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魔王♂に転生したけど、勇者パーティの僧侶を推しています。~限界オタク女子、推し活ついでに魔界改革はじめました~  作者: アオ
第3章:選定の儀

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番外編:金色の勇者

 魔王は魔物たちの王様でした。

 血の様に真っ赤な長い髪に 鋭い爪。

 口には骨すら嚙み砕くほど強い牙を持っていました。

 魔王は人間の不安な気持ちや恐怖

 嫉妬や怒り、意地悪な心を食べることで生きてきました。


 魔王は人間の心を食べることで強くなり

 やがて、人間の国を襲うようになりました。


 空は暗くなり、雷が轟き

 世界はあっという間に真っ暗になりました。


 そんなとき、ある村に黄金のように輝く

 金色こんじきの髪をもって生まれた子どもがいました。

 その子どもはあっという間に大きくなり

 強くて優しい立派な男の子になりました。


 ある日、子どもはお父さんとお母さんに言いました。


「ぼくは魔王を倒すために生まれてきたんだ」


 子どもは勇者だったのです、

 人間たちが魔王に脅え、怖がることで魔王はどんどん強くなっていきます。

 そのことを子どもは知っていました。


「みんなが怖い思いをしているから、ぼくが魔王を倒します」

「しかし、魔王はとても強い。一人ではきっと勝てないだろう」


 お父さんはそう言い、うぅん、と唸りました。


「では、一緒に戦ってくれる仲間を探します」


 勇者はそう言い、どんと胸を叩きました。


「お前がそう言うならば信じよう」

「気を付けて、行ってくるんだよ」


 お父さんとお母さんは泣く泣く勇者を見送りました。


 最初の村で、勇者は“戦士”と出会いました。

 戦士は身の丈ほどもある大きな剣を背負い、勇者に言います。


「俺がいれば百人力だ。俺が魔王の足首を切り落としてやろう」


 自信たっぷりな言葉に、勇者も頷きました。


「それじゃあ一緒に魔王を倒しに行ってくれるかい」

「もちろんだとも」


 二人は更に仲間を探して旅に出ました。


 次に出会ったのは“魔法使い”でした。

 魔法使いは聖なる木から作ったという杖を持っていました。


「私がいれば百人力よ。私が魔王の両足を切り落としてあげるわ」


 魔法使いも自信たっぷりです。勇者は迷うことなく頷きました。


「それじゃあ一緒に魔王を倒しに行ってくれるかい」

「もちろん、良いわ」


 仲間が増え、三人になった勇者たちはまだまだ仲間を探して旅に出ます。


 次に出会ったのは“弓使い”でした。

 弓使いはユニコーンの鬣と樹齢三百年の大木から作ったという弓矢を持っていました。


「私がいれば百人力さ。私が魔王の両目を射貫いてあげよう」


 弓使いの力強い言葉に、勇者は頷きました。


「それじゃあ一緒に魔王を倒しに行ってくれるかい」

「もちろんさ」


 仲間が増え、四人になった勇者たちは最後の仲間を探して旅に出ます。


 最後に出会ったのは“僧侶”でした。

 僧侶は教会で生まれ育ち、神聖な力を持っていました。


「ぼくがいれば百人力だよ。ぼくが傷ついたみんなを癒してあげる」


 僧侶の優しい言葉に、勇者を頷きました。


「それじゃあ一緒に魔王を倒しに行ってくれるかい」

「もちろんだよ」


 こうして勇者は仲間を集め終え、魔王の住む魔界へと向かいました。

 魔界の空には分厚い雲が覆い、稲光が走り、どこもかしこもが薄暗い世界でした。

 たくさんの魔物と出会い、勇者たちは次々と倒して前へと進みます。


 一日が過ぎ、二日が過ぎ、一週間と三日経ったころ

 勇者たちはようやく、魔王の元へとやってきました。

 人間たちの心を食べて強くなった魔王は

 魔界へと入ってきた勇者たちに言います。


「今戻れば見逃そう。しかしそれ以上進むのならば容赦はしない」


 低くしゃがれた声は雷のようでした。


「人間たちは魔王が怖くて夜も眠れない。ぼくたちは不安な夜を終わらせにきた」


 勇者は怯まずにそう叫び、剣を構えます。


「引かぬと言うのならば、こちらも受けてたとう」


 こうして、勇者の剣と魔王の剣がぶつかり合いました。

 雷の轟音に混じって、ガキン、ガキン、と金属のぶつかり合う音が響きます。


「俺の剣で足首を切り落としてやる!」


 戦士がそう叫び、魔王の足首を切り付けます。


「それなら私は、魔法で手首を切り落としてやる!」


 魔法使いが魔法を魔王の手首に向かって放ちます。


「私は魔王の両目をこの弓矢で貫いてやろう!」


 弓使いはそう言って、弓矢をビュンと放ちました。


「ぎゃあああ」


 魔王は悲鳴をあげて倒れこみました。


「傷ついた人はぼくが治してあげるね」


 僧侶が温かな光で勇者たちを包みます。

 疲れも痛みも、うそのように消えてなくなり

 勇者は魔王に止めを刺すために駆け出しました。


「ぼくが魔王に止めを刺すんだ!」


 勇者は剣を大きく振りかぶり、魔王の首へと突き立てました。

 その様子はまるで、夜空を切り裂いたような月明かりのようでした。


「ぎゃあああっ」


 魔王はもう一度大きく悲鳴を上げると、ぱたりと倒れて動かなくなりました。


 魔王が倒れると、空を覆っていた雲は散り、陽の光が一筋、二筋と差し込んできました。

 嵐のような夜は過ぎ去り、眩しいほどの朝がやってきたのです。


「これで、誰もが安心して眠れる夜がくるね」


 勇者はそう言って、金色こんじきの髪を揺らして微笑みました。


 こうして勇者は仲間とともに魔王を倒すことができました。

 人間の世界に平和が戻り、勇者とその仲間は家族の元へと帰り幸せに暮らしましたとさ。


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