第一転調『希望の鼓動』
【お知らせ】本日!初投稿なので第一転調〜第三転調(3話)まで
同時公開します!
明日からは毎日一転調(1話)ずつ投稿します!
―――この世界は理不尽だ。
まるで、世界そのものに呪いをかけられているようだ。
この世界には、『僕』のような弱い奴は必要ないのか?
「これは、僕が正しき答えを導く物語だ」
僕の名は、
『バリス・ド・フラット』
平民……と言っても、平民と胸を張って名乗れるほどの暮らしはしていない。
何故なら、僕はこの街で一番の貧乏人と呼ばれているからだ。
そんな僕は、今日で十七歳になる。
これで、晴れて大人の仲間入りだ。
この世界には二つの大陸がある。
それぞれの大陸は非常に仲が悪い。
そんな両国が、唯一結んでいる条約がある。
……【成人した者は、創力を授かる義務がある】
という条約に従い、僕は教会で神様に創力を授かる!
教会には、眩しいほど神聖な光が差し込んでいる。
「今日、僕はこの教会で創力を授かるんだ」
そんな僕の前に、如何にも大柄で目つきの悪い男が二人もやって来た。
「えぇと、僕に用があるのでしょうか」
男たちはニヤけながら、こう言った。
「お前みたいな一番の貧乏人は、一番弱い創力を授かるんだろうなァ」
散々言われているのに、慣れてしまっている自分がいる。
それが、ひどく虚しかった。
「そりゃ、どうも。心配いりませんので」
男たちは、またもや口を開いてこう言った。
「貧乏人君が可哀想だから、前もって心配してあげたんだけどなァ?」
世の中の人間は、僕のことを下に見ているような扱いをする。
だけど、何もできない自分は、歯向かうこともできない。
「僕は何を言われようが傷つきませんので、僕に構わず授かって来たらどうです?」
男たちは面倒臭そうに、神父様のところへ向かって行った。
「大丈夫?」
……と、心配の声をかけてくれた人がいた。
その人は、美しく気品のある女の子だった。
「君は……」
その女の子は、小さな口を開いた。
「私? 失礼、名乗ってはいませんでしたね」
『クノエ・ファ・ナチュ』
彼女は、そう名乗った。
聞き間違いかと思って聞き返したが、答えは同じだった。
「もしかして、王族の?」
彼女はキョトンとした表情をして、
「王族だなんて、気にしないでいいのですよ」
そう軽々と答え、しなやかな金色の髪を靡かせた。
「あなたが、あの二人の大柄な男性に絡まれているのを見てしまったので」
教会にシスターの声が響く。
「バリス・ド・フラットさん、どうぞ」
ようやく、僕の番が来たようだ。
「では、失礼します」
すると、クノエ様は、
「また機会があれば、お会い出来ることを祈ります!」
と、言って列に並びに行った。
僕と関わっても、大して何も得られないというのに。
とても不思議な人だった。
神父様の前に立つと、神父様は祈りの詠唱を始めた。
「我が世界の守り神よ、我らに祝福と力を授け給うて」
その瞬間、突如として僕の体に光が差した。
「祝福は幸福に転じ、力は己の物と成り変わる」
――『ブリンギング』
遂に、僕にも神様の加護と創力が与えられたのか。
しかし、大事なのはここからだ。
一体、何の能力が与えられたのか。
石板に刻まれた三文字に、僕は絶望した。
『製作者』
という創力を与えられたのだ。
先ほど大柄な男たちが言っていた通りになってしまった……。
『製作者』は、この世界で一番弱いとされる創力であり、歴史上一人だけしか与えられていなかった創力である。
つまり、かなりの低確率なのに、外れ創力である。
今度は、神にも見放されたのか。
「もう、身も心も冷めて来たことだし、帰るか」
僕が住んでいるのは、今にも壊れそうな柱だけで建っているような、ボロボロの家だ。
むしろ、家があるだけマシだと思うぐらい貧乏だ。
病気で寝たきりの母さんと、二人で暮らしている。
「母さん、ただい……」
明らかに様子がおかしい。
「母さん……! しっかりして、母さん!」
僕は慌てて、母さんを抱えた。
「あ……のね。母さんは、もう……口も、回らないかもしれないけど……」
「あなたが……生きてくれる。それだけでも、私は……幸せだったのよ……」
僕は、涙が頬を伝うのを感じた。
「母さん、ごめんね。あの時、僕を庇って……こんな苦しい病にまで罹ってしまって……」
母さんは、苦しさを感じさせぬような笑顔で、
「次は、あなたが幸せになる番……。だから……私の分まで、生きて……ね……」
僕は、この絶望という悪夢を二度も見てしまった。
一度目の絶望は、教会で起きた創力での絶望。
二度目は今だ。
母さんが息をしていない。
今が、二度目だ。
「あぁ……母さん……? 母さん……アアアアアアアアアァァああああぁッ!!!」
僕は絶望しながら、自分を恨んだ。
(もしも、自分が強かったら、母さんを守ってあげられたのだろう……。僕が強ければ……!!!!!)
――「ドクゥ……ン……ッ」
心臓の鼓動のような大きな音が、世界に鳴り響いた。
その瞬間、世界の理は大きく変わり始めてしまった。
。
第一転調をここまで読んでくださってありがとうございます!!
私自身、初投稿なので至らぬところがあると思いますが、一生懸命続けていこうと思います!!
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では、次の転調で会いましょう!!!




