第25話 「新しい 服」◆
■2017/02/15 挿絵を追加しました。
「ど、どうでしょう…か」
「………」
「ほら、男の子は女の子を誉めないと♪」
「う、うん、凄く似合うよ」
イラスト:心太
いや、驚いて声が出なかったんですよ。
エリィの装いは、耳の後ろの髪を片側だけ小さく三つ編みにして、赤い珠を金で縁取られたタイ付きのブローチを襟元に付けたノースリーブの白いシャツに、山吹色の縁が映える黒い帯のようなものを、四枚の花弁のような形をした山吹色のもので留めている。
そして、蓮の花の形を逆さにした若葉色のスカートをから覗く太股と、そこから続く白いニーソックス。二の腕にある袖口と靴の履き口が鈴の形をしている若葉色のロンググローブと山吹色の靴を履いている。
エリィの白い髪によく似合っている。
部分的に、和服のようなものが使われているな。そういう文化があるんだろうか。確認してみるか。
「何というか……この辺では見ない服装ですね。店長さんが考えたものですか?」
「んふふ~そうよ~♪って自慢したい所なんだけど、残念ながら私じゃないのよ。この黒いのは帯っていうんだけど、過去に異世界の勇者が広めた着物っていう物を見て取り入れた服なのよ。今は、勇者が定住したっていう遥か東の国、マシュラで普段着として着ている人がいるらしいわ」
「そうなんですか」
勇者って、日本人だったんかね。
いや、日本文化好きの外国人っていうこともありえるけど。
勇者かー。会いたくはないな。絶対面倒な事になると思うし。
僕はダンジョンテイマーだから、どっちかって言うと狩られる側だろうし。
居たとしても関わらないようにしよう。
「でね?私の作る服って、知り合いにいるエンチャンター(付与術士)に色々な付与をして貰った特殊な生地を使っているから、見た目からは想像できないほど高性能な服なのよ♪だから、戦闘もこの服でバッチリ♪」
「は?……あの、それって物凄く高いんじゃ」
「良いのよ~♪私も久々に楽しい仕事ができたもの♪」
「はあ、そうですか……」
とはいえ、かなりの値段の物なのは間違いない。
なので、アイテムボックスから盗賊から奪った金貨の袋を一つ取り出して差し出す。
「これは、何かしら?」
「いえ。シャロンさんってこの店によく来るんですか?」
「ええ、来るわよ?」
「では、これでシャロンさんに安く服を売ってあげてください」
店長さんが袋の中身を確認する。
「それでもかなり多いわよ?ウエディングドレスでも作らせる気かしら?」
「え!? いえ、そういう訳では。僕がとてもこの店を気に入ったのと、作ってもらいたい服があるかもしれませんので先行投資です。それに、次にエリィのように、店長さんの琴線に触れる人を見つけた時の資金にして頂ければ、と思いまして」
「あら、随分と私を買ってくれるのね♪」
「それだけ気に入ったと言うことです」
「ふふっ、良いわ♪そう言うことなら受け取っておくわ」
「ありがとうございます」
「今日は少ししか時間がなかったから、できればまた来て頂戴ね~♪」
「分かりました。すいません、最後に一つ質問なんですが……」
「あら、何かしら?」
「店長さんは、エリィの髪を見ても忌避感とかなさそうに見えたので。理由があれば教えて欲しいんです」
この人は大丈夫だと思うけど、これに関してははっきりさせておきたい。
冗談は許さないつもりで見る。
「………良い目ね。でもね、私の理由は凄く簡単よ?私はね、カワイイ物が大好きなのよ。だから、私はいつでもカワイイ子の味方なの♪」
「なるほど」
会ってそんなに経っていないけど、とても納得できる理由だった。
「今日はどうもありがとうございました」
「は~い♪またね~♪(頑張ってね、エリィちゃん♪)」
「ありがとうございました……!(はい、頑張ります……!)」
エリィは随分とオリヴィエ店長と仲良くなったようだ。
まあ、乙女(乙男?漢女?)同士通ずる物があるのかもしれない。
エリィが、オリヴィエさんから貰った肩からかける袋を見ると今来ている服以外にもなにか貰ったようだ。
「荷物、重くない?大丈夫?」
「は、はい。大丈夫です…!」
「持つのが辛くなったら言ってね。一応アイテムボックスもあるし」
「はい」
外へ出ると、既に夜だった。
夕方にお店に入ったからなー。急いで宿へ行こう。
ガルがいるから、昨日と同じホップリの宿へと向かう。
エリィの白い髪が夜だと特に目立つ。
ただ、それ以上に全身が白いガルの方が目立っている。
うん、目印には事欠かなさそうだ。
「とりあえず、今日はお疲れ様。後は宿に向かって食事して休むだけだから、頑張って」
「…はい」
ホップリの宿に着いて、扉を開けると昨日の恰幅の良いおばちゃんがいた。
「おや、昨日の。今日も泊まりかい?」
「はい。人が2、従魔が1の宿泊でお願いします。この子も一緒に泊まっても大丈夫ですよね?」
「構わないよ。二人部屋の方が良いかい?それとも一人部屋が良いかい?」
「? 二人部屋でお願いします」
「えっ?」
ん?声がした方に振り返ってみれば、驚いた顔をしたエリィがいた。
一緒に泊まる方に特に反応しなかったのに、二人部屋に決めたら驚くって…なんでだ?
「分かった。二人部屋だとちょっと値段が上がるけど構わないかい?」
「はい、大丈夫です」
「二人部屋と従魔の宿泊、夕食朝食付きで4000Gだよ」
「分かりました」
ポケットに手を入れるフリをしてダンジョンボックスからお金を取り出す。
いずれ、これも改善しないとなー。
面倒だけど、財布用の小袋ぐらい持つか。
いずれはエリィにもお金を渡すつもりだし。
「従魔は表だね?息子に入れておくように言っておくよ」
「お願いします。エリィ、こっち」
「あ、はい」
僕がカウンター席に座るとエリィが床に座ろうとしたので強引にカウンター席に座らせる。
すると、すぐに二人分の料理が出てくる。
「はいよ、お待ち」
「あ、あの…シュウ様。奴隷の私が同じ場所で同じものを食べるのはやっぱり…」
「昼にも説明したと思うけど、動いてもらう以上は体に必要なものなんだからちゃんと食べて欲しい。食べきれないとか体調が悪いって訳じゃないんだよね?」
「…はい」
「じゃあ、命令。ちゃんと食べること」
「はい」
いただきますをして食べ始める。
んー、人目を気にせずに食事したりするには、家を持つしかないかな。
でも、このルビーライト王国を拠点にするかも分からないしなー。
そもそも家ってどれぐらいの値段で買えるのか、それとも借りるのか。
そこら辺も調べないといけないな。
ゴルドーさん辺りに聞いてみるか。
「…おいしいっ!」
っと、考え事をしながら食事をするのはよくないな。
止まっていた手を動かして、食事を再開する。
今日のメニューは、ポトフのようなスープに、サラダ、パンだ。
スープに入っていた肉を口に入れると、柔らかくて噛まなくてもホロホロと崩れていった。
これは、相当な手間隙かけて煮込まれていると思う。
「ごちそうさまでした」
「ご、ごちそうさまでした」
「おう、にいちゃんはマシュラの国の出身かい?」
食事を終わって手を合わせていると、料理を出してくれたおじさんが声をかけてきた。
「? いえ、違いますが」
「その挨拶をしてるやつを前に見たことがあってな」
「そうなんですか?」
「ああ、珍しいから覚えてんだよ。そいつも黒髪黒目で礼儀正しかったし、マシュラの国出身かと思ってたぜ」
「マシュラの国ですか…」
少し話を聞いた限りだと、限りなく日本に近い国みたいだな。
いただきますとかごちそうさまっていう挨拶もそうだけど、和服もあるらしいし。
益々そのマシュラの国に興味が湧いたな。
「引き止めて悪かったな。ゆっくり休んでくんな」
「いえ、ありがとうございます」
エリィを連れ立って女将さんの所に行く。
「ほら、これが鍵だ。部屋は昨日と違って1階の突き当たりになるよ。昨日と違うのは二人部屋だってことぐらいさね」
「はい、ありがとうございます。行こうか、エリィ」
「は、はい…」
鍵を受け取って、一番奥の部屋へと進む。
部屋に入ってダンジョンボックスから桶とタオルを取り出す。
そして、魔法で桶にちょっと暑いぐらいのお湯を入れる。
「エリィ。このお湯で体を拭くと良い。僕は部屋の外に居るから、終わったら声をかけてね」
「は、はい」
部屋から出て壁にもたれると、シュルッと衣擦れの音が聞こえてきた。
あー、この文明からすると防音がしっかりしてないか。
エリィの年齢は兎も角、こういう音を聞いてるとちょっとクるものがあるなー。
いや、ここから離れれば良いんだけどね。
「シュウ様。お、終わりました」
「あーうん」
扉を開けて部屋に入ると、月明かりに照らされてキャミソールだけを身に付けたエリィがいた。
しかも、透けている。
ネグリジェってやつですかねー。
って、あのオネエめ!
エリィになんてものを渡してんだ!
僕は前世でもロリコンじゃなかったと思うんだけど、こういうのはよくないと思います………!
「あー…エリィは布団に入って寝てても良いよ」
「わ、私がお背中を…拭きます」
「あー僕は今日はやめておくよ。うん」
「そ、そうですか」
「じゃあ、今日はもう休もうか。お休み」
「ぁ…お休みなさい」
そそくさと布団に入って目を瞑る。
網膜にネグリジェ姿のエリィが浮かんで逆に寝れなくなった。
あんのオネエめっ!本当に覚えておけよっ!!
嫌いじゃないけどなっ!!
すいませんが、近いうちに1日空けるかもしれません。
エリィのデザインを元に服装の説明を書いてみたのですが、デザインがあっても文章で表現するのは難しいです。




