13、少女 セシリア(セシリア視点)
セシリアは目を覚ますと床に倒れていた。
どれぐらい気を失っていたのだろう。
そう思い立ちあがろうとする。
細く、華奢な腕が出てきた。
おかしい。
セシリアは、身長は平均ぐらいだが、元勇者ということもあり普通の女性よりも筋肉がついている。
だから、彼女の見慣れている腕はこの細い華奢な腕ではないのだ。
まるで、聖剣に選ばれる前の頃のような細い腕。
セシリアは違和感を確かめに、鏡の前に立つ。
「うそ…….」
鏡には記憶より一回りも、二回りも小さい自分がいた。
この腕でこの身長なら、15歳くらいだろうか。
セシリアは若返ってしまったのだ。
彼女は原因を考える。
「まあ、うん。あれだろうね……」
行商人から貰った透明な粒、あれしか思い浮かばない。
やっちゃったぁ…..
セシリアが後悔に苛まれていると、突然…..
チリンチリン。
扉の開く音がする。
「おねえちゃんー?いるー?」
来客だ。
いくら元勇者とて、ドジした姿など見られたくない。
「いまはちょっ……」
そう思い口に出そうとしたがもう遅い。来客——ルネに見つかった。
「え?」
セシリアが弁明しようと口を開く。
しかし……
「かわいいーーー!!」
ルネはお構いなしにセシリア(15歳)を構う
「服はおね….セシリアのを着てるって事だし、セシリアの親戚??名前は?年齢は?それとそれと……」
しつこい…..
「ちょっと、ルネ落ち着いて。私がセシリア。君のお姉ちゃん。」
一瞬の静寂が空間を襲う。
「えええええ!!!!」
こんな反応になるよな…..。私も大声で叫びたい。
しかし、人間は自分より驚いてる人を見ると冷静になるようだ。
それでもルネは納得しない。
「だって、おねえちゃんって今年3….2?だったはずだよ?こんな若くて可愛い少女じゃないって!!」
この生娘、失礼な。
「セシリアおねえちゃんは、いつでもどこでも可憐な美少女ですぅ!!」
鼻で笑うルネ。
「30代で美少女は無理があるwww」
よし、決めた。
「私はおばあちゃんらしいので、今後ルネのためにパンを焼けません。」
そう言うと、この世の終わりみたいな顔で
「ごめんおねえちゃんんん。それだけは、それだけはぁぁぁ……」
こんな泣き顔して、15歳にもなって恥ずかしくないのかしら。
でも……ちょっと言いすぎたかな…..
「ごめん、冗談。ほら、パン焼くからテーブルで待ってて。その時にお話ししよ?」
ルネの顔がばぁっと晴れていく。
眩しい。笑顔が眩しい。
セシリアはパンをかまどに入れ、おやつの準備をするのだった。




