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第13話 「魔法 と 旅立ち」

■2017/03/25 亀の魔物の名前を変えました。

 クーちゃんに乗って森の中を移動し、ダンジョンの入り口が固まっている場所へと来た。

 すると、周りには草や木の根っこでできたアーチや、石が捻れて合わさったアーチ状のものなどが4~5個あった。

 その中の一つ、木の根っこが門のように開いているものへと向かう。向こう側が見えるからただの道にしか見えない。


「では、シュウ君。私が先に入ろう」

「ええ、よろしく」


 ダールソンさんが先行して木の中へと入っていく。

 すると潜っている途中でダールソンさんの姿が消えた。


「では、シュウ様。ダールソンに続いて、そこの木を潜ってみて下さいませ」

「え、今ダールソンさんが消えたところ?」

「ええ、ダンジョンというのは基本的に外と中で色々と違いますので」


 木でできた門のようなアーチを潜ると、そこには……さっきまで見ていた森が広がっていた。

 ダールソンさんが横で待っていて、後ろには誰も見えない。


「え?」


 あれ……おかしいな。


「ダールソンさん?」


 疑いの眼差しで見ると、カラカラと笑っていた。


「はっはっは!景色に驚いているようだね。一度、外に出てみると良い」


 言われるままに外へ出るとクーちゃんがそこに居た。

 あれ?シグは?


「シュウ様、こちらですわ」


 かけられた声に振り返れば、そこには…さっき入った門の向こうでシグが手を振っていた。

 んん?


「もう一度、こちらに向かって進んでみて下さい」


 言われたとおりに進んでみると、その途中で前に見えていたシグが消えて、隣にダールソンさんが居た。

 どういうことだ?


「シュウ様。以前ダンジョンは、魔法生物だと言ったのを覚えていますか?」


 後ろから、クーちゃんを伴ってシグが木のアーチを潜ってきた。


「ああ、うん。覚えてる」

「ダンジョンスキルにダンジョンボックスがありますけど、どうやって離れた場所に繋いでいると思いますか?」

「………」


 確かに、今までは便利な物っていう認識と、魔法のある異世界だからそれぐらいできるだろうと思っていた。

 では、何故ダンジョンボックスやアイテムボックスなどの限られた物でしか使えないのか。それを考えたことはなかった。

 何で、か。ファンタジーな世界で、こういう現象を実現できそうなものっていうと…。


「………魔法、か?」

「ふふっ。正解ですわ」

「シュウ君。魔法というのは、基本的に火、水、風、土の4つでこれらは基本4属性と呼ばれているものだ。素質のある者なら一般人でも簡単な物なら使うことができる魔法がある。だが、その基本属性以外の属性は限られた者にしか使うことができない魔法なのだよ。勇者や聖女が扱う『光』、闇の住人たる私たちアンデットが扱う『闇』、ダンジョンが使える『空間』。と言った風に、他にも特殊な魔法があるのだ」

「なるほど。『空間』だから、門の中と外で違う空間になっているってわけですか」

「ダンジョンは、その土地の環境を中で再現しつつも、それとは別空間に作られるの。だから門の周りを掘り起こしてもダンジョンに繋がることはないわ」

「ってことは入る前にあったいくつかのアーチって…」

「ええ、全部ダンジョンの入り口ですわ。違う空間に繋がるから、隣り合ってダンジョンがあっても中で繋がったりはしませんわ。試しに違う入り口に入ってみましょうか」


 シグに促されるまま、一度外に出て違うアーチを潜ってみる。

 その中には地下洞窟というか、TVとかで見たことがある坑道のような土と石でできた通路だった。


「とりあえず、まずはこのダンジョンから見ていきましょうか」

「ああ、分かった」


 幅、高さともに3mぐらいの通路をしばらく進むと、奥から身長1mぐらいで肌が茶色の小人、ゴブリンが数体で出てきた。

 年齢は多少違えども、大体の『鑑定』結果は以下の通り。


■名前:アースゴブリン

種 族:人型・亜人種

年 齢:8歳

性 別:♂

レベル:Lv1

クラス:ゴブリン

状 態:隷属


 あれ?クラッシュスパイクやスケイルファングだとそんなに『鑑定』しても情報が出てこなかったのに、スケルトンとかゴブリンみたいなゲームによく出てくる魔物は情報が大体出てくるな。

 ゲームとかでも出てくるような魔物は予備知識があるから出てくるって事…なのかな?

 これは、スライムやオークとかの漫画やゲームによく出てくる魔物を探して『鑑定』を使ってみないとな。


「よし、シュウ君。ここからは駆け足で進もう。とりあえず罠のあるところまで行くとしようか。実物を見て説明せねばな」

「え?ゴブリンが向かってきてますけど」

「あれぐらいの魔物相手なら、走りながらでも問題なく進めるとも」

「アイテムに関しても私とクーちゃんが拾って行きますので、シュウ様は存分に学ぶほうに専念して頂ければ、と」

「え、いや…僕はLv1なんですけど」

「「大丈夫だ(ですわ)」」


 有無を言わせないほどはっきりと言われた。




●7階層


「さて、この辺りなら罠があるから、軽く説明しておかねばな」


 そう言いながらダールソンさんが踏み出すと、ガコンッという音とともに石畳の一つが沈み込んで、周りの無数の穴から矢が放たれた。


「ぎゃぁぁああああ!!!」

「うわぁぁぁあああ!!!………ってダールソンさんは骨じゃないですか!!」

「まあ、慎重に進まないとこうなるから気を付けたまえ、という見本だよ。はっはっは!!」


 心臓に悪いわっ!心配して損したー!

 ダールソンさんは時々こういう茶目っ気を出すなぁ。

 長生きすると刺激が無くなっていくって言ってたから、人の反応を見るのが楽しいんだろう。質悪いわっ!


「慣れてくると、こういうこともできるがね」


 そう言ってもう一度同じ罠を動かす。


「『エアウォール』」


 その一言を呟くと、ダールソンさんへと迫る矢が、バラバラと弾かれたように周りに落ちる。


「今のって、魔法ですか?」

「そうだ。慣れてくるとこういったこともできるという見本だな」

「すごいな、魔法」

「ふっふっふ…そうだろうとも!魔法は素晴らしいものだ!シュウ君も…使ってみたくはないかね?」

「是非使ってみたいです!」


 魔法。それは子供の頃に、ゲームや漫画、アニメを見て憧れたものの一つ。

 使えるなら是非使ってみたい。


「良かろう!では、時間が勿体無いからダンジョンを攻略しながら説明するとしよう」

「………………………………は?」




●10階層


「おかしいな。さっきは罠があるから慎重に、って言ってませんでしたっけ?」

「こういうものは慣れだよ、慣れ。はっはっは!!」


 道中、魔法の使い方の説明を始めながら、ダンジョン内に一人分の足音が響いている。

 そう、一人分なんだ。

 ダールソンさんとシグは魔法で飛んでいる。クーちゃん?天井を走ってるよ。足音がしないけど。

 だから、事実上、僕だけ走らされているようなもんだ……!


「なに、このダンジョンをクリアしている頃には、魔法の説明は終わるから」

「うおぅっ!危ねぇぇええ!!」


 走っている途中で罠がある場所を踏み、下から何本も槍が突き出す。

 その槍が、僕たちの横から出てきたアリの魔物を串刺しにする。


【レベルアップしました。Lv2になりました】

【レベルアップしました。Lv3になりました】

【レベルアップしました。Lv4になりました】

【レベルアップしました。Lv5になりました】

【レベルアップしました。Lv6になりました】

【レベルアップしました。Lv7になりました】

【呪いの効果でLv1になりました。】


 これでもレベル上がるの!?


「はっはっは!!気を付けたまえよ、シュウ君!でだね、魔法を使うにあたってなんだが……」

「このままだと説明が終わる前に、僕の命が終わるんですけど……!?」

「大丈夫だ。罠にかからなければ問題ない」

「ちょっとー!?」


 この人、魔法が絡むとスパルタだ!!





●17階層


「魔法を使うためには魔力というものが必要であり―――」

「罠と魔物の攻撃を避けるので手一杯で頭に入ってこないんですけど!?」

「そう言っても、シュウ君は一度も罠にも魔物の攻撃にも当たってないから大丈夫だとも。続けるが、魔力というのはそもそも―――」

「ええいっ!鬱陶しいっ!!」


 通路を塞ぐ、土の人形であるゴーレムの大群を蹴り飛ばし、時々ゴーレムを足場にしながら走り抜ける。


【呪いの効果でLv1になりました。】

【呪いの効果でLv1になり―――】

【呪いの効果でLv1に―――】

【以下略×………】



「シュウ様の困っている顔も素敵ですわ…!」

「うるせー!!少しは助けろよ!!」

「嫌ですわ。ダールソンってば、魔法のことになると煩いんですもの」

「聞いているかね、シュウ君!?」

「聞く余裕がありませんっ!!」



●38階層


「よっ!…ほっ!………っと!」


 人間、慣れって恐ろしいね。

 段々大きく広くなっている道を罠も魔物も避けて進む。今は通路の幅と高さがが大体10mぐらいかな。

 ここに来るまでに数々の罠を見てきたお陰か、大体どの辺りに罠があるか分かるようになってきた。

 その証拠に罠を起動させる回数が段々と減ってきている。


「私がまだ人間だった頃は、詠唱と魔力で作られた魔法陣がないと魔法は発動できないものだと思われており―――」

「でも、さっきダールソンさんはエアウォールを使うときに詠唱も魔方陣も使っていませんでしたよね?っと」

「そう!そこなのだ!!私もそういうものだという固定観念があったのだ。だが、それを100年ほど前に、とある人と出会って―――」


 うん。さっきから聞いてるけど、魔法の話っていうよりダールソンさんの歴史を聞かされている気分だ。

 人と話す機会がほとんどないから、色々と話したくなるのも分からないでもない。

 けど、あんまり関係ない話が多いのは、僕が走りながら罠や魔物を回避しても、話を聞く余裕が持てるぐらいまで待っていてくれるのかもしれないな。


「そこで、私が今までやってきた研究は、研究でもなんでもないものだったと―――」


 うん。絶対違うわ…。



●42階層


「そろそろ、終わりのようですわ」

「終わり?って、あれ。行き止まりだ」


 気付けば大きな扉の前まで来ていた。

 扉の左右には石柱がありその上には深緑色の宝玉が浮かんでいる。


「ボス部屋ですわ」


 ボス部屋ってことは、このダンジョンの最下層まで来たわけか。

 魔法の話が全然入ってこなかったのは、ここまでの道のりが過酷だったからだろうなー。

 うん、僕は悪くない。


「おや、魔法についてまだまだ話足りないんだがね」


 ダールソンさんはずっと話していたはずなんだけど…。


「では、入りましょうか、シュウ様」

「というか僕はLv1なんだけど」

「大丈夫だ、シュウ君。ここに来るまでもそれなりのレベルと戦っていて大丈夫だっただろう?」

「まあ………」


 扉を開けて中に入ると、そこは400m四方の高さ50mもある部屋だった。

 部屋の中央へと進むと100mほどの魔方陣が広がって一つの大きな山が生まれた。山?

 高さ30m、奈良の大仏サイズの山か。


「え、これ魔物?」

「「魔物ですわ(だな)」」

「山の間違いじゃないの?」

「山のように大きなカメですわ」

「アースマウンテンタートルというカメだな。では、シュウ君。さっさと倒して次に行こうか」

「いやいや。こんなの倒せないでしょう」

「大丈夫だとも。試しに突撃してみると良い。見た目に反して攻撃しやすいから」

「えー………」


 まあ、いいか。

 どうせ倒さなければここから出られないんだし。

 足掻けるだけ足掻いておこう。

 本当に死にかけた時は二人が助けれくれるだろうし………。


「ここから、シュウ君の物語は始まっていくのであった。まる」

「勝手に物語にしないで下さいっ!!」


 結果を言うと倒せた。解せぬ。






 それから一ヵ月。思い出せる前世を含めて、最も濃い生活だったと思う。

 館に蒐集されていた書物を読ませてもらったり、話を聞いたりして知識を身につけることもできた。

 あと、この世界の文字も読み書きできるようになった。

 ダンジョンに関しては、他のダンジョンも走って攻略させられた。5つ全てを。

 一つ目のダンジョンで慣れたのもあって、罠や魔物を避けたり倒したり壊したりしながら魔法の話を聞くという無茶もできるようになった。

 スキルも色々なものを覚えたし、魔法も使えるようになった。色々とすっ飛ばした気がするけど。

 で、僕は旅に出た。世界を見て回るために。






「行ってしまいましたわね」

「ええ、そうですな…」

「ダールソン」

「はい」

「シュウ様のステータス………」

「あれは異常ですな。本人は『鑑定』を持ちながら気付いていないようでした」

「ふふっ!でも、いずれは気付くでしょう。………それにしても、シュウ様はあの方に似てましたわ………」

「………懐かしいですな。私もあの方に出会ったときのことを思い出しました」

「シュウ様は、あの方の望んだマスター足り得るでしょうか?」

「そうですな。シュウ君なら或いは……。だからこそ、今はまだ明かさなかったのでしょう?我々が託されたダンジョンを。我らが立ちはだかる敵であることを」

「いずれ、世界を見て識れば、ここに来ることになるでしょう」

「シュウ君のダンジョンも近くにありますからな。案外その時は近いかもしれませんな」

「………そうね。その時まで、私は眠るわ。次、目が覚めたときにシュウ様が資格を持って辿り着いたその時には………」

「心得ております。私が案内人となりましょう」

「ええ。お願いするわ。すべては亡き我らがマスター」


「「永遠とわ 笑壱しょういち様のために」」




※レベルアップの呪いは「Lv1になりました」であって「Lv1に下がりました」じゃない、ということで…。分かりにくいですが。


 館からダンジョンへと向かう所~旅立つまでを省けば良かった…!!

 とりあえず、次の話はちょっと飛んで町の方へ向かいます。



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