第五転調『物差し』
「じゃあ、あの謎の正体は何なんだよ! 教えてくれるんだろ?」
(教えて……あーげない!! 私を倒せたら、教えてあげる! でも、もう私をあなたは見つけられないと思うけど??)
どういうことだ?
すると、その女の子は次の瞬間、消えていた。
「おい? 眠り姫は、どこに行ったァ??」
「……」
「責任取れよ? お前、なんかしたんだろォ? お前が消したようなもんだろ?」
「そこまでにしろ、奴隷商人!!」
「アァ? お前、ワイの邪魔すんのかァ??……!!」
この人は……。
「騎士団のエンブレムが見えて、言葉を失ったか?」
「お、お前はァ?! 覇道帝カイザーか?!」
覇道帝??
「大丈夫か? バリスよ!!」
「おかげさまで……」
その一瞬の会話で、あの商売人はどこかに逃げてしまったのだろうか……姿が見えない。
「いるんだろ?? 出てきて自首しろ! 隠れても無駄だ」
「え? 隠れているのか??」
「出てこなかった場合、命の保障はないから早く出てきてほしいんだが??」
「バレたかァ、流石は騎士団長様だなァ……すみませんでしたァ!!!!!!」
流れるように、商売人は降伏した。
そして、カイザーから説教を受けていた、
流石に言い逃れはできないみたいだ。
そして、カイザーに説明することにした。
自分の力の正体の秘密を彼女は知っているということ。頭の中で呼びかけられて、ここまで探しに来たということ。
カイザーは、少し首を傾げた。
「バリス、自分の強さを理解してないな?」
「強さ?」
最弱の力だと思っていたんだが?
強くなったとか期待はしたけど.....
「バリス、お前から覇気が溢れ出てるのだが、無意識か?」
「覇気?? 覇気って、強い人が持つオーラのことですか?」
聞いたことがある。
覇気を持つ人は強者の証明を持っている
という話は有名だ。
「そうだ。しかし、お前の覇気の濃度が異常なほど高いんだ」
「濃度?」
「言ってもわからんな。一度、騎士団本部へ来い。調べてやる」
「そうだな、そっちの方が賢明かな」
こうして、カイザーが率いる騎士団の本部へ向かうことにした。
しかし、あの娘は一体何者なんだ?
どうして、僕を呼んでいた?
力の正体??
僕の身に何が起きているんだ??
――ここが龍聖騎士団本部!!?
もはや、城じゃないか??
連れて行かれたのは、明らかに怪物の集まりだった。
「客人を連れてきた」
カイザーがそう言い張ると、その人たちは叫び始めた。
「お前ら! 歓声を上げすぎた! まだ入団してくれてねぇよ!……これからだ!」
最後の一言が余計だ。また盛り上がってしまっている。
中には、雄叫びを上げ始める人もいた。
「カイザーさん? この怪物のような人たちは?」
すると、首を傾げたカイザーは、少し不思議そうに笑い出した。
「怪物? こいつら? 俺の大切な団員だ!」
「え? 団員?」
すると、背後から声がした。
「カイザー? この人が話してた面白そうな奴?」
一切、気配を感じなかった。
「ここでは、団長って呼べって言っただろ? ミケ!」
ミケ?? 後ろの方の名前か?
……って、あれ? いない?!
「はいはい、団長」
さっきまで背後にいたはずなのに……。
カイザーの前に立ってる?!
どうなっているんだ?
「ミケ、騎士団員の前で創力を見せすぎた。お前がバンバン創力を使ってるから、新人が自信を失って騎士を辞めてるぐらいなんだわ……勘弁してくれ」
カイザーが呆れてる??
「まぁまぁ、お手本のようなものさ! 幹部として、団員にお手本を見せるのは当たり前じゃない?」
これが、幹部なのか……?!
「お前の場合は悪い見本だ」
「あの、カイザーさん? そちらの方は??」
「どうも! 龍聖騎士団、翠の幹部、ミケランズ・レ・フラットだ!」
ミケランズ、この人が幹部……。
カイザーは僕を幹部クラスで勧誘した。
でも、ただでさえ団員が怪物たちなのに、その人たちより化けてる人と同じ階級って、何かの間違いか?
「ミケ、一度コイツに一発だけ喰らわしてみろ」
え?
「オッケー! 歯を食いしばってね! 歯、なくなっちゃうけど!!」
これ、殴られるの??
痛いの嫌なんだけど!!
っていうか、歯がなくなるほどなの?!
当たりたくない!! 絶対、当たりたくない!!
……当たるな!!
確かに、その軌道は僕の顎を捉えていた。
しかし、
「いっ……たくない??」
「あっれ? 確かに軌道は合ってたよね??」
「これは……!!?」
カイザーは落ち着けない様子だった。
「もう一発!!」
ミケランズは何かの間違いだと思ったのだろう、もう一撃を狙い始めた。
すると、
「待て、ミケ。一発だけと言ったはずだ。もういい」
「もう! カイザー! 殴れてないんだけど!! 後味悪いよ!」
「ミケの拳の軌道は確かに良かった。一瞬だ。その一瞬の間に軌道が変わっていた。それも、必ず外れるような方向へ」
「カイザーさん?」
何かぶつぶつ言っているカイザー。むしゃくしゃして駄々をこねてるミケランズ。
いつもこんな感じなのか? この騎士団……。
「バリス、一度可視化しよう」
「可視化?」
先ほどまで駄々をこねていたミケランズは、疑問があったのか、
「団長、あれ使うの?」
と、カイザーに確認していた。
「バリスのステータスを可視化するんだ。平均値と比較する」
カイザーに連れて行かれた先にあったのは、剣の石像だった。
「この剣を持ってみろ。その剣に触れたら測定が始まる」
「じゃ、じゃあ……」
そして、剣を持った途端、
剣の石像は粉々になってしまった。
また弁償?!
「お、お前……!!!」
「すみませんでした!!」
カイザーは、恐ろしく険しい表情をしていた。
「あの測定剣が壊れるなんて……お前、凄いぞ!!!」
「んぇ? あ、これセーフの流れ? 間違ってはない流れ??」
「もう、合格だ!!」
「いや、試験を受けてるつもりないんですけど?!」
「いいや、誰が言おうと合格だ」
「なら、こちらからお取り下げします」
逃げる様に、
興奮したカイザーを後にして、僕は我が家に帰った。
「団長! どうだっ……た? 団長??」
「ミケ、この数値を見てどう思う? 俺たちは平均値から算出しようとしたが、どうやらそれが間違いだったみたいだ」
「そうだね、団長!……バリスか、物差しで測れないほどの強者ってか? 面白えじゃん!!」
そして、騎士団の幹部と団長に気に入られてしまったバリス。
しかし、この数値を知って奮い立ったのは、この二人だけではなかった。
「あなたが、これほどまでの人だとは思わなかったけど、面白そうね。精々、私を楽しませてくださいね……??」
第五転調をここまで読んでくださってありがとうございます!!
「何が起きているんだ?!」
「この謎が気になる!」
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では、次の転調で会いましょう!!!




