第51話 「二人 の リベンジ」
3万PVいっていました。ありがとうございます。
翌日、エリィとクスノのステータスを上げるために、丸一日使って魔物部屋を虱潰しにしつつ、徘徊しているブランチュウを倒して歩いた。
お陰で二人のステータスも大分上がった。
これなら、ウッドゴーレム相手でもギリギリの戦いにはならないと思う。
さらに翌日、昼頃には20階層のボス部屋前に着いた。
中へと入ると、ブランチュウを3mぐらいまで大きくした魔物だった。
そして、すぐに終わった。
だって、ボスのビッグブランチュウに火をつけて燃やしたら数秒とかからずにHPが0になって終わったんだよ…。
ボス部屋って隔離されているから、周りからブランチュウの大群が襲ってくるわけでもなかったし。
「じゃあ、次に進もうか。21階層からは、多分ウッドゴーレムだから」
「頑張りますっ!」
「次はもっと早く倒す………!」
二人とも、魔物部屋のウッドゴーレム戦のような、ギリギリの戦いをするつもりはないようで何よりだ。
21階層へと足を踏み入れると、18~20層の地中のような装いから、人が踏み固めた山道のような道と林の景色に変わった。
林の木は、ウッドゴーレムと同じ太さの木が多く、動きの遅いウッドゴーレムならパッと見では分からないぐらいだ。
「基本的には、この道を歩いていけば良いんだろうな…」
サーチフィールドで周りを探ってみると、野草や果実の類があるにはあるけど、脇道に入っていかないと採ることはできない。
「…ん?」
「どうかしましたか、シュウ様?」
「あー…この道の途中にウッドゴーレムが待ち構えているな。それと脇の林にも隠れてるから、戦闘が始まったら脇の林にも注意ね」
「はい!」「分かった」
二人に注意を促して進む。
歩き始めて分かったけど、この道は「山道のような」ではなく、文字通り山道だった。
実際の人が入る山のように、落ち葉が降り積もって天然のクッションになっている。
また、所々にノコギリのようにギザギザな笹の葉がある竹ノコという植物が生えていた。
これは竹の子とは違うみたいで食べることはできないらしい。シグの館にあった書物に載っていた。なんてこった。
でも、後で休憩を入れるときにでも取ってこよう。
僕が従えているダンジョン内には生えてないし。
ダンジョンボックスに放り込んでおけば、誰かが使うかもしれないしね。
勾配のある山道を進むと、ウッドゴーレムが3体待ち構えている開けた場所へと辿りついた。
「シュウ様。私達に任せて」
「今度は全部倒してみせます…!」
「分かった。ガルも良いね?」
「キュィー」
「じゃあ、二人とも気をつけてね」
魔物部屋で、ギリギリの戦いをしたのを気にしていたのか、二人とも張り切っている。
なんていうか、二人とも向上心が高いね。
現代日本と違って、結構な頻度で命の危機に曝されているこの世界では、力をつけないとすぐに命を落としてしまう。
食料を得るために狩りを行う場合でも、死ぬ可能性は物凄く高いのだろう。
クマが出て襲われたら大騒ぎしていたけど、こっちはゴブリンやバイトスネーク、スタンプボアなど、人を殺せる魔物が多過ぎるよね。
そりゃあ、逞しくならざるを得ないわけだ。
「行きますよ、クスノちゃん」
「いつでも」
ウッドゴーレムが近付いてくる前に、3体いる内の真ん中の相手へとエリィが矢を放ち当てていく。
以前のような矢が弾かれることもなく、確実にウッドゴーレムの体へと突き刺さっていく。
1体がエリィの弓で足止めされている間に、クスノが左のウッドゴーレムの外側へと回る。
クスノが回りこんだ方向へと、ウッドゴーレムの腕が振り下ろされる。
「ふっ………!」
だが、クスノはその攻撃が来ることを予測していたのか、地面へと振り下ろした腕へとジャンプして飛び乗り、ウッドゴーレムの頭を蹴飛ばした。
ウッドゴーレムは確かに頑丈ではあったが、頭を蹴られて3体目のウッドゴーレムに倒れこむように仰け反った。
クスノは、蹴飛ばしたウッドゴーレムを足場に、魔力を短剣に纏わせながら3体目のウッドゴーレムを飛び越えて着地した。
「付与魔法『双炎刃』………!」
クスノの短剣2本に、黄色の炎が纏わりつく。
僕が昨日教えた、色々な炎の使い方の一つ。
この世界は元いた世界と違って、基本的にはステータスと魔力を扱ったものが優先される。
でも、それ以外は割りと同じらしく、高温の炎を鉄の剣に纏わせても鉄の剣が溶けたりはしない。
だから、エリィとクスノに魔力の凝縮の話を簡単にしておいた。
目の前で、お風呂の浴槽ぐらいの水を、短剣ぐらいの大きさに凝縮する実演付きで。
それとついでに、クスノに僕が元いた世界での炎を使った金属の焼き切りとかの話もしておいた。
それらを見て聞いたクスノが、炎を魔力の段階で何とか凝縮して完成させたのが、炎の付与魔法。
「はぁっ…!」
クスノのMPでは、そんなに長い時間維持することはできないけど、短剣の片刃だけに炎を纏わせることで、魔力の消費を抑えている。
その炎を纏わせた短剣で、ウッドゴーレムを斬りつけると、以前ならば黒い焦げた線を残すだけで終わったけど、今回は直径30cmほどもある丸太の腕の半分ほど切り裂かれている。
クスノの当座の目標は、ウッドゴーレムを縦に両断すること、らしい。
この調子だと、そう遠くないうちにできそうだ。もしかすると、25階層に辿り着く頃にはできるようになっているかもしれないな。
クスノがウッドゴーレムの腕を斬っている間に、エリィが矢を次々と木の体に刺さしていく。
途中、魔力を多めに込めている矢を放って、ウッドゴーレムのの体の半分ほどまで突き刺さっている。
あそこまで刺さるなら、場所によってはコアに当てて倒すこともできるだろう。
それでも、他の魔物と違って、ウッドゴーレムは痛みで足が止まらない。
徐々に近付かれている。
けど、距離が近くなればなるほど、深く刺さっていく。
その内の一本の矢がコアのあった場所に当たったらしく、一体のウッドゴーレムが倒れながら魔力の粒となって消えた。
それと同時に、クスノが相手をしていたウッドゴーレムも消えていった。
残るは1体のウッドゴーレムだけど、一人で1体倒すことができるようになったエリィとクスノの敵じゃない。
短い時間で、最後のウッドゴーレムは消えていった。
「前よりは楽に勝てましたね…!」
「勝利………!」
「二人とも、お疲れ」
エリィもクスノも、二人を引き取ってまだ一月も経っていないはずだ。
それでも、21階層の魔物を一人で倒せるようになっている。
この調子なら、ルイズリーの町にある『東窟洞』のダンジョンでも結構良い所まで進めそうだな。
以前、探索者ギルドで聞いた到達階層は32層。
このダンジョンは30層だから、このダンジョンをクリアして、『東窟洞』のダンジョンをエリィとクスノで30層まで進む頃には、実力やステータスが上がって最高到達階層は更新できると思う。
その前に、一度僕のダンジョンに戻っておきたいな。
スケルトン部隊その他に頼んでおいたものが、どこまで進んでいるのかを確認しておきたいし、それ以前に僕のダンジョンが残っているかも確認しておかないと。
名前を付けた5人のスケルトン以外にも、訓練させているやつは多いし、まず大丈夫だとは思うんだけど。
これからやること、やりたいことを考えていると22階層への階段へと到着した。
空を見るとお昼の15時頃ってところか。
今日はここらで止めておこうか。




