大好きなオジサン|そのメールによって私は逮捕された
(『』内は母で【】内は私のメール)
母『今日病院で診てもらったんだけど、オジサンはもう長くないみたい。
病気とかじゃなくて年齢的な問題だから、諦めるしかないんだって。
病院に任せることもできると言われたけど、やっぱりオジサンも最期は自分の家で迎えたいだろうって、うちで看取ることにしたわ。
社会人になったばかりで、ただでさえ大変なアンタにショックを与えたくなかったけど、大好きなオジサンの死に目に会えないほうが嫌かなって連絡したの。
オジサンもアンタに会いたいと思うから、なるべく早く会いに来て』
私【ゴメン。おじさんのことは心配だけど、今すごく忙しい時期で仕事を休めそうにないんだ。
もしかしたらお通夜やお葬式にも出られないかも。おじさんには、すごくよくしてもらったのに本当にゴメン】
母『どういうこと?』
私【どういうことって?】
母『仕事が忙しいなら仕方ないね。電話だったらどう?
オジサン、最期にアンタにどうしても話したいことがあるんだって』
私【おじさんには悪いんだけど、実は私も今体調が悪くて正直こうして返信するのもキツイんだ。
でも仕事は休めないから、せめてそれ以外の時間は安静にさせて】
母『分かった。じゃあ、お大事に』
このやり取りが決め手となり、私は後日、警察に逮捕された。
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■ 解説■
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ひらがなで『おじさん』と表記している私に対し、母はなぜかカタカナで『オジサン』と書いている。
実は親の兄弟や中年の男性を示す『おじさん』ではなく、ふてぶてしい顔をした『オジサン』という名の飼い猫の話だからだ。
しかし私はその話題に対して、
「お通夜やお葬式には出られそうにない」
「おじさんには、すごくよくしてもらったのにゴメン」
と答えてしまった。これは明らかにオジサンを人間と誤解しての返事だ。
不審に思った母は反射的に「どういうこと?」と質問した後で考え直し、二つの罠を仕掛けた。
まずオジサンは猫なので話はできない。それを比喩としてスルーするとしても、本当に娘なら通話を躊躇う理由はない。
けれど『私』は母の仕掛けた罠に気付かず通話も拒否した。
メールの相手が娘に成り済ました別人だと確信した母は、警察に相談し後日、犯人である『私』が逮捕された。




