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第11話 「ダンジョン スキル」



「あ、ここです。この洞窟の中にあります」

「ふふっ、ここが私とシュウ様の愛の巣」

「………」


 今すぐなかったことにして帰りたくなってきた。はあ。

 クーちゃんから降り立ち、洞窟の中に入っていく。すると突然、天井に拳大の光の玉が浮かんで僕たちを先行しだした。

 僕が不思議そうにしていると、後ろからダールソンさんが声をかけてきた。


「我々は暗闇に慣れているから大丈夫だが、シュウ君はそうもいかんだろう。これは魔法の中でも簡単な『初級』魔法の一つだから、後で教えてあげよう」

「ありがとうございます、ダールソンさん」


 そのまま進むと行き止まりに辿り着いた。以前と同じようにヒカリゴケのような物が辺りを照らしだしている。


「この先なんですけど…」


 矢印もこの先を示しているが、これ以上は進めない。壁に先を指し示すが、そこにあるのは壁一面の岩の壁。


「ふーん、なるほどね。ダールソン」

「はい、お嬢様」


 見ただけで理解したのか、シグの声を受けて、ダールソンさんがローブの下から年季の入った杖を取り出す。

 杖は黒と紫を基調とした色合いで、先端に黒いカラスのような鳥の頭と蛇、髑髏が付いており、それらの頭を通って後ろに流れる毛が捻れて杖へと巻き付いている。

 その杖を振るい地面に立てると、いしづきコンっという軽快な音が洞窟に響き、静寂に声を落とす。


「大気に眠る幾千幾百の者達よ、集い来たりて我が前の障害を打ち砕け!スパイラルウェーブ!!」


 言葉が紡がれると、ガリガリと見えない何かが岩壁を削っていく。

 ファンタジーの住人であるエルダーリッチのダールソンさんが言うから様になっているけど、僕が言ったらただの痛々しい人になりそうだ。詠唱がない魔法とかないかなー。

 そんなことを考えている内にも、気付けばかなりの距離の岩壁を削っている。15mほどか。

 流石は魔法。人一人で工業用機械並みの仕事をしているな。僕の骨とは大違いだ。


「すごいですね」

「あっはっは!!そうだろうとも」

「あら、どうやら着いたようね」


 魔法について聞こうと思ったら、金属製の光沢のある板が見えた。

 シグの言葉を耳に入れながら、引き続きダールソンさんの魔法が周りを削り、扉全てが姿を現した。

 良かった。自力でこの距離全てを掘ることにならなくて。ダールソンさんの魔法がなければ、骨とかで掘る努力をしなければいけなかったよ。こんなに長くなる通路全てを。


「よし、じゃあ開けるよ」

「ええ」

「うむ」


 グッと力を入れて押してみる。

 ん?開かないな。力が弱いのか?

 更に強く押してみる。

 んんーっ!!

 ビクともしねー!!

 Lv1だからかー!!


「っく!ぶふっ!外開きの扉だから、引かないと開かないよ、シュウ君」

「……っく、ふふっ!シュウ様、そもそも扉は念じれば勝手に開きますわよ……っく!」


 そーいうのは、もっと早く教えて欲しかったよ!!

 試しに念じてみると、スッと音もなく扉は消えた。ちくしょー!!


「先程のシュウ様は可愛らしかったですわ」

「忘れてくれ……」


 いっその事、記憶がなくなるほど頭を揺さぶってみようかと思ったけど、逆効果で喜ぶことになりそうだから止めとこう。

 本当にドMは何しても悦ぶから質が悪い。

 シグは普段はダールソンさんと口喧嘩のようなものをしているけど、こういうときは息がピッタリだ。付き合いが長い故の掛け合いのようなものなんだろう。

 ダンジョンに足を踏み入れると、以前頭に浮かんできた通り、待機部屋に辿り着いた。


「部屋はこの待機部屋と通路、ボス部屋の3部屋しかないんで。あと宝物庫」

「Lv1だからかしら?ダンジョンはLv30~50で入り口を作るのが普通なのだけど、その場合はLvと同じ数の地下階層ができあがっているのよ。そして、最下層にある宝物庫前にあるボス部屋にボスが配置されるわ」


 待機部屋、通路、ボス部屋へと移動して行きながらシグが解説してくれる。


「ボスを倒して宝物庫内にある核を破壊すると、ダンジョンに貯まっていた魔力が周りの土地に流れ出すの」

「ん?ダンジョンコアは宝物庫内にあるのか?」

「そうよ」

「ダンジョンボックスを使ったときには見えなかったんだけど……」

「ダンジョンボックスは、ダンジョンコアを起点として入り口を開くから見えないのよ」


 むぅ、流石にそこまでは楽させてくれないか。仮にできるなら、ダンジョンボックス開いた瞬間に他人が入って、コア壊すっていうのができてしまうしなー。コアが見えるだけでも壊すのには充分だろうし。

 魔法生物とはいえ、死にたくはないってことか。


「それにしても、本当に何もないのね。これが生まれたばかりのダンジョンの形なのかしら」

「そうでしょうな。ここから更に周囲から魔力を取り込むことで成長するのでしょう」

「そのようね。……とりあえずコアまで行きましょうか」


 僕は頷いて、宝物庫の扉を開ける。

 開いた瞬間、中から生ゴミ捨て場のような腐敗臭が漂ってきた。


「うっ、魚臭い」

「なんですの、この臭い」

「臭いですな」

「ダールソンさん、骨ですよね?」

「あっはっはっは!!気のせいだったな!!はっはっはっは!!」

「何の臭いだ、これ………」


 思い切って宝物庫に足を踏み入れると、そこにあったのはクラッシュスパイクとスケイルファングの死体だった。そういや、大量に入れてたっけ。


「Lv1のダンジョンだからかしら、状態保存の機能が付いていないのね」

「状態保存の機能?」

「ダンジョンの宝物庫には、腐敗や劣化を防ぐ機能が付いているのよ。自らの内で生成した宝物や宝石などの財宝が劣化してしまうと、冒険者は来ないでしょう?だから、保存の魔法というのが掛かっているものなのよ」

「そもそも宝物庫に生モノは入っていないですからな、もしかしたら防臭効果がないだけかもしれませんな」


 このダンジョンボックスに魚の生臭さが染み付いたら、それ専用にしないとダメかもしんない。


「とりあえず、一旦出ましょうか……」

「いや、コアに触るなら今の方が良い。この臭いだと知った後、もう一度足を踏み入れるのは躊躇ってしまうだろう」


 それもそうだ。

 覚悟を決めて部屋の中央に視線を向けると、オレンジ色の拳大の水晶のようなものが浮かんでいる。あれがコアか。

 近づいて手で触れる。


「ダンジョン操作」


【DPが足りません】


 あ、こっちを忘れてた。


「シグ」

「なんですか?シュウ様」

「DPってどうやって貯めるんだ?」

「ああ、それはですね。ダンジョンが周囲から少しずつ集める魔力が変換されるのを待つか、コアへ直接魔力そのものを入れて変換する方法がありますわ」


■『怨恨』のダンジョンコア

種 族:魔法生物・鉱物種

年 齢:30歳

性 別:???

レベル:Lv1(永級)

クラス:ダンジョンコア


●ステータス

HP:100

DP:7

STG:0

VIT:30

INT:0

MEN:0

AGI:0

DEX:0

LUC:0


●スキル

・魔力吸収Lv1

・DP変換Lv1

・ダンジョン操作Lv1

・ダンジョンボックスLv1

・モンスターコア吸収Lv1

・モンスター召喚Lv1

・モンスター使役Lv1

・モンスター作成Lv1

・罠生成Lv1


 おおっ!

 確かに数日分で少しだけど貯まっているな。計算的には………一日に1DPだな。ショボい。これもLv1だからなのかな。

 本当に全てのことにLv1が関わってくるわ-。

 これは一つのことを伸ばすより、広く色んな事を憶えるようにした方が良いかもしんない。上がらないんだし。

 呪いが解けるまでか、一時的に封印でもできない限りそうしようっと。

 もう一度、コアに手を触れて魔力を流してみる。


「………魔力ってどうやって流すんだ?というより魔力というのは、感じるのに才能とかいるんじゃないの……?」

「とりあえず魔力を流すって思っていれば良いと思いますわ」


 ふむ。

 魔力よ流れろ-。魔力よ流れよ-。魔力よ流れよ-。……こんな感じか?

 すると、骨生成をしたみたいに自分の中から何かが失われていく感覚があった。これか、魔力って。

 随分とあやふやなもんだな。骨生成を繰り返し使っていたから、以前よりはまだはっきりと分かるってぐらいか。


【『怨恨』のダンジョンがLv2に上がりました】

【呪いの効果により、『怨恨』のダンジョンがLv1になりました】


 うん、ですよねー。

 でも、これでダンジョン操作が使えそうだな。


「ダンジョン操作!」


【ダンジョン操作に必要なDPを一覧表示します】


「おおーっ………」


 つい声に出してしまったが、一覧表示を見て意気消沈した。

 だって、100DPでできることって、


■100DP

・部屋を広げる(1㎡)

 ※床面積、高さのどちらかの表面積を選択

・罠を設置する(足元に張った紐)

・入口に看板を立てる(初回のみ)


 の3つのみ。

 部屋を広げるのはまだ良い。ちょっとずつでも、確実に広げていけば良いんだし。

 入口に看板を立てる。まぁダンジョンの名前書いておくとか「ようこそ」って書いておける表札みたいな物があると、人をダンジョンに誘い込む上で必要になるだろうし、口コミとして目印になるだろうから、いずれ必要になる。…と思う。

 ただし罠、テメーはダメだ。

 足元に張った紐で躓かせるのが目的だと思うけど、そんなもの紐さえあれば自作できるわ!100DPも使っている割にはショボい!

 というかLv1だからか、DPが100までしか貯めておけないのか……。

 確かに今できる内容から考えて、このダンジョンはすぐに誰かにクリアされてしまうと思う。部屋しかないから。

 とりあえず、宝物庫の面積を広げておく。


「シュウ様。ダンジョン操作はどうでしたか?」

「100DPまでしか貯蔵できないっぽいから、部屋を1㎡分の表面積を広げるのと、看板の設置、足元に紐を張るだけの罠を作る……しかできないんだけど」

「Lv1だと最低限の100DPなんですね。ダンジョンコアのレベルが上がれば、既存のダンジョンと同じく色々と出来るのでしょうけど………」

「シュウ君の呪いでダンジョンコアがLv1のままだと、できることはそれだけになるでしょうな」

「はあ、しょうがない。とりあえず次行きますね。モンスターコア吸収!」


【ダンジョンコアにモンスターコアを近づけて下さい】


 床に落ちていたスケルトンの核晶石を持って、再度近付けてみる。

 すると、核晶石がダンジョンコアに吸い込まれていった。


【スケルトンの核晶石 Lv1を吸収しました。モンスター召喚の一覧に『スケルトン』が追加されました】

【モンスターコア吸収により、DPが1回復しました】


 魔力を注ぎ込んでも、モンスターコア吸収でもレベルは上がるのか。本来なら凄い上げやすいんだろうな-。


「モンスター召喚!」


【召喚できるモンスターの一覧表示します】

・スケルトンLv1 100DP


 うん、やっぱり吸収したコアから一覧表示がされるのか。

 とりあえず、手持ちの核晶石を全部吸収しておこう。

 スケルトン10個とスカルドッグ6個、スカルバード3個の合計19個で19DP。それと100に足りない分は魔力を注ぎ込んでおく。

 ダンジョン操作と合わせて魔力がもう尽きるよ…。魔力が、魔力が足りないっ!!


【『怨恨』のダンジョンがLv2に上がりました】

【呪いの効果により、『怨恨』のダンジョンがLv1になりました】


 とりあえず1体召喚しておこう。


【召喚できるモンスターの一覧表示します】

・スケルトンLv1  100DP

・スカルドッグLv1 150DP

・スカルバードLv1 200DP


 うん、そんな気はしてた。

 スカルドッグとスカルバードは召喚できないのか。残念だな。


「スケルトン召喚!」


【モンスター召喚により、スケルトンLv1を召喚しました】


■名前:???

種 族:アンデット・人型種

年 齢:0歳

性 別:♂

レベル:Lv1(永級)

クラス:スケルトン

状 態:隷属


●ステータス

H P:52

M P:0

STG:10

VIT:8

INT:5

MEN:7

AGI:6

DEX:7

LUC:8


●スキル

・状態異常無効Lv1

・復活Lv1

・闇属性耐性Lv1

・光属性弱点Lv1

・斬撃耐性Lv1


●装備

・鉄の剣Lv1


 おお、これだこれだ。

 見た目は、僕を襲ってきたスケルトンそのままだ。

 こいつはデフォルトで鉄の剣を装備してるのか。

 名前の欄が???なのは、自分で名前を付けることができるのかな。

 隷属はダンジョンコア経由で召喚されたからかな。

 ステータスはやっぱりLv1では一桁なんだなぁ。

 あ、スキルは僕より多く持ってるな。

 ダールソンさんと同じくアンデットの特徴である『状態異常無効』と『闇属性耐性』、骨だから効きにくい『斬撃耐性』。

 『復活』は、僕が倒しても倒しても味わったものだから良く知っている。

 コアが壊されなければいくらでも復活する。…いくらでもかな?ちょっと検証してみたい。

 しかし………僕よりスキルが多いなー。ちょっと羨ましい。

 それと名前…付けないとな!!




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