第16話 「ルイズリー の 町 と 奴隷」
ちょっと短めです。
「おおー!これがルイズリーの町か!」
早朝、ゴルドーさんたちの目的地であるルイズリーの町に着いた。
ルイズリーの町は、高さ5mぐらいの塀で囲まれていて、東西南北に門があり、今居るのは南門らしい。
その門の前には、町に入るための審査待ちの列がずらりと並んでいた。
「はー、流石はダンジョンがある町。早朝なのに随分と人が並んでるなー」
「そうですね。探索者になって一山当てようという腕に覚えのある者、ダンジョンの品の買い付け、食品やお酒などを売りにくる商人、稼ぎを求めて働きに来る者。様々な思惑、様々な種族の者がここを訪れます」
「うん。そういう多種多様な文化を学ぶのも目的の一つだから丁度良いですね。あ、そうだゴルドーさん。種族の関係で気を付けた方が良い風習とかってありますか?」
「そうですね………。獣人に対して亜人呼びすると侮蔑の意味が含まれるのでしない方が良いと思います。特に、その中でも獅子族と狐耳族は関わらないようにした方が良いかと思います。獅子族は力が全てという考えを持っています。ですので、荒事に巻き込まれる可能性があります。狐耳族は狡賢いと言われ嫌われています。もし関わることがあるなら、何らかのトラブルに巻き込まれる可能性があります」
「獅子族と狐耳族ね。一応覚えておきますよ」
「獣人は最も種類が多いので、不用意な接触がなければ大丈夫だとは思いますが…」
接してみないことには分からないけど、できるだけ関わらないようにした方が良いかな。
「それにしても………目立ってますね」
主に僕が連れているガルが。
「白いクロウラーというのは珍しいですからね」
まあ、そうだよね。
クロウラーという魔物は通常は緑色をしている芋虫型の魔物だ。
館で見た本にも書いてあったけど、クロウラーは見た目では分からないが色々な成体の種類があるらしい。見た目では分からないけど。
皆がクロウラーって言っている魔物は実は厳密には○○クロウラーって種類が分かれている。見た目では本当に分からないけど。
「はい、次の人」
気付けば、並んでいた列がかなり進んでいた。
「こっちのギルドカード3枚は私と妻、娘のです。こちらの方は持っていませんので銀貨1枚です」
「商人か。荷物を見せてくれ」
「分かりました。それと、一番後ろに襲ってきた盗賊がいるので確認をお願いします」
「盗賊?この近隣か?」
「ええ、ここから馬車で3日ほどの山の中で襲われました。道中こちらのシュウ殿が助けてくれたのです」
「その位置だと『蛇の牙』という盗賊団かもしれんな。分かった。こちらで引き取ろう。もしかしたら報奨金が出るかもしれん」
三人居た衛兵で荷物と盗賊たちを確認していく。
「よし、確認は済んだ。。おい、すまないが詰め所まで同行してやってくれ」
「はっ!」
三人居た衛兵の内、一人が町の中へと一緒に入っていく。
「案内します。こちらです」
衛兵の案内に従って、町の中を進む。
石を積み上げて作られた町並みを馬車がゆっくりと進んでいく。海にそれなりに近いからなのか、白い石がよく使われている。
ここでも周りの視線を釘付けにしてるな。ガルが。
そもそも馬に引かせるのが普通な馬車を芋虫型の魔物であるクロウラーに引かせている上に、珍しい白色をしているから目立つ目立つ。
中心にこの地方の領主の館があり、門とその館の中程に兵士の詰め所があった。
「少々お待ちください。上の者を呼んで参ります」
しばらくすると、中からさっきの衛兵とそれより豪華な鎧を着た人が出てきた。
これが上司か。
「『蛇の牙』を捕らえたと聞いたのだが」
「襲ってきただけなので、『蛇の牙』かどうかは分かりませんが」
「確認させてくれ」
「はい」
石造りのリアカーの蓋を取る。
「『蛇の牙』は10人ぐらいで、統一したナイフを持っているはずなんだが」
「あ、持っていた武器はこれです」
取り上げたものを渡す。
「…うむ。確認した。『蛇の牙』で間違いないようだ。おい、報奨金を持ってきてくれ」
「はっ!」
「『蛇の牙』を捕らえたのは…」
「彼です。襲われていた所を助けて貰いました」
「そうか。しかし、『蛇の牙』を無傷で全員捕まえるとは…凄まじいな。こいつらは結構な被害を出していたからな。助かったよ」
「いえ、たまたま通りかかっただけなので…」
「副隊長、持って参りました!」
「ご苦労。あー、そういえば君の名を聞いていなかったな」
「シュウと言います」
「そうか、私はこの町を護っている騎士団の副隊長をしているボルガという。ありがとう、シュウ殿。ああ、君。奥へとこいつ等を連れて行ってくれ」
「はっ! ほらさっさと歩け!!」
「痛ってぇな!言われなくても歩くっつーの!!」
「黙って歩け!!」
「………チッ!」
連行されていくのを後ろにゴルドーさんが馬車を走らせていく。
そのまま、東門へと続く大通りへと出ると、一つの建物の前に止まった。
「ここが私の商会です」
「あっ!ゴルドー様。おかえりなさいませ」
「ああ、ただいま戻りました。来る途中に盗賊団『蛇の牙』に襲われました」
「『蛇の牙』!?この近隣でも大きい盗賊団じゃないですか!?」
「ええ、私はこちらのシュウ殿のおかげでこの通り無事です。ですが、一緒に乗っていた護衛たちが皆やられてしまいました」
「無事で何よりです。シュウ殿、我らの商会長を助けていただきありがとうございます」
「いえ、森の中で迷っていた僕をここまで一緒に連れてきてくれたので、感謝するのはこちらの方です」
「お礼をしたいので、是非中へ入ってください」
「あ、いえ。これから冒険者登録しに行くつもりなので。それに後日こちらへ寄らせていただくので、その時にでも」
「しかし、いえ分かりました」
「シュウ殿。色々とありがとうございました。この命を救われた恩は、いずれ必ず」
「いえ、お礼を言うのはこちらの方です。記憶の無い僕に色々と教えて頂いてありがとうございました。近いうちにあの子を買いに来るので、またその時に」
「分かりました、お待ちしております。ですが、お代はいりません。シュウ殿はそれだけのことをしたのですから」
偶然とはいえ、僕はゴルドーさんたちの命を救ったかもしれないけど、僕はゴルドーさんに教えてもらった情報で生きていく事ができる。
それに、アルビノが呪いではないことだと知っている僕には、あのエリオットというエルフの奴隷は問題ない。
逆にエルフの情報が聞けるかもしれないし、エルフだけが知っている美味しい物があるかもしれない。
だから、十分に対価はもらっていると思う。
それに、ゴルドーさんは商人だから、欲しい物を融通してくれる可能性がある。
物じゃなくても、それに関する情報をもらえるかもしれない。ギブアンドテイクがモットーの僕には今後とも付き合っていける縁というのは重要だ。
「では、僕は行きますね」
「くれぐれもお気を付けて。冒険者・探索者ギルドは、この大通りを西へ真っ直ぐ行った通りにあります。ダンジョンへ入るなら西門から先にあります、それと、冒険者ギルドの近くに宿などもありますので、聞けばお勧めを教えてくれるでしょう」
「わかりました。ありがとうございます。行こう、ガル」
頷いてガルに合図する。
モゾモゾと動く白い芋虫は、ここまで馬車を引っ張ってきて疲れたのか、人が歩く速度より遅かった。
なんて締まらないんだ。格好悪い………。
ちょっとまとめたり前後させたりするので明日は更新できないかもしれません。




