【陽愛子編】 部室脱出パニック!! その2
…………。
「――本当にありがとう。ここだよ」
「おお、ついに到着。はぁ~」
「お疲れ様でした」
「これを中に入れればいいのか?」
「うん」
「入っても平気か?」
「うん、大丈夫だよ」
これがテニス部の部室か。部室というよりも、荷物置き場って感じだな。
「ごめんね、あんまり綺麗じゃないんだ」
「陽愛子が謝ることないだろう? これくらい普通だと思うぞ」
「そう? あ、じゃあそれを向こうに置いてもらって、もう一個を棚の上に置いてもらってもいいかな?」
「上だな? 分かった」
俺は陽愛子の言われた場所に、荷物をしまった。
「――よし、ミッションコンプリート」
「ホントにありがとう穣くん。とっても助かったよ」
「いいんでやんすよ。役に立ててよかったぜ。陽愛子はこの後部活だろう?」
「うん」
「じゃあ、俺はこれで帰るとするぜ」
「うん」
俺は部室から出ようと歩き始める。――が。
「うおっ!?」
足元に道具が落ちているのに気付かず、体勢を崩してしまう。
「み、穣くん!?」
それを見た陽愛子が俺を掴まえて支えようとしてくれた。だが……
「おおおっ!?」
「きゃああ!?」
俺の身体が大きく傾いた際に掴まえたため、逆に陽愛子が俺の方に引き寄せられる形になってしまった。
そしてそのまま、俺たちは転んでしまう。
――さらに運が悪いことに、その際に他の荷物や器材を巻き込んでしまい、俺たちの上にそれが傾いて倒れ込んできてしまった。
まずい、陽愛子の身体に当たったら怪我するぞ。そう思った俺は、急いで陽愛子との体勢を逆にした。
「み、穣くん!?」
――ガッシャーン!
……………………。
…………。
……。
――音は収まった、か?
「穣くん!? 大丈夫?」
「あ、ああ。何とかな」
てっきり俺の背中に器材がのしかかってくると思ったが、今のところ背中に負担はない。どうやら、器材同士がバランスを取り合っていて、その空間に俺たち二人がいるようだ。
「いや~、びっくりしたぜ」
「怪我とかしてない?」
「ああ、今のところは何ともないが……ここからとりあえず脱出したいな。ちょっと、器材を持ち上げられるか試してみる」
「う、うん」
「……よいっしょ」
背中に力を入れ、身体を浮き上がらせてみる……が。
「うわあ!?」
「み、穣くん?」
「ちょ、ちょっとキツイな。すごい絶妙なバランスで支えあってるみたいで、力加えたら俺たちに全部倒れてきそうだ」
「じゃ、じゃあ、誰かが来てくれないと、脱出できないかもしれないってこと?」
「そういうことになるかもな」
…………。




