第二転調『リバース』
――結構な時間、眠っていたようだった。
目を覚ますと、そこは自分の知る風景ではなかった。
まるで貴族が暮らすような豪邸に、自分は居たのだ。
何が起きたのか、理解が追いつかない。
そうだ、母さんは無事か!?
急いでお母さんを探したが、辺りに母さんは見当たらなかった。
「本当に何が起きているんだ……?」
一度落ち着くために、外に出た。
だが、自分の知る街の雰囲気はどこにも無かった。
聳え立つ無数の建物が無くなっている。
いや、違う。
……これは、建物自体が入れ替わっているのか?
それに、見て分かる事だけじゃない。
自分の体に異変があった事に気が付いた。
「僕の体から、溢れ出るほどの力が光り輝いているのがわかる……」
もしかしたら、強くなりたいと願ったから強くなったのか?
「試しに何か創力を使ってみるか」
創力は与えられた際に、二つの影響がある。
一つ目は、人間ではあり得ない力を使えるようになる。
そして、二つ目はマニュアルである。
使い方を知らなければ上手く扱えないという、神様の気遣いだろう。
しかし、僕にはマニュアルは与えられていなかった。
「マニュアルがないなら、方法を見つけるまで試せっていう意味なのかな?」
なら、一万通りでも試してみたい!
「この力を!!!」
――気が付けば、夜が明け始めていた。
「ふぅぁあぁっ……あれ? もう朝? 夜が明けるまで試した甲斐があったな」
僕はマニュアルに頼らずに、自力で力の使い方をたった一つだけど覚えた。
それを『創造[メイクルド]』と呼ぶことにした。
創造の使い方は至ってシンプルだった。
想像したものを出せるというもの……。
その利便性の割に代償はなく、実用性はありそうな力……なのか?
実際のところ、まだ実感はない。
未だに理解できていないこの状況……。
それは今の自分には、まだ分からないことだ。
いつか、それも理解する日が来るのだろう。
「そろそろ……異変が起きていた街を、調べに行こうかな」
僕の知っている建物や、城はなかった。
教会すら無い……。
どうやら、街の雰囲気は大きく変わってしまっているようだ。
「何が起きているんだ……」
あれ?
力が入らない……。
瞼が重たくなっているのを感じた。
「大丈夫?」
何処かで聞いたことがある声がした。
僕はその場で倒れてしまっていたらしい。
「あっ、目を覚ました……急に倒れるから心配したの」
どうやら、気を失っていたようだった。
側に居てくれた少女が、教えてくれた。
ただ、不可解な点がある。
この少女は、王族のはずなのに、貧相な服を着せられている。
一体何があった? どうしてそんな服を着ている?
「どうしてこんな服着てるのかって? それは、私が貧乏な村人だからよ」
「いや、そんな酷いこと……思ってないよ!」
「嘘ね、みんな私をそう言って笑ってる」
本当に何が起きているんだ?
彼女は、王族だった……『だった』?
もしかして、
「キミは、王族だったよね?」
「何を言っているの? あなたが王族でしょ? やっぱり、私を馬鹿にしているのね!」
やはりそうだ。
階級が入れ替わっているのか……何が原因だ?
誰かの仕業なのか?
いいや、聞いたこともない。
こんな事が出来る力なんて……。
今は、わからない事が多すぎる。
情報を集めて整理しよう。
「ごめんね! 酷い事言ってしまって! お礼はまた今度するね!」
「ちょっと! 変な人……普通お詫びだと思うんだけど? ……うーん、何処かで見た事あるような気がするけど、気のせいかな?」
僕は多くの人に尋ねたり、自分の目で見たり、情報収集として今の現状を調べ尽くした。
そして、分かった事がある。
この世界自体がおかしくなっているという異常事態であった。
そもそも、大陸は二つしかなかったはずなのに、四つに増えているのだ。
更に、人間しか種族は居なかった。
しかし、獣人族や妖精族などの多くの種族がこの街でも交流しているのだ。
その上、創力の強かった者が弱くなっているのだ。
元の世界とは、真逆の世界になっているのか?
こんな事が出来る人はいるのか?
もし仮に、こんな芸当が出来る人が居るなら、誰よりも強い創力を持っているのだろうな……。
あれ?
もし強さが逆になっているのなら、
元々僕は、世界で一番弱いとされていた創力を持っていたんだよな?
今は、世界で一番強いとされる創力になってしまっているのか?
これ、もしかして僕がやってしまったのか?
まずい、取り返しがつかないことをしてしまったのかもしれない。
僕は、世界を変えてしまったのか……!?
第二転調をここまで読んでくださってありがとうございます!!
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