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言霊|私が絶対に老いない理由

 言霊(ことだま)って本当にあるのかも。


 そう思うようになったのは、私に初めて言霊について教えてくれた小六の時の担任の影響だ。


「かくいう僕も実験を兼ねて『言霊に関する本を出す』と毎日言うようにしているんです」


 先生はその言葉どおり、作家になった。


 しかも今では作家業のかたわら、テレビや講演会に引っ張りだこの売れっ子だ。それも先生が日頃「もっと多くの人に言霊のすごさを広める」と口にしているからだと言う。


 それに加えて、その先生の教えを受けた当時のクラスメイトのうち、


「じゃあ、俺はプロ野球選手になる!」

「私は推しのアイドルと結婚する!」


 と言っていた二人も、大人になって見事にその夢を叶えた。


 逆に、


「そんなすごい夢叶うわけないじゃん」

「言うだけで叶うなら苦労しないよな~」


 と冷笑していたヤツらは、この間の同窓会で見た限り、最悪とまでは言わないが、夢のない人生を送っているようだった。


 どちらかと言うと、当時の私は彼らと同じ冷笑組。


 しかし言霊は信じていなかったものの、小学生の頃から口癖のように繰り返していた言葉ならある。


 それは『おばさんにはなりたくない』という言葉。


 自分で言うのもなんだけど、私は生まれつき美人で女としての恩恵を大いに受けてきた。


 だからこそ老いや忙しさに負けて、女でいられなくなるなんて耐えられない。そのための努力は惜しまないけど、年齢を重ねるにつれて、やっぱり徐々に肉体的な衰えを感じてきた。


 でも日々の努力に言霊をプラスすれば、小学校の頃の担任やクラスメイトたちが、それぞれの夢を叶えたように私もおばさんにならずに済むかも!


 言霊を取り入れるにあたって例の先生の本を読んだところ、『~したい』と希望する言葉よりも『する、なる』などと断言する形のほうが、より言霊が強く働くらしい。


 確かに「おばさんにはなりたくない」という言い方は曖昧だし、これからは「私はおばさんにならない」と断言するようにしてみよう!


 それから私は毎日鏡に向かって、朝晩五回ずつ「私はおばさんにならない」と宣言するようにした。


 やっぱり言霊はあるみたいで、私はこれ以上老いなくなった。




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■ 解説■

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 生物である以上どんなに努力しても老いは止められない。


 それなのに語り手は老いなくなった。


 それは語り手がおばさんになる前に亡くなったから。

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