第二十二転調「進むべき道」
眠り姫が去り際に目覚めさせたのは裂け目の奥で明らかに封印されている人型のナニカだった。
ただの人型ではない、聖龍王であるアーサーの10倍はあるだろう。
アーサーはもう戦えない、それにさっき眠り人に当てたはずの奥義は少しだけ軌道をズレてしまった。
眠り姫はまた何処かに去って行った
今は眠り姫の跡を追いたいところだが、
まずはこの人型のナニカから生き延びないと生きては帰れないと思った。
こんな状況でもアーサーは冷静だった。
「残っておる私の力では、お主は通れる程度で精一杯だ」
つまりこの空間から脱出するという事だろう。
だけど、だけど
「アーサーも、だよね?」
脱出する為には力をかなり消費する
「バリス、お主と出会ったのは偶然ではないのだ私はお主に導かれたのだ、だからお主には生きてもらないといかんのだ」
アーサーが言っている事はわかった。
でも意味がわからない事がある。
「アーサー、それってどういう意味?」
アーサーに教えてもらって来たからか、率直に疑問を聞いてしまった。
「バリス、それはお主が己の力で見つける事に意味があるのだ」
最後まで本当に意味がわからなかった
そんな事を言っていると人型のナニカが動き出した。
「生きろ、バリス。
何があろうとも導くのは己自身だ。
そして、この世界の真実を......」
ーーこうして、最後までアーサーに助けられた僕は情けなさと、同時に後悔に押し潰されそうになった。
それでも僕は前を向かないといけない。
これは、アーサーに託された命だ。
下ばかり見ていてはアーサーに叱られてしまうから前を向いて歩き出すよ、
「ここは.......?」
アーサーが開いた扉の出口は、
あの冷蔵庫の中ではなかった。
「バリス?どうかしたかい?」
ヴェル?どうしてここに?
「急に立ち止まらないでよ!」
ピックも居るみたいだ。
何が起こっているんだ?
何か見覚えがある風景、
そして、黒いフードを深く被った人が目の前を過ぎ去って行った。
「黒いフード??待てよ前にも見た気がするな?」
そういえばこの光景を僕は知っている
デイズ大陸に到着して直ぐの事だった筈......
まさか.......
「黒いフード被ってる貴方が持ってる石板って、誰かにもらった物ですか.......?
それとも、盗んだ物ですか?」
その黒いフードを被った人は足を止めた。
「何故私が石板を持っていると知っている?」
前に持ってるとこ見たなんて言っていいのだろうか?
「バリス?どうしたの?」
ヴェル達は知らないのは当然だろう。
僕は時を遡ってしまったのだから、
ーー聖龍鑑定師団本部では、
「聖龍が動き出したみたいです!」
聖龍が動き出したと報告が入った。
「聖龍に動きがあったか、情報源はどこだ?」
聖龍の動きを捉える探知機に反応があった。
「反応があった場所は......デイズの首都からです!」
団長は違和感を覚えた。
それに気がついたのは団長だけではなかった。
幹部クラスの団員も気がついた。
「我々はあのお方に伝えなければならないのだ」
そんな中、幹部クラスではない者は理解が追いついていなかった。
「団長、どう言う事ですか!!
まだ奴等から、白と黒の紋章を奪還できておりません!」
その団員に団長は告げる。
「その伝承の石板より重要な事だ、
それ故に、最重要任務である」
この任務には副団長のネスク、
団長自ら出迎えると言う事だ。
「団長と副団長のみでこの任務を遂行する」
団長と副団長の任務はただ一つ、聖龍王 アーサーに伝えなければならない事があった。
それは.......
ーー「貴様は、聖龍鑑定師団の団員だな?
無駄だ、あの鑑定師達でも私には触れれぬ」
黒いフードの男は自分には触れれないと言い張ったが、触れれないのは、一部だけという事に気がついた。
隙だらけの創力、そして彼の間合いに入り込もうとした時だった。
「そこの君たち、止めなさいこんな街中で
争うなど......黒いフード!!
遂に見つけたぞ!」
緑色の髪を靡かせている男が来た。
その男から筋の入ったタトゥーが頸にあるのが見えた。
その男から逃げるように、
黒いフードを被った者はその場を立ち去ろうとした。
「クソッ!そう簡単に捕まってたまるか!!」
すると、黒いフードの者は、その場から動けなくなっていたのだ。
「クソ、クソ!何故だ!!何故、足が動かない!!」
その黒いフードの者に近づく足音が大地を揺るがした。
「ピック!バリスも!避難した方がいい!」
ヴェルは避難をしようと声をかけてくれているが、
「大丈夫、ヴェル。この人は味方だよ。
聖龍鑑定師団の団長さんだから」
この人を僕は知っている。
「聖龍鑑定師団、団長 リザード、この時を持って黒きフードを被りし者、いや、スリープ、貴様を罪人として確保する」
スリープ、眠り姫の名だ。
眠り姫は今冷蔵庫にいる筈......こんなところにはいる筈ない!!
その時被っていたフードから見覚えのある顔が現れた。
「あーあ、流石だ!リザード君!キミも聖龍に選ばれただけはあるね!バリスくん、キミはようやくここまで辿り着いたんだね!」
本当に眠り姫なのか?
「アーサーは、アーサーは生きているのか」
眠り姫は答えなかった。
「アーサーは生きているのかと聞いているんだ!」
眠り姫はこの世界に告げた。
「「なら、これで最後にしようか......」」
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