第十転調「手には十本の思いがある」
僕は創力を無意識に使っていた?
そんな事があるのか?
何かしら使っているなら、効果があるはずなんだ。
ヴェルは僕に感じた事を全て伝えてくれた。
「あの時、僕は無事に生きて帰って来れなかったはずなのに、何故か帝王の一撃を喰らっても生きて帰って来れた」
そういえば、あの時僕はヴェルの無事を願った。
それが関係しているのか?
「バリス、キミが思うより、その創力はかなり強力な力を秘めているのかもしれない」
実感はまだ無いが、言っている事に心当たりがある。
この創力はまだ何かあるのか?
「お前ぇらァ、休んでいる暇あるのかぁ?? あぁァ?」
ピックの威圧は相変わらず強く厳しいな……あと、スパルタ。
ヴェルのおかげで少し原因に近づけた気がするが、何かが掴めてない気がする。
そんな事を考えていると、次のトレーニングが始まってしまった。
「「ライズの奴は、この岩を手を使って台の上に乗っけてみろ」
いや、岩っていうかコレ……??
もはや隕石の様なデカさの大岩では??
「おい、メイズのお前。
原因は掴めそうな顔しとんなぁ?
じゃあ次は、○んでこい」
……え? ○ぬ?
「ノイズのお前ぇは……自信は取り戻せそうだな! 褒めてやる」
なんか僕は自害しろって言われたのに、ヴェルだけ優遇されてる気がする。
「あの、私は結局何をしたらいいんでしょうか?」
その質問にピックは答えた。
「とある書物に読んでもらうとするか」
とある書物?
「書物を読んだら良いんですか?」
ピックには考えがあるのだろうが、まだ目的も不明だ。
「あぁ、大昔の書物だ。
族長権限がないと見れないがな」
「族長権限ないと見れないって、族長が居ないのに大丈夫なの?」
「……は?」
やっぱりダメだ。怖いから言い返せない……
ヴェルはまたしても連れて行かれた。
何故連れて行くのか、一番の謎だ。
ーー「ヴェル! ここにある書物は全部読んで良いからね!」
ピックに連れて来られたのは、図書館の様な書物庫だった。
「ライズにもこんな場所があったのか……」
図書館があるなんて聞いた事がない。
「ライズにも図書館は、あるんだよ!
みんな読もうとはしないけどね……」
なんとなくだけど、察しがつく……
せっかくだから読んで行こうかな?
「色々な書物があるな……ライズ武道の書、丸太トレーニング、鬼指導極地到。
かなり読まれた形跡がある……もしかして、
「ピック? これ、読んだ跡があるけど、キミが読んだ跡だよね?」
すると、少し誤魔化すようにピックは首を振った。
「いやいや! 読んでないからね? 読んでないからね??」
絶対読んでるよね、この感じ。
「そういえば、ピックの表での口調と二人の時の口調、違うから驚きがあるのだけど、何故なのかい?」
今のピックの威圧は感じない。
それどころか、優しさを感じる。
「それは……私は族長の子だから、あのイメージじゃないとみんなを纏めれないと思ったの」
あ、なるほど!
族長のお子さんだからか!!
納得……出来る訳ないだろッ!?
「ピック、族長のお子さんだったの?!」
「一応ね、うん。」
一応?……まぁいいかな。そこまで深掘りする必要は無いだろうからね。
「ピック、話してくれてありがとうね」
読んで欲しいと呼ばれた書物も読み終わったし、バリス達の所へ戻ろうかな。
「ちょっと、待って……もう少しだけ」
ピックが私の服の袖を引っ張って、離そうとしてくれない。
「ヴェル、どっちの私が……い、良いと思う?」
立場上の質問とは思うが、私が答えるべきなのか?
「それは答えるのは私では無いと思う」
すると、ピックは悲しそうな表情をした。
「そうよね、そうだよね、決めれないよね。ごめん、変な質問をしちゃって」
この日から、ピックの個人的な呼び出しは無くなってしまった。
ーーライズ大陸に来てから三ヶ月が経過していた。
今の所、モンスター達に目立った行動は無いそうだ。
族長、無事かな?
ヴェルの調子は良くなったけど、何かまだ悩んでいる気はする。
この三ヶ月を創力について考え直したのだが、どうにも引っかかる事がある。
製作者はどういう創力かではなく、もっと大事な事があると感じている。
あくまでも推察であり、勘だ。
もしかしたら違うのかもしれない。
だけど、これが一番有力だと思う。
それはそうと、
「ヴェル、ピックの指示に何か不安があるように感じれるけど、何かあったの?」
ヴェルはトレーニングが始まってすぐの頃、連れて行かれていたのは覚えている。
すると、ヴェルは寂しそうな表情で言う。
「私はあの子が投げかけて来た質問の意味を理解できていなかったと、今更気がついたんだ」
え、質問?
何かあったのは間違いないと思うけど……
「族長の分までピックは責任を感じているのだと、今になって思う」
なるほど、ピックの質問の意味を汲み取れていなかった事を後悔しているのか。
これがヴェルの悩みだったんだな。
そんな悩みを抱えながら、トレーニングに打ち込んだ。
ーーその頃、ピックはある事を考えていた。
ピックは古代の書物を読み漁りながら、とある事について調べていた。
それは伝承記録。
代々、ライズ大陸に伝わる歴史には知られていない事も、ライズの長が記録を残し、継ぐ者に引き継ぐ伝承録だ。
その伝承記録には、黒文字で塗り潰された文があった。
《世界は今変わろうとしている。一人の救世主とその仲間が世界を変える。
その救世主の名は……と呼ばれ、仲間と共に……に挑んだ》
謎だらけの文面だが、どうにも引っかかる事がある。
この伝承記録は途中、記録された日数がかなり空いているのだ。
それも一万年もの月日の間、記録がされていないのだ。
更に不可解なのは、その一万年前に書いた長と、一万年後に書いた長の名が一緒だと言う事。
普通なら生きてはいない筈なのに……
何か見落としている事はないのか?
世界そのものが変わる事があったのか?
私はじっくり調べてみたが、脳筋的な頭脳しか持ち合わせていなかった為、結論までは見えなかった。
ーー「ふぁぁあ、結構寝てたかなぁ? あれ? 紛い物が真実に踏み込んで来たね。
まぁ、こうなる事はわかっていたけどねぇ……」
「「害がある者は排除しなきゃね!!」」
彼の手の中に収まらぬうちに……
第十転調をここまで読んでくださってありがとうございます!!
もう十転調?!これからも続いていきますので!
よろしくお願いします!!
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では、次の転調で会いましょう!!!




