第37話 「二人 の 告白」
また短めです。
クスノと話した後、お風呂を出て寝室へ行くと、エリィが待機していた。
「シュウ様。私も連れて行ってください」
「一応、理由を聞いても良いかい?」
「私は………この髪の所為で、皆から嫌われています。だから、私も、私のことが嫌いでした…。でも、シュウ様は私の髪をキレイって言ってくれました!引き取ってくれました。こんなに優しくして下さって、私は今とても幸せです。だから!…できれば、シュウ様と一緒に居たい…です」
「僕の所為で、本当に呪われてしまったんだよ?」
「それでも!私は、シュウ様と一緒が良いんです………!」
「分かった。一緒に行こうか」
エリィの頭を撫でる。
「ただ、今まで話してなかったことがあるから聞いてくれるかい?」
「? はい」
「話っていうのは、僕の出身についてなんだ。ちょっと突拍子もないことだからすぐには信じられないと思うけど、とりあえず話すね」
「私も聞きたい」
「っ!」
「クスノちゃん」
突然、後ろから聞こえた声に驚いて、声が出そうになったのを寸での所で飲み込む。
「ちょっと、びっくりするからあまりそういうのはやめてほしいんだけど…」
「今のシュウ様の反応は可愛かった」
年下の子に可愛いと言われる僕。正直言ってとても恥ずかしいので、ささやかな仕返しをすることにした。
「クスノの方が可愛いよ」
囁くように言った言葉で、クスノは顔を真っ赤にする。
ふはははっ!年上をからかうからそうなるんだ!!
「ん。照れる。シュウ様、好き。今すぐ結婚して」
「は?いや、なんでそうなる」
「私もエリィも奴隷じゃない。なら結婚しても問題ない」
「!!」
「そして、今の言葉は私へのプロポーズ」
「違うからな?」
「狐耳族では、可愛いって言葉は求婚と一緒。だから、結婚しても問題ない」
「え?」
そんな風習が!?
確かに、国や地域によって色々と決まりや仕来りがあるから、そういうのもあるかもしれない。
狐耳族がそうとは限らないけど。
「そ、そんな風習はないよな?」
「ふふっ…」
その笑いやめて!
「シュウ様ならいつでも良い。待ってる。むしろ今からでも…」
「わ、私も!そのシュウ様と…」
「うん、とりあえず落ち着こうか」
ささやかな仕返しをしたら求婚したことになってる。なんで?
「はあ、クスノ。お風呂でも言ったけど、年齢に関しては譲れないからな?」
キリッっとした顔で言う。ここだけは譲れない。
「分かった。シュウ様が手を出すのにダメって言ったのは年齢だけ。なら、シュウ様と私の間にある障害は年齢だけ。2年後に期待」
「………」
あ、あれ?………もしかして、年下に手玉に取られている…なんてことは?
確かに、年齢以外で否定はしなかったけども。
このままだと、クスノが12歳になったら手を出します宣言になっちゃ―――
「あっぶねぇ!!6年後な!勝手に2年後にしないでくれるかな!?危うく成人の年齢をスリ替えられそうだったわ……」
「6年。言質は取った」
あれ?本当に手玉に取られているような…?
「わ、私もできればシュウ様と………。それに、よ、夜の生活の方も、恥ずかしいですけど、大丈夫ですっ!!」
「何言ってんの!?意味分かって言ってる!?」
「シュウ様、大丈夫。女奴隷は、年齢に関係なく、奴隷になったら一番初めにそれを教えられる」
「………え?」
「女奴隷を買う人の目的なんて、大体一緒。違う方が珍しい」
「………」
流石異世界。
日本の常識が通じないよ…。
「それに私もエリィも初めて。だから、優しくして欲しい」
「は、初めて…?」
「私は狐耳族だから、関わりたくないと思っている人が多い。極端な話、触るのすら嫌悪するぐらい。経験がないのも当然」
「私は、この髪色でしたから。同じような理由です………」
なるほど。そういう理由があるのか。でも、
「僕は、手を出すとは一言も言ってないからな?」
「6年後。期待してる」
「わ、私も待ってます………!」
「………」
おかしいな。僕の出身の話をしようとしたら、結婚と夜の話になっている。
ささやかな仕返しなんてしなければ良かった………!!
「まあ、その話はいずれな」
奥義、先延ばし!
「でも、途中で手を出したくなったら、いつでも歓迎」
「わ、私もですっ!」
奥義がきかないー!!
「じゃ、じゃあ話すよ。僕の出身なんだけど―――」
それから、僕の出身の話をした。
記憶に関しても、思い出せたところはできる限り話した。
二人は、この世界以外にも世界があることに驚いていたし、僕の故郷の話を特に聞きたがった。
説明が難しいものは省いたりしたけど、二人の興味は学校と食事事情だった。
そんな話をしている内に、夜も更けたので寝ることにした。
エリィもクスノもまだ聞きたそうにしていたけど、いつでもこの話はできるからってことで納得してもらった。
「「おやすみなさい、シュウ様」」
「ああ、おやすみ」
はー。思ったより長話になっちゃったなー。
話し疲れて寝るなんて、始めてかも…。
………って、あれ?いつのまにか、一緒の布団で寝ることになってないか?
翌日、目が覚めて朝食を作る。
ただ今日は、いつもと違ってエリィとクスノに教えながらだけど。
「僕の呪いは、境界線が曖昧なんだよね。だから、二人には料理をしてもらって、レベルが変わるかどうかを確認したいんだ」
「そういえばシュウ様、昨日は色々と驚いて聞きそびれていたんですけど、アイテムレベル?ってなんですか?」
「あー…鑑定で見ないと分からないのかな。薬草や木の枝、果ては骨まで、物に人と同じようなレベルがあるんだ。このフニフニンジンにも当然ある」
「レベルが高くなるとどうなるの?」
「僕も一回しか検証できてないから、確実なことは言えないけど、食材ならおいしくなる。骨や石なら硬くなったりかな?まさに、物によりけりってこと」
「私達が同じことをしても、Lv1になるんじゃないでしょうか?」
「それが分からないから試したいんだ。前にLv1より上の物を食べたけど美味しかったからね。あと、様付けはいらないから」
もう奴隷じゃないんだし。
「私はこのままでも良いですか?」
「私もそのままが良い。奴隷の扱いのままの方が外向きには便利。普段遣いしておかないとボロが出る」
「まあ二人がそれで良いなら何も言わないけど…」
単純に呼ばれなれていないから落ち着かないんだよなー。
朝食を食べた後は、軽く動くことにする。
今日からダンジョン攻略していく予定だしな。
「というわけで、今日から戦いを少しずつ教えよう。と言っても僕ができるのは実際に戦う相手になるぐらいだけど」
エリィには昨日から渡しているナイフ。クスノには短剣2本を渡して対峙する。
「二人同時で構わないから、好きなように動いてみようか。とりあえず今日はどれぐらい戦えるのかを見たいっていうのもあるし」
「目標は?ある方がやる気が出る」
「んーそうだね。じゃあ僕に一発当てたら夕飯にデザート1品追加しようか。時間は昼食まで」
「シュウ様のデザート!とてもおいしいですよね。頑張りますっ!」
「ん、頑張る………!」
二人とも目に炎が見えるかもっていうぐらいやる気に満ちている。
この世界には、あまりデザートを食べる慣習はないようだ。精々季節の果物があれば食べるぐらい。それも、それを扱っている農家とかぐらいらしい。
パンに塗るジャムを出したときに、かなり好評だった。砂糖ってこの世界では割と貴重品らしいね。
甘いものを食べる機会が少ないから、こんなにもやる気を見せているようだ。
「じゃあ、始めようか」




