表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/79

第67話 「ドランさん と ノイアさん」




「シュウ様、こちらは準備できました」

「よし、ギルドに行こうか」


 お昼頃、ダンジョンを出てルイズリーの町へと向かう。今回は少し走っていく。

 この2日間、レイラント神聖国へ行く準備をしておいた。

 具体的には、他のダンジョンへとワープして、新しく作物や果物を育てたり、収穫したりしてダンジョンボックスへと貯蓄しておいた。

 今回は、『蓄輪ちくりん』のダンジョン内にある木の溜め池に、実験的に魚を放っておいた。もし、うまく育つなら生簀いけすとして活用しようと思う。

 そのついでに、改めてフロアや部屋を拡張したり、部屋の配置や罠を変えておく。

 人は今まで来たことないけど、魔物は何体か入ってきたみだいだしね。

 ダンジョンのことで気になることもあるし、レイラント神聖国のことが終わったら、自分の管理するダンジョンへと戻るついでに、シグとダールソンさんに会いに行こうかな。

 ダールソンさんには、何かお土産でも持っていこうか。かなりお世話になったし。

 シグは………何も持っていかないだけで、扱いの比較で身悶える姿が目に浮かぶ。うん、何も持っていかなくても良いか。最悪、ブランチュウを何匹か連れて行って枝のような針でも味わわせておけば大丈夫だろう。

 正直なところ、会いたくはないが。

 セナには、僕がダンジョンテイマーというのは話していない。関わって数日しか経っていないっていうのもあるけど、ダンジョンを従える者は敵視されているみたいだしなー。

 多分、話しても問題ないとは思うけどね。

 ルイズリーの町で、色々と準備をしてからレイラント神聖国へと向かうつもりだ。


「これ、シュウ様に聞いて作ってみた」

「おおっ、ありがと」


 隣で走っていたクスノが、クッキーを差し出してきた。

 クッキーを差し出してきたクスノの隣に、カリカリとクッキーを頬張っているセナがいる。

 その姿は、まるでリスかハムスターのように頬がふくれている。


「そんなに急いで食べると、喉詰まらせるよ。はい、飲み物」

「…んぐっ、んぐっ、んぐっ!………っぷはぁ!!」

「別に誰も取らないから、もう少し落ち着いて食べなよ…」

「いやー、おいしくてつい!」


 ただでさえ口に目一杯含んでいるのに、走っているから見ているだけでも喉に詰まらせそうで危なっかしい。

 エリィやクスノに言わせれば、僕が再現しようとしている日本の料理やお菓子は、相当美味しいらしい。

 セナと違ってエリィやクスノは、奴隷だったのもあるにしても大げさ…じゃあないんだろうな。

 実際こっちの料理を食べても、当たりと思える料理に出会えるのはかなり少ない印象だしなー。

 貴族や王族がどんなものを食べているかは分からないし、おいしいのかも分からないけど、シグのところで出されたものは美味しかったなー。

 やっぱりあの屋敷に居たスケルトンの「クラス:コック」っていうのが、料理の美味しさに補正がかかるんだろうか。

 それも館に行ったら聞いてみるか。


「はむっ!…んー!!美味しい!!」


 ようやくセナも落ち着いて食べ始めた。走っているのに落ち着いて食べるっていうのも意味が分からないけど。

 森を出て、ルイズリーの町を囲う石壁が見えてきた。

 衛兵にギルドカードを見せて、冒険者ギルドへと向かう。

 その途中、声をかけられた。


「ぬ、久しぶりだぬ」


 声の方向を確認すると、2mほどもある偉丈夫が立っていた。


「ああ、お久しぶりです」


 誰かと思えば、ドランさんじゃないか。

 相変わらず語尾に「ぬ」がついているんだな。


「今日はどうされたんです?今から依頼ですか?」

「いや、違うぬ。今日は…」

「ドラン?どうしたの?」


 僕たちが話していると、ドランさんの後ろから一人の女性が出てきた。

 年の頃はドランさんと同じぐらいで、身長は僕より少し低いぐらい。栗色の髪をポニーテールにして後ろに垂らしている。

 この世界の女性にしては身長が高いからか、身長との比率にしても胸は結構大きい気がする。


「痛っ!」


 突然、左脇腹をつねられた。

 そちらへと顔を向けると、少しだけムッとした表情をしたクスノが立っていた。

 胸に見とれていたわけじゃないんだけど。


「ノイアぬ。こちらはシュウ殿だぬ」

「ああ、ドランが言っていた面白い子って、この子のことだったのね。はじめまして、シュウ君…で良いのかな?私はノイアよ」

「はじめまして、ノイアさん。シュウです。で、こっちが…」

「エリィです。よろしくお願いします。ノイアさん」

「クスノ。よろしく」

「どもどもー!セナです!よろしくお願いしますね、ノイアさん」

「よろしくね」


 女性陣は、早くも仲良くなってあれこれ話をしているようだ。


「あの…ノイアさんは、ドランさんの恋人ですか?」

「えっ!?そ、そんなんじゃなくって…!」

「でもでも…」


 うん。仲良く喋っているみたい。


「それでドランさんは何を?」

「先日ぬ、この町の防衛に参加したからぬ、今日は休息日にしているんだぬ。そろそろ遠出もしようと思っていたからぬ、準備の為に買出ししている所だぬ」

「遠出?この町を離れるんですか?」

「ちょっと東の港町に用があるんだぬ」

「へえ、港町ですか」


 それはそれで興味があるな。

 海の幸にはまだ出会っていなかったし。


「この町の周りにも魔物の大量発生があったがぬ、最近ぬ、東の港町でもおこっているらしくてぬ。仲間の一人がぬ、その町の出身だから様子見を兼ねているんだぬ」


 最近…ってことは、僕がダンジョンを攻略したこととは関係ない………のかな?

 そこの調査も含めて、クロウでも放っておいた方が良いかもしれないな。

 魔物とはいえ、配下相手なら会話できるスキルとかあると楽なんだろうけどなー。

 今は上空から見たものを、文字を覚えさせたスケルトンに伝えさせて、書き出してもらう。そして、それを僕が会話で確認する。っていう形になっているしな。

 喋れる魔物もいるらしいけどな。ドラゴンとか100年単位で生きてる魔物は喋れる個体がいるとかシグが言ってたっけ。

 というか、分類上はダールソンさんも魔物扱いか。

 人間からエルダーリッチになってるぐらいだし。


「そうですね。この町の周りをある程度掃除したとはいえ、他にも変化や強い個体がいるかもしれないので、気をつけて下さい」

「ありがとうぬ。シュウ殿も気をつけるぬ。ところでぬ、シュウ殿はどうしたんだぬ?この間の防衛戦でぬ、シュウ殿たちの活躍はギルド長から聞いているぬ」

「ああ、ちょっとそのことでお聞きしたいことがあるんです。レイラント神聖国へと行こうと思うんですけど、最近何か変わったことってきいたことありませんか?あんまり国家間の話って知らないもので」

「それならノイアに聞くと良いぬ。私よりよっぽど詳しいぬ。ノイアーぬ」


 人の名前を言うと、必ず「ぬ」が語尾に付くのか。

 ノイアさんだとノイアぬさん。

 なるほど。人の名前が正確に言えないっていうのは、人間関係でこじれる可能性がある。そういう意味ではやっぱり呪いなんだろうな。

 名前によっては呼ばれたくない人もいるだろうし。


「はいはーい!ちょっとゴメンね?この話の続きはまた今度ね。で、何、ドラン?」

「シュウ殿がレイラント神聖国へと行きたいらしいぬ。国家間の話はノイアの方が詳しいからぬ。少し教えてあげてほしいぬ」

「良いわよ。んー、と言っても具体的に聞きたい部分とかはあるかしら?」

「そうですね。国家間どころか、この国自体のこともそんなに知らないので………このルビーライト王国との関係の善し悪しでも聞かせていただけると」

「そうねぇ。今ちょっと時間ある?結構、話がなくなるからお茶しながらでも良いかしら?」

「はい、僕は構いません。エリィたちも良いかい?」

「はい、大丈夫です」

「大丈夫」

「良いですよー!」





 近くの店へと入り、それぞれ飲み物を頼む。


「それで、レイラント神聖国についてだったわよね?」

「はい。噂では人間至上主義だとか」

「そうね。うちのパーティメンバーの中にも獣人の人がいるんだけど、以前レイラントへ行ったときは大変だったのよ。国境を越える時に揉めて、町や村によっては入れてくれないところもあったのよ」

「あの時は大変だったぬ。獣人が人間のために働くのは当然だとぬ、依頼料を払うのを拒んできたやつもいたぬ」

「だから、シュウ君がレイラントへと向かうのに問題はないわ。ただ…」

「エリィやクスノ、セナの場合は、そういった問題が起こりやすい…と?」

「間違いなく問題が起こるわ。シュウ君が、なんのためにレイラント神聖国へと向かうかは分からないけれど、個人的にはあまりオススメはしないわ」

「そうですか…」


 正直なところ、盗賊団『蛇の牙』とつながっていたであろう人物なり団体なりを放っておいたところで、今すぐ僕たちへと害のある行動を起こされるわけではない。

 ただなあ………将来的にほぼ間違いなく害になる行動を起こしてくるんだろうなー。

 後はまあ、王女とその護衛にあんな呪いをかけて盗賊団に襲わせたやつのことだ。きっとろくでもないやつに違いない。個人的には、そんなろくでもないやつに邪魔されるのは嫌ではある。


「ルビーライト王国について、聞いても良いですか?」

「この国の?」

「はい。僕は目覚めた時には記憶がなくて、森の中の親切な人に生活に困らない程度に知識を教えてもらっただけなので、この国のこともまともに知らないんですよ」


 記憶がなくて、の辺りでセナが「えっ!?」と言ったけど、気にしない。というかそこは説明してなかったっけ。


「だから、ルビーライト王国の現状と言うか、立場みたいなものを教えていただければ…と。東のレイラント神聖国や西のリカルデ王国との関係などを聞かせて頂けると助かります」


 以前、王女御一行を助けたときにゴルドーさんからある程度の話は聞いている。

 ただ、ゴルドーさんには悪いけど、ルビーライト王国の王女を匿っているような状態の人にルビーライト王国の情報を聞いても、暮らしている以上はある程度肩を持つ意見になったりするかもしれない。

 そこを見極める為に、色々な立場の人に意見を聞いておきたい。

 冒険者ならそういったものに縛られにくいし、情勢に詳しくないと国の小競り合いや戦争に巻き込まれる可能性もあるだろう。


「じゃあ、まずはこの国からね。この国は比較的良い国ね。レイラント神聖国のように人間至上主義ってわけでもないし、エルフや獣人に対してもあまり嫌そうに接する人は少ない方ね。ただ、最近は国王が病気がちで、第二王子と第一王女が分担して政務にあたっているとか」

「第二王子?第一王子はいないんですか?」

「第一王子は、武に長けた人らしくてね、政務より騎士団の方に携わっているらしいわ。国王も、元々は武に長けた人らしいから、似たもの親子と言えるわね」

「王家はそれだけですか?他には第二王女とかいたりは」

「第二王女は王城にはいないって聞いているわね。なんでも、錯乱されてから僻地にて療養中だとか」

「錯乱?」

「ええ、ある時を境に発狂したとかって…噂では聞いたけれど」

「第三王女とかは」

「いるのは王子二人に王女二人って聞いているわね。第三王女は年が幼い頃に亡くなったって聞いたわね」

「………亡くなった?」


 第三王女がいない?

 そんなバカな。




魔物図鑑はどれぐらいの数を載せようか悩み中です。あと、どこの話との間で入れるのかも

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ