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第40話 「服 を 買い に 行こう」

毎日更新しようと思うと、メモ帳で5KB~10KBが限界です。もうちょっと書くの早くなりたい



 カン、カンという小さな音で意識が覚めた。

 なんだ、この音?

 まだ寝ぼけていて、体を起こせないけど、サーチフィールドを発動する。

 うおっ!

 小屋が!カッターリーフに!囲まれている!

 しかも、通れないようにした通気口から入ろうとしているので、結果的に通気口を塞がれている。

 空気の通りが悪くなるから窒息死みたいなものもありえるな。

 寝ていたら死にました、では洒落にならないし。気を付けよう。


「………ふわぁ~………『ロックニードル』」


 小屋の壁である石を変形させて、刺し貫く。

 倒したカッターリーフの素材を一箇所に集めて、中へと入れて再び壁を閉じる。

 あー眠いな……。


「………起きるか」


 キッチンへと行き、魔法で水を作って顔を洗う。

 あー目が覚めた。 

 差し込む光からして、まだ明け方ぐらいか。

 朝食の仕込みしよ…。


「お、おはようございます。シュウ様」

「………おはよう、シュウ様」

「二人ともおはよう。もうすぐ朝食ができるから、顔洗っておいでー」

「はい」

「分かった」


 今日の朝食はスクランブルエッグにベーコン、葉野菜のサラダ、パンはトーストとバターロールの二種類で、パン用にジャムとバターを用意した。

 シグの館にあった本の中に料理関係のものがあって、現代日本で一般的に売られているようなものの材料や作り方などが研究されていた。

 その本の中に、乳製品のチーズ、バター、ヨーグルトの作り方があったので、時間の空いたときに作っていた。魔法で。

 攪拌とか温度管理とか魔法を使えば楽過ぎて。魔法マジ便利。

 しかも、それなりに精密な魔力操作を必要とするから訓練にもなったし。

 あ、二人が無詠唱で魔法を使えるようになったら、練習として料理作りをするのもありだな。考えておこう。


「「「いただきます」」」

「シュウ様の作るパンはふわふわで美味しいですね。それに、このバター?をトーストに塗るとおいしいですね」

「ジャムもおいしい」

「それは何よりだ。いずれ二人にも作るのを手伝ってもらう予定だから。魔力操作の練習にもなるし」

「分かりました」

「分かった」


 朝食を片付けた後、小屋を魔法で片付けて6階層へと降りる。

 6階層で出てきたのは、プランテスという植物の魔物で、ウツボカズラに無数の蔓が生えたような60cmぐらいの植物だった。


「『アクアビーズ』」


 試しに水で無数のビーズのようなものを作り、散弾銃のように撃つ。

 すると、植物に無数の穴が空いて消化液が噴出した。


「あれ?植物系の魔物は水に強いはずなんだけど」

「シュウ様の魔法が強すぎるだけじゃないでしょうか」

「そう思う」

「…じゃあ、ここからは昨日と同じで、まず二人で戦ってみて欲しい」

「はい」

「分かった」


 クスノが前衛でエリィを後衛にして、少し戦ってみたら問題が発生した。

 いや、二人の戦い方に問題が出たわけじゃない。

 プランテスの蔓を振り回した攻撃が、思ったよりリーチが長く、しなるから軌道が読みにくくて、短剣で防ごうとしたクスノに何回か当たった。

 途中から蔓を切り飛ばしたりしているから、当たることは少なくなってきた。

 ただ、エリィはオリヴィエ店長…いや、名前で呼ぶ必要がないわ、あんな人。

 オネエ店長から聞いた話だと、エンチャンター(付与術士)による特殊加工した生地を使っている服らしいから、防御性能はものすごく高い。

 鑑定でも確認したから、それは分かる。

 でも、クスノは拾ってから直接このダンジョンに連れてきたから、普通の服しかない。

 僕も見た目は普通の服なんだけど、シグたちと一緒にもぐったダンジョンで得た素材を使って、館に居たスケルトンに仕立ててもらったものだ。

 だから、僕の服もそれなりに防御性能は高いから問題なかった。

 クスノにヒールをかけながら、二人に提案というか問題を話す。


「二人とも、今日は一度ルイズリーの町へ行こう」

「何か買いに行くんですか、シュウ様?」

「クスノの服を買いに行こう。あの人の店なら良いのを準備してもらえそうだし」

「オリヴィエさんの所ですね」

「服?」

「服。今更だけど、ダンジョンに入るのに装備も整えてないし、肌の露出が多いから攻撃が当たったら大変なことになる。忘れていた僕が言うのもなんだけど」

「良いの?」

「良い」


 というか、ダボッとした服を着ているから、激しく動くと色々と見えそうで、僕の精神的にもよろしくない。本当に今更だけど。


「ガル。悪いけど、スピード重視で行くから、今回はダンジョンでお留守番を頼む。小屋も作っておくから自由にしててくれ」

「キュィ」


 5階層まで戻って小屋を作り、適当にダンジョンボックスから殻とか鱗、角を積み上げておく。


「それじゃあ、二人とも。行こうか」

「はい」

「シュウ様、戦闘は?」

「行き帰りは僕がやるよ」


 急いでダンジョンから出る為にサーチフィールドを全開にして駆け足する。

 道中、通るときに邪魔になりそうなカッターリーフは、視認する前につぶてを飛ばして倒していく。

 二人とも、このダンジョンで戦っていたのもあって結構な速さで走れている。

 途中、休憩を挟んで、お昼頃にはルイズリーの近くの森を抜けられる所まで来た。


「シュウ様、首輪貸して」

「首輪?」

「首輪があると奴隷ってすぐ分かる。その方が面倒が少ない」

「だけど、クスノは奴隷じゃないし…」

「どちらにしても、町の出入りに身分証が必要。私はギルドカードを作ってない。だから、服を買って戻るまでの間だけで良い」

「うーん」

「シュウ様、私からもお願いします」

「エリィ?」

「私もそうですけど、シュウ様の奴隷っていう扱いにしておかないと、周りから何をされるか分かりません」

「罵倒される、石を投げられるぐらいはよくある。そういう意味ではシュウ様の奴隷扱いの方が遥かにマシ」

「それは………」


 ちょっとそれは納得いかない。

 それが顔に出ていたのか、エリィは僕の目を真っ直ぐに見る。


「私はシュウ様がそういうことをする人じゃないのは分かっています。だから、私は、他の誰に何と言われても、シュウ様がいてくれるから大丈夫です」

「私も同意。今は服を買いに行くだけ。奴隷なら物扱いだから身分証もいらないし、文句も言われにくい」

「………分かった。もし、それ以上になにか問題が起きたなら対処する。で良いかな?」

「それに、私はもうシュウ様のもの。別に間違ってない」

「わ、私もです。私はもうシュウ様のものです!」

「それとこれは別な話だ」

「残念」


 残念と言いつつも全く残念な顔をしていない。

 僕がちょっと嫌な気持ちになったから、場の空気を和ませようとしたんだろう。クスノは賢い子だし。本音も入っているとは思うけど。


「でも、本当にシュウ様から首輪が欲しい。私はもうシュウ様の物っていう証が欲しい。赤ちゃ―――」

「分かった。でも、首輪だと僕が嫌だから、チョーカーでも良い?」


 あっぶねー!言葉を被せなかったら、手を出した続きの話になりそうだった!


「チョーカー?」

「首につけるアクセサリー…かな?」

「お願い」


 呪いの首輪を取り出して、クスノに渡す。

 そのまま躊躇いもなく首輪をつける。


「躊躇いもなく着けたな…」

「シュウ様を信じてる」


 ぐふっ!クスノの信頼が重い。いや、良いんですけどね。


「じゃあ行こうか」

「あ、あの、私にも…」

「そうだね。二人に何か買おうか」


 贔屓はよくないね。

 ルイズリーの町の門へと行き、僕とエリィはギルドカードを見せて、クスノを僕の奴隷ということで通ることができた。

 クスノを見た門番の人はちょっと嫌そうな顔をしていたけど、僕の奴隷って話をしたら仕事顔に戻った。


「予想通り」

「クスノの言う通りになったな」

「これで良かった。面倒事になるとシュウ様にもエリィにも迷惑がかかる」

「僕は迷惑と思ってないんだけどな」

「私もですよ、クスノちゃん」

「ありがとう。私は良い人に巡り会えた」


 喋りながら、オリヴィエ服飾店を目指す。

 お店へと辿り着くと、丁度オリヴィエ店長が出てきたところだった。


「オリヴィエさんっ!」

「あら~エリィちゃんじゃない~!5日ぶりぐらいかしら?元気だった?」

「はい、お久しぶりです。私は元気ですよ」

「ふふふっ、相変わらず肌も髪もキレイね~。シュウちゃんに良くして貰っているようね~♪」

「はいっ!」

「で、今日はどうしたの…かし…ら………」


 その目はクスノで止まって固まってしまった。

 もしかして、ヤバイか?




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