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第47話 「葛藤」

内容的にちょっと(?)エロいのが入ります。





 コンコンという音で意識が醒めた。

 あー…スライムの壁で受け止めれないほどの数が岩壁にぶつかっているのか。

 というか、やっぱり蒸し暑いな…。

 スポンジュウムの効果は思ったより少ないな。


「んっ……シュウ…様…」

「………んんっ……」


 ああ…。

 暑い暑いと思っていたけど、エリィとクスノが一緒の布団で寝てたんだっけ。

 通気口から差し込む僅かな光を頼りに体を起こす。

 両側を見ると、二人ともパジャマじゃなくてネグリジェだった。

 確か、昨日の夕食後は…。



「シュウ様が先に入って。私達が洗い物をしておく。主であるシュウ様が先に入るのは当たり前」

「僕は前にも言ったかもしれないけど、奴隷扱いも使用人扱いもするつもりがないんだけど」

「私達がそうしたいんです。だから、シュウ様…」

「そうかい?じゃあ、お言葉に甘えてお風呂を先にいただくよ」

「はい」

「ゆっくり入ってて」


 風呂場に入って、服を脱いでお湯をかける。

 体を洗ってから浴槽へと浸かる。


「………はぁ~」


 やっぱり風呂は良いな。

 風呂は命の洗濯とはよく言ったものだ。

 この階層で出てくるのはシードクラッカーだし、上には飛ばしてこないだろう。

 天井、開けておこうか。

 良い感じに月見風呂ができそうだ。


「おー…月明かりが良い感じに照らしてくれているな」


 これを、山の中とか湖畔が見える丘とかに温泉を探して作りたくなる。


「すごい綺麗ですね…」

「本当にキレイ」

「これで冷たい飲み物でも飲みながら見ると良いかもね」


 ん?


「それは良い考え」

「そんな贅沢をして良いんでしょうか…」

「ちょっと待った!何で一緒に入ろうとしてるの!?」


 月を見上げていた視線を、浴室の入り口へと向けると体を洗っているエリィとクスノがいた。


「?何か問題?」

「いや、お風呂の入り方を知らなかった時は一緒に入ったけど、お風呂は本来だったら男女別だからね?」

「え?何でですか?」

「え?いやだって、恥ずかしいし?」

「私も恥ずかしい。けど、シュウ様なら良い」

「私もです」

「………一人で入りたい時もあるかなー…なんて」

「私達がいると心休まらない?」

「いや、そんなことはないよ」

「じゃあ、問題ない」

「………あれ?」


 心を休まらないって言っておけば良かった…。

 実際、ドギマギしてるしねっ!

 いや、次からはドラム缶風呂並に小さい風呂にしようか…。

 それなら一人で入れるけど…できれば、大きい湯船でゆったりしたいしな…。

 そういえば、混浴風呂には湯浴み着というものがあるって聞いたことあるな。

 いや、それだと混浴するのが当たり前になるし却下。

 うーむ。偶には一人で入りたいんだが…。


「シュウ様、尻尾洗うのを手伝って欲しい」

「え?」

「大きくて洗うのが大変」

「………え?」


 初めて一緒にお風呂に入ったときも、尻尾や耳はデリケートな部分だと思って、あまり触れないようにしていた。

 クスノの尻尾は、クスノ自身が体操座りをすると、体とほぼ同じ大きさになるぐらい大きい。


「エリィに頼めば良いんじゃないかな…?」

「シュウ様の魔法の方が早い。これだけ大きいと手入れも大変」

「私達二人でやっても、かなりの時間がかかっちゃうので…」

「…分かったよ」


 浴槽から出て、桶に作った石鹸水を魔法で操って包んでいく。


「…んんっ……くすぐったい………んっ!」

「………」


 目が広いブラシで、毛の流れに沿って優しく撫でていく。


「…ぁ………ぅんっ………ぁっ…あんっ!!!」


 撫でるたびに、クスノの口から艶めかしい声が浴室に響く。

 その度に、僕の理性がガリガリと削られていくのが分かる。

 くっ!浴室で反響するから余計に()るものがある。


「んんっ………ぅ……んっ」


 声が出たのが余程恥ずかしかったのか、口を手で押さえるクスノ。

 さらにくしけずっていくと、手だけでは押さえ切れなかったのか、体全体で口から漏れ出る吐息をなんとか抑えようとしていた。


「あっ…シュウ…さま……ぁ…っ!」


 そういった仕種や、嬌声が余計に僕の理性を削りにきている。

 そんな生殺しの状態が永遠に続くかのような生き地獄となんとか乗り越えて、クスノの尻尾を洗い終わる。

 クスノは色々な意味で疲れたのか、湯船でぐったりしている。

 エリィもクスノにアてられたんだろう。顔が真っ赤になって視線が泳いでいる。

 僕も精神的にぐったりしている。体のとある部分はとても元気に主張しているけどね。ツライ…。

 刺激が強いよ…!

 火照った体を冷やすために、数珠のように連なって実る柚子のような果実、ユジュジュの果汁を水に入れた飲み物を、お湯に浮かべたお盆の上に乗せている。

 勿論、魔法で冷やしてある。


「とても…気持ちよかった………」

「………そうかい。僕は、とても疲れたよ………」


 月見風呂のつもりが、月見を楽しむ余裕がない。

 ある程度、冷たい飲み物を飲んだりして落ち着いたから上がろうと浴槽から出る。

 ようやくこれで終わりか、と思って風呂から上がろうとすると、クスノに声をかけられた。


「シュウ様、乾かすのも手伝って欲しい」

「………」


 もうやめてー!

 鋼の理性でなんとかクスノの尻尾と二人の髪を乾かし、コケコットンの羽毛布団を使ったベッドに倒れこむ。

 もう無理。

 精神的に疲れた。

 もう寝る…。



 おかしいな。一緒に寝た記憶がない。

 ってことは、また潜り込まれていたのか。

 二人のネグリジェ姿を見ていると、昨日のお風呂の出来事を思い出して体が反応してしまう。

 いかんいかん。

 こんなんじゃ、獣のように襲ってしまいそうだ。

 そういえば、前世の友人が言っていたな。

 そいつ曰く、「現代日本は、成人年齢が20歳で大体の平均寿命が80歳。つまり寿命の4分の1ぐらいが未成年扱いだ。そして、江戸時代では50歳ぐらいが大体の平均寿命だとどこかで見たが、そうすると4分の1は12.5歳。つまり江戸時代において12歳に手を出すのは極めて普通だったわけだな。そもそも性欲というのは、子孫を残すために必要なものだから、子供が生める体ができている相手に欲情するのは、生物的にはごく自然なことだぞ?ただ、ルールを作っておかないと、際限がなくなるからルールを作っているだけで」と。

 うん。名前も思い出せないやつだけど、今すぐぶん殴りたい。

 そして自分も殴りたい。

 なぜ、このタイミングで思い出すのか…!

 しかも、確かそいつはロリコンだった気がするしな。

 この世界の平均寿命がいくつか知らないけど、貴族が年齢一桁の子に手を出しているっていう話も聞いたから、この世界ではそれが普通なんだろう。

 だからと言って、はいそうですかと手を出すわけにもいかないんだけど。

 あーやめやめ。

 これ以上考えると、無意識にでも二人の体に触ったりしてしまいそうだ。

 というか、ラブコメ作品の如く、寝ている間に色々としてないかがとても心配になる。


「顔洗ってこよう…」


 はあ………。

 二人が起き出し、なぜパジャマではなくネグリジェで寝ていたか聞いてみると、


「暑かったので」

「蒸し暑いから薄着がいい」


 とのこと。

 確かにパジャマよりは涼しいと思うよ…。

 なら、別々に寝れば良いのでは?という質問に対して、


「「できれば一緒に寝たい」」


 と、口を揃えて同じ理由を語った。

 僕の理性は無視ですか、そうですか。






 朝食後、探索を再開する。

 14階層まで下りた時、二人が少しだけ魔力を纏うことができていたので、お願いされて水球を部分的に解除する。


「無理そうだと思ったら、すぐにでも声をかけるか手を上げること」

「「はい」」

「正面、二つくるよ」


 僕の言葉通りに飛んできた木の実を、魔力を纏わせたナイフと短剣でそれぞれ切ろうとする。

 二人とも、何回か繰り返すうちに、硬い木の実を串刺しにすることに成功していた。

 休憩を挟みつつ、ある程度慣れてきたら、今度は素手で受け止めようとする。

 キャッチボールを素手でやると結構痛い。

 速度も出ているし、今は形も均一じゃない木の実を、素手で止めようとしている。

 15階層も終わる頃には、二人とも魔力を纏わせるて木の実を止めることはできるようになっていた。

 これなら実戦で使えるようになるまで、そうはかからないだろう。


「とりあえず、16階層に入ってみようか。そこに出てくる魔物次第では、そっちに小屋を作ろう」

「そうですね。昨日は思ったより眠りにくかったです。奴隷時代に比べれば快適でしたけど」


 コン、コンと木の実がぶつかる音が聞こえていたしね。

 16階層へと降りると、ジャングルのような熱帯雨林ではなく、林のような割と見通しの良い風景へと変わった。

 環境的にも、蒸さないからありがたい。


「さて、この階層の魔物はっと…」


 近くにいないかと探すと、60cmぐらいで背中に不揃いな丈夫そうな枝を無数に生やしたハリネズミのような魔物がいた。




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