。まずは私から集めた情報を共有するわね。」
エリーゼは、緊迫した表情で話し始めた。
「まずは、あの方の身辺について。完璧に執務をこなし、多くの人へ気遣いもできる有能な王子というのが他者から見た多くの人の評価だわ。貴族、使用人含めてね。実際、社交界という場でも人当たりが良く、多くの新事業を立ち上げて成功させている実績があるから次期王の器に相応しいと噂されているわね。あと不思議なくらい社交の場では女性関係について、一切の噂がないのよね。」
それからエリーゼは少し声のボリュームを下げて続きを話す。
「ただまぁ詳しく調べたら、やはりと言うべきか、私達以外とも浮気をしていたわ。かなり色んな人へ手を出していて、妊娠したら少しのお金と脅しをかけて見捨てるという行為を繰り返していたわ。実際に妊娠して捨てられた人については、現在の行方を捜しているわ。他にも色々と知られざる情報が出てきたわ。カンナ様には感謝しないと…」
リアーナは、その情報に呆れた顔をみせる。
「何というか、浮気していたというのはもう驚かないわ。私達姉妹と同時進行で付き合っていた時点で、よっぽど自分に自信があって、浮気がバレないっていう圧倒的自信があることが分かるもの。改めて聞くと、かなりヤバい男に騙されていたのね、私達…」
「「はぁ~」」
二人は同時に深いため息をついた。
「次は私からの報告ね。何となく浮気が分かった時にあの方のお金周りに違和感を覚えたの。だから、そこから調べてみたわ。少々他の商会長へも協力を頼んでね。」
片目を閉じてウィンクし、底しれぬ恐ろしさをも感じさせる笑みを浮かべて話を続ける。
「あの方、水増し請求を業者と協力してやっておりますわ。大規模事業は、自らの欠点とならないように遅延なく行われているのですが、その裏で同時進行に進められている小・中規模の事業で確実にやっております。特に物資の品質や個数を最低限に落としていたり、人件費を実際より多めに申請して事業の進捗を数年遅くするという事を行っているわ。あの方と商会が手を組んでお金を作り、あの方の懐へ入る仕組みですわね。」
エリーゼ、アン、リンは予想以上に規模が大きく、しばらくの間少し遠くを見て、無心の顔になっていた。
「ふふっ、商人の端くれである私にかかれば、この程度の読み解きは朝飯前ですわ!」
リアーナは、怖い笑顔を貼り付けながら宣言した。
「何はともあれ、かなりの情報が出てきたわね。ただ、上手く揉み消されずに事を進められるのか…」
「お姉様、何を弱気なことを仰っておりますの。お姉様の人脈と私の交渉術、アンとリンのサポートを上手く使えば怖いものなしですわ!もちろん相手はこの国の王子ですから、やるからには徹底的にですけれどね!」
リアーナはなんだか楽しくなって来たようで、満面の笑顔だ。
「確かに、そうよね。なんか話がどんどん大きくなっている気がして気が弱くなっていたわ。ありがとう、リアーナ。」
こうして四人は情報を得て、今後どのように立ち振る舞うかを夜遅くまで話し合うのであった。




