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【陽愛子編】 部室脱出パニック!! その4

 …………。


 ――あれから更に15分程経っただろうか? 未だに誰かが来る気配はない。さすがにずっと同じ体勢をしてるから腕が疲れてきた。

「う~……」

「大丈夫? 穣くん。やっぱり腕が限界なんじゃ」

「さすがにちょっとな。でも、変えたらどうなるか分からないし……」

「……ホントに疲れたら、私の上に乗ってもいいからね?」

「え!? それは流石に悪いって……」

「だって、じゃないと穣くんが苦しそうだもん。私は両手が少し動かせるからいいけど、穣くんはそれができないし……今は緊急事態だからしょうがないから」

「……優しいな、陽愛子は。じゃあ、どうしようもなくなったらそうさせてもらうぜ」

 ――驚いた。私の上に乗っていい……そんなことをしたら、当然身体が密着する。それを言いっていうなんて、普通は考えられないだろう。そう言ってくれるのは、陽愛子が俺をちゃんとした友達と認識してくれているからなんだろうか?

 ――こう距離が近いと、どうしてもいろんなことを考えてしまうな。

 故に、なるべく早くこの状況から抜け出さなければいけないだろう。


 …………。


 ――そして更に15分程。未だ人の気配はゼロ。これはそろそろ、強硬手段を考えるべきかもしれない。

「なあ、陽愛子」

「なぁに?」

「俺は、今から脱出するためにこんなことをやろうと思っているんだが、聞いてもらってもいいか?」

「え? いい作戦が思いついたの?」

「思いついたっていうか……これ以外思い浮かばないっていうか」

 簡単に言えば、力の限り俺が背中の器材を押し上げるから、そのスキに陽愛子は脱出し、誰でもいいから助けを呼んで器材をどかしてもらうっていう作戦だ。

「……危険じゃないかな?」

「確かに。でもこの状況がずーっと続くほうが、俺は危険だと思うんだ。色んな意味で」

「え?」

「いや、何でもない。危険かもしれないが、一回試してみたいんだ。俺の力じゃあ持ち上がらないって事もあるし……そうしたら、大人しくあきらめて助けを待つよ」

「……分かった。でも、ホントに無理はしないでね? 怪我、してほしくないから」

「ああ。――じゃあ、1,2の3で行くからな」

「うん!」

「行くぜ! ――1,2の3! うおおおおお~!!!」

 俺は掛け声と同時に、力の限り背中の器材を押し上げる。ガシャン、ガシャンとうるさく音が鳴り響くが、今のところ物が崩れ落ちてきたりはしていない。そして、人が通れるくらいのスペースが生まれる。

「行け、陽愛子。今のうちに脱出だ!」

「うん」

 陽愛子は素早くハイハイをし、部室のドアを開けた。よし、とりあえず陽愛子は抜け出せたぞ。後は、俺だ。

「すぐ呼んでくるから待っててね?」

「ああ。頼む」

 陽愛子はダッシュして助けを呼びに行った。

 ――火事場の底力って言葉は意外と嘘じゃないみたいだな。本気を出せば以外に持ち上げられるもんだ。もちろんここから自力で脱出はできそうもないが……。


 ――そしてその1分後に陽愛子は助けを呼んで来てくれ、俺も部室から脱出することができた。幸い二人とも怪我をすることはなかったが、言わずもがな部室はメチャクチャになってしまったので、その後の後片付けは大変だった。


 …………。


「ホントにごめんなさいね二人とも。これからは綺麗に部室を掃除するようにするわ」(テニス部部長)

「いや、大丈夫ですよ」

「そうです。部長が悪いわけじゃありませんから」

「それにしても、みのるんにあんなパワーがあるとは思わなかったわ、あたし」

「俺もあんなにたくさん背中に背負ってるとは思わなかった」

「でしょう? やっぱり、愛は異性を強くするってことなのかしら?」

「あ、愛?」

「やめてよ~、美希~!」

「あはは、ごめんね~。でも、とにかく無事でよかったわ」

「ホントにごめんね? 穣くん」

「だから謝らなくていいって。誰も悪くないんだからよ。な?」

「……うん」

「じゃあ、俺はこれで帰ります」

「陽愛子はどうする? 練習やっていく? 無理はしなくていいけれど」(部長)

「はい、やっていきます」

「そう。じゃあ、コートで待ってるからね」(部長)

「頑張れよ、陽愛子」

「うん!」

「じゃあね~みのるん。また明日~」


 ――非常に危ない思いはしたが、二人とも無事に脱出できて本当によかった。それに……また新しい陽愛子の一面を見れたな。

 良い思い出とは言い難いが、これはこれで、悪くない思い出になったかもしれない。


 …………。


【陽愛子サイド】


「頑張れよ、陽愛子」

「うん!」

「じゃあね~みのるん。また明日~」

「…………」

「ん? どうしたの? 陽愛子」

「ううん、何でもない」

「ホントに~?」

「ホントだよ。じゃあ、私着替えてくるね」

 穣くん、ありがとう。やっぱり、私にとって、穣くんはとっても大切な存在だ。これからも仲良くさせてもらいたいな。


 ……………………。


【陽愛子サイド 終わり】


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