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第69話 「護衛 依頼」

7万PVいきました。ありがとうございます。




 ドランさんとノイアさんに話を聞いた後、ギルドへと向かった。

 ギルドへと着くと、すでに準備が出来ていたのかギルド長のところへと案内された。

 偉い人に頻繁に会っていると目立つよね。今更なんだけど。

 ここに来るまでの道中、セナが記憶喪失についてアレコレ聞いてきた。

 いつも通り返しておいたけど。

 ただ、料理に関することで、思い出せているから作っていると伝えると「まだ隠された美味しい物が………?」とかブツブツ言っていた。大丈夫か?

 ついでにギルド長にもノイアさんと同じ事を聞いてみる。

 ギルド長の話も、大体はノイアさんと一緒だった。

 ただ、ルビーライト王国の第三王女については、


「国から各ギルドへと依頼があったから覚えておるよ。呪われた経緯は分からんが、第二王女であるカルメラ王女が発狂したのは第三王女が呪われてしまったからじゃよ。カルメラ王女は、第三王女であるサーシャ様を溺愛しておったしの」


 サーシャ、か。僕が鑑定で見た名前も確かその名前だったはずだ。


「そのお陰で、リカルデ王国の貴族との婚姻がなくなったしのう」

「………貴族との婚姻?」


 飲み物を口に運ぼうとしていた手が止まる。

 確か、僕が鑑定で見た第三王女は、8歳だったよな。

 御伽噺おとぎばなしや昔の話では、一人前になる前に婚姻して結婚が普通な時代があったと聞く。

 それこそ、前世でのロリコンだった友人の話が頭に浮かんだ。

 あれも平均寿命から見る割合としては、成人する前に結婚できるのは普通だと豪語ごうごしていたやつだ。

 ついこの間、エリィやクスノに言い寄られて返事を先延ばしにした時に、夢で思い出したやつだ。

 なんだろう…。

 年齢の………それも低年齢の話がわざとか!ってぐらい僕の周りにくるな。

 心なしか両側にいるエリィとクスノが僕の方を見上げている気がする。…気のせいじゃないわ。そこ、ほら!みたいな顔しない!


「そういったものは第一王女や第二王女が嫁ぐものでは?」

「うむ。元々、第一王女であるアイーシャ王女が嫁いで両国の関係を強固にする予定だったんじゃが、そのアイーシャ王女が嫁ぐ時に少々問題が出たようでの、ご破算になったと聞いておる。第二王女もレイラント神聖国の貴族に嫁ぐ話ではあったんじゃが、その前に発狂されてしまったからの」

「レイラント神聖国にも貴族っているんですか?」

「おるよ。あそこは、表向きは王族が国に関しての一番の権力を持っておるが、大陸全土に浸透しているアルファルディア教会の本部があるところでもあっての。教会の意向を無視できないんじゃよ。じゃから、サーシャ王女の呪いについては様々な憶測が飛び交っておる」

「なるほど」


 リカルデ王国のアイーシャ王女との関係がご破算になった貴族がうらみや腹いせにやったとか。

 呪いに関して詳しいレイラント神聖国が呪いをかけた後、呪いを解くことで恩を売り、関係を強固にしようとしたとか。

 逆にアイーシャ王女の件は、リカルデ王国とルビーライト王国の繋がりを強くしたくないレイラント神聖国やラースイット帝国がやった可能性もある。

 サーシャ王女の呪いも、ルビーライト王国とレイラント神聖国が強固に繋がることのないように仕組んだことかもしれないし、国内の誰かがやった可能性もある。

 まあ、考えられることは幾らでもありそうだな。

 考えても際限がないほどに。


「で、こっちルイズリーの町防衛と魔物の大量発生の報酬じゃ。確認してくれ」

「そういえば、あれから魔物の大量発生って続いているんですか?」

「いや、落ち着いておるよ。ここら辺はダンジョンがあるからか、周りに強い魔物や強力な個体が出ることはほとんどなくてのう。冒険者にとって無理をしなければ他の町に比べても危険は少ない初心者向けの町なんじゃよ。じゃから、シュウ殿達が居てくれてとても助かったんじゃ。本当にありがとう」

「いえ…お気になさらず。偶々(たまたま)近くに居ただけですから」


 それに、まだ確認しきれていないけど、もし魔物の大量発生の原因がダンジョンを攻略した所為だった場合、感謝されるどころじゃない。

 そもそも攻略したことすら言えないけどな。ダンジョンマスターは敵らしいし、ダンジョンテイマーってどう考えてもダンジョンマスターの親戚みたいなもんだろう。ダンジョンって付くクラスはそうないだろうしね。


「しかし、レイラント神聖国へと向かうのか。気をつけるのじゃぞ?あそこにはアルファルディア教会本部があるから、呪われた人や物が多く集まっておるのでな」

「へぇ、そうなんですか」


 ということは、呪われたダンジョンもいくつかありそうだな。

 何もない状態だったなら呪いを避けるべきなんだろうけど、今となっては呪いを気にすることがない。

 この大陸は、ルビーライト王国の東にある『森木』のダンジョンを攻略した。

 レイラント神聖国でもダンジョンを攻略していけば、拠点を確保することが出来る。

 ダンジョンワープというスキルは、今は僕一人の移動にしか使えないけど、攻略する数を増やせばエリィ達も一緒にワープできるかもしれない。

 持った以上は、出来る限りダンジョンの管理はしておきたしなー。

 ダンジョンボックスも定期的に大きくしておきたいし。

 既に、僕たちだけに限れば3年ぐらいは生きていけるぐらい食料に余裕があるけどね。

 段階的に収穫できるから引き篭もってもそれ以上暮らせるし。

 それに、ダールソンさんとアルファルディア教会のどっちが呪いに詳しいのかを知る良い切っ掛けかもね。

 ダールソンさんはここ100年ほど世俗とは関わっていないって聞いてるし。


「呪いは病気と同じで人に移るものもあるのでな」

「ええ、そこは十分に注意しますよ」


 僕は既に一番上の永級の呪いにかかっているから大丈夫ですよ。

 エリィとクスノも同じ永級、セナですら中級の呪い持ちだしな。

 逆に、僕達が他の人に呪いをうつさないように気をつけないと…。

 バレたら盗賊団の調査どころじゃなくなるしな。

 報酬を受け取り、退出する。

 ギルドを出ようとすると、シャロンさんが声をかけてきた。


「そういえば、シュウさん。最近、従魔をお見かけしませんが、どうかされましたか?」

「ああ、ガルですか?今はちょっと安全な場所に居てもらっているだけですよ。色々と目立ちますからね」

「その従魔の件なのですが、レイラント神聖国は従魔に特に厳しい国ですので、気を付けて下さいね」

「分かりました。ありがとうございます」


 ガルは当分『森木』のダンジョンの31階層のままだろう。未だに繭のままだし。

 シャロンさんに礼を言って、ギルドを出る。

 さて、次はゴルドーさんのところだな。

 サーシャ王女とその護衛を、もう一度『鑑定』で確認してみようか。


「それにしても、シュウさんが記憶喪失っていうのは知りませんでしたよー。で、次はどこへ行くんです?」

「お世話になった商人さんのところにね」

「商人さん、ですか?」

「町を探している時に、盗賊に襲われていたのを助けたんだよ。その後に、色々と知らない僕に教えてくれて、町まで連れて行ってくれた人なんだよ。最近は忙しくて顔を出せていなかったからね」

「へぇーそうなんですかー!」

「エリィは、そのゴルドー商会から引き取ったんだ」


 始めは男の子だと勘違いしてたけどな。


「いらっしゃいませ!本日はどのようなご用件でしょうか?」


 店へと入ると、店員さんが迎えに出てきた。

 前に出迎えてくれた男の人ではなく、女の人だった。

 自分の名前を告げて、ゴルドーさんをお願いするとすぐに出てきた。


「おお!お久しぶりですね、シュウ殿。本日はどういったご用件でしょう?」

「お久しぶりです。ちょっとレイラント神聖国へと向かうのであいさつを。それと、ちょっと取り寄せて頂きたいものがいくつかありまして」

「レイラント神聖国へ…?あ、いえ。取り寄せたい物はどういったものでしょう?」

「それはですね…」


 予定していたセナが使う鍛冶用の窯や金床などを頼んでおく。

 セナに話に聞いてみると、セナたちドワーフは基本的に手先が器用で金属を扱うものが主らしい。

 木工なども仕事としてはやっているが、どちらかというと金属を扱う方が得意なんだとか。

 ただ、そのドワーフごとに没頭していく分野が違うらしい。

 単純に好みやりたいと思えるものが違うだけらしいけど。

 セナは、父親であるガシューさんの影響で武器や刃物を作っていたらしい。

 本人の好みで言えば、刃物や武器より生活用品の方が作ってみたいとか。

 ここに来るまでの準備で、この後ゴルドーさんの娘さんに渡す物を作らせてみたら、そっちの方にえらく興味を示したしな。

 他にもゴルドーさんにいくつか物を頼んでおく。その時に頼んだ物のお金を全額渡しておく。

 ただ、僕達がいつ頃レイラント神聖国から戻るかも分からないので、その場合に別で遣いを出すことを言付けておく。

 スケルトン達に受け取りに行かせれば良いだろう。受け取るだけならバレないと思う。

 ダメそうならレイラント神聖国でダンジョンを一つ急いで攻略すれば、ワープして受け取りに来たら良いし。


「そういえば、奥さんやお子さんはお元気ですか?最近、魔物の大量発生とかありましたし」

「ええ、妻も子供も元気ですよ。町の噂でお聞きしましたが、シュウさんたちが町を守るのにかなり貢献したとか」

「いやー、偶々(たまたま)ですよ。その時に丁度この町にいたものですから」

「それでも町を救ってくれたのには違いはありません。この町に住む者として、改めて感謝を。ありがとうございます」


 こういうのはちょっとくすぐったい。

 単純に褒められ慣れていないからかもしれないけど。


「あーそれで、ですね。こういった遊び道具を暇潰しに作ったので、お子さんにどうかと思いまして」


 そう言って、準備中に作ったものをダンジョンボックスから取り出して渡す。

 木でできた形だけで言えばハンマーの先端に針が突き出ているような十字型のシルエットのいただきに赤い玉が輝き、十字の交わりから糸で繋がっている。

 そして、左右と底の部分に玉を乗せるためのへこみがある。

 所謂いわゆる、けん玉というやつだ。

 確か、祖父さんが好きだったんだよな、コレ。

 祖父さんは…なんというか遊びの達人みたいな人だった。

 座右の銘が、「人生楽しんだもん勝ち」で、とても豪快で寛容な人だったな。


「あの、これはどのように遊ぶのですか?」


 手渡されたゴルドーさんが、結局どうやって遊ぶのか分からずに聞いてくる。

 そりゃ、初めて見た人には分からないよな。

 ゴルドーさんからけん玉を受け取り、目の前でやってみせる。

 玉を垂らしてコン、コンとリズミカルに大皿、中皿と呼ばれる凹みへと、玉を空中へと上げては皿へと乗せてゆく。

 それを数度繰り返して、最後に玉に空いている穴をけん先へと迎え入れて終わる。


「と、まあ、このように遊ぶ物なのですが」

「…なるほど」


 と、遊び終えたけん玉をゴルドーさんに再び渡すと、僕がやっていたように遊び始める。


「よっ!ほっ!っと、これは、見た目以上に!難しいですね…!」


 かなり気に入ってくれたようだ。

 けん玉の良い所はあまり場所を必要としないことか。


「シュウさん!これを商品としてうちの商会で売り出したいのですが…!!」

「ええ、良いですよ」


 ただ、綺麗な球体を作るのは難しいから、商品にし辛いかも、とは言っておいた。

 ゴルドーさんは売り出すに当り、売り上げの何%を僕に渡すかを提示してくれた。

 それを、何かの取り寄せをお願いする時にその金額から引いてもらえるようにお願いしておいた。

 僕は住所不定だもんな。ダンジョンで暮らしているのは人には話せないしなー。

 お金も余っているし、拠点を買うことも検討しようかな。

 ついでにコマも教えておいた。

 こちらは、木を削ったもの以外にも、丸く切った厚紙の中心に爪楊枝つまようじを刺すだけでもできるしな。

 他にもドングリのような木の実に刺したりでも作れる。

 ただ、こっちの世界では、厚紙じゃなくても魔物の素材でそういう風に使えそうな素材があるんだそうだ。

 そこら辺は、ゴルドーさんに任せよう。


「ありがとうございます、シュウさん」

「いえ、暇潰しで作った物ですし、僕の故郷にあった物ですから」

「記憶が戻ったのですか?」

「少しだけですけどね」

「そうですか。それはおめでとうございます」

「ありがとうございます」


 思い出せたのは、嘘じゃないし。


「………こんなにも良くしていただいたシュウ殿に、こんなことを頼むのは心苦しいのですが、その腕を見込んで一つ依頼をお願いしたいのですが」

「依頼、ですか?」

「はい。ギルドを通す正式な依頼です。扱いとしては指名依頼になるでしょうか」


 指名依頼。

 冒険者ギルドランクの銀級シルバーだか以上で入ってくるっていうやつだっけ。

 僕は受けたくなくてランクを上げるのを断っているけど。


「はあ。どういった依頼でしょうか」

「先程、シュウ殿はレイラント神聖国へと向かうと仰られました。急な話で申し訳ないのですが、できれば私の家族と商隊を、レイラント神聖国の首都まで護衛をお願いしたいのです」




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