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尊い命の活かし方|自殺者を減らす取り組み

『大切な命を捨ててしまう前に。あなたの尊い命の活かし方を、私たちに考えさせてくれませんか?』


 これは最近、テレビでもネットでも毎日のように目にするCMだ。


 私たちの国の自殺者は全体としては減少傾向にあるらしい。


 その一方で子どもや若者の自殺者は逆に増えており、若年層の死因の第一位も『自殺』となっているそうだ。


 これを憂いた政府は、これまで以上に自殺者を減らす取り組みに力を入れると発表。


 このCMもその一環で、連絡すると無料かつ親身に、その人が今後どうすればいいか一緒に考えてくれるそうだ。


 今までも似たような取り組みをしていたはずだけど、このCMが流れ始めてから三年、若年層の自殺者は確かに減少しているらしい。


 けれど、それは恐らく無料相談のおかげだけではない。


 この取り組みと同時期に長年上がる一方だった国民の税負担が少し下がったのだ。


 それは政府の新規事業が好調で、その利益が国民に還元されたからだという。


 その新規事業とは人工臓器の製造と販売。


 かなり難しい技術なので誰にでも適合するわけではないし、たくさん作れるわけじゃない。でも臓器提供を待つ人は世界中にいる。


 通常はいつ現れるか分からない提供者を待つしかない中、合法で人工臓器を手に入れられるとなれば、いくら払っても惜しくないという人も多く、大きな利益が出たようだ。


 税金が減れば生活も楽になり、今後はもっとよくなるかもと未来に希望が持てる。若年層の自殺者が減ったのは、そういう背景もあるかもしれない。


 政府はこの取り組みを続けるとともに、次は引きこもりなどの非労働者の減少にも力を入れていくと言う。


 いま我が国の政府は、かつてない頼りがいと実行力を見せている。


 けれど、その一方で行方不明者や失踪者はこれまでより増加しているそうだ。


 明るいニュースが増えてきた反面、暗いニュースは絶えないけど、少しずつ問題が解決されて国民が生きやすい世の中になればいいな。


 かくいう私も実は結婚できないまま四十歳になり、両親も亡くし、頼れる人もいなくて生活に困っている。


 実行する勇気はないけど、できれば死んでしまいたいと毎日のように思っている。


 自分の弱さを人に晒すことにずっと抵抗があった。


 でも例の取り組みによって自殺を思い止まる人が多いなら、私も思い切って相談してみようかな?




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■ 解説■

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 政府がこの取り組みをはじめてから、若年層の自殺者が減少したという。


 その一方で行方不明や失踪者は増加しているそうだ。


 だとすると『自殺』という名目ではないだけで、全体的には人が減っている。


 その理由は政府の新規事業にある。政府は人工臓器と偽って、相談者の臓器を奪って売り払っているのだ。


 どうせ捨てる命なら何かに活かせないかという考えから、この試みは始まった。


 しかしこの取り組みは今後、自殺するかもしれない人間だけでなく、様々な理由から働けないだけの非労働者にも及ぼうとしている。


 政府にとっての無駄をなくし、よりよい社会を実現するために。

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