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フィアナ、お泊まり会を満喫する

 そのまま私たちは、エリンちゃんの部屋に案内されました。長期休暇ではこまめに帰省していたらしく、部屋はそのまま残っているそうです。

 部屋に入り、思わずキョロキョロ周りを見渡す私。セシリアさんも興味深そうに、部屋の中を見渡していました。


「あの~……、あんまりじろじろ見ないでもらえると──」


 部屋の中は綺麗に整理整頓されており、エリンちゃんの真面目な性格を感じさせます。

 年季の入った机の上に、積み上げられている使い古したボロボロの教本。入学後、なかなか花開かなかったエリンちゃんの努力の結晶といったところでしょうか。

 今でこそ覚醒して光魔法の使い手として学園でも一目置かれつつあるエリンちゃんですが、そうした下地は日頃の生活の中で磨かれていたのだと改めて実感します。


(これが……、初めてのお友達の部屋!)


 ジーンと感動する私。

 いつかは私も、二人をルナミリアに招待したいところです。

 お友だちと一緒にお泊り会──今からでも、夜通しお喋りできそうなテンションです!


「…………あ、そういえば寝る場所ってどうしましょう?」


 ベッドは当たり前ですが、一つしかありません。さすがに三人で入るには小さく、一人は床にくっしょんを敷いて寝ることになりそうです。


「あっ、ちなみに私は床でも大丈夫です! 健康なので!」

「なら私も床にする!」

「ワタクシも床にしますわ!」

「……あれ?」


 私の言葉に、食い気味に反応する二人。

 エリンちゃんたちは、じーっと視線を交わし……、


「いえいえ。セシリアさまには、少しでもいい場所で眠っていただかないと。私は、フィアナちゃんと同じく、床で我慢します!」

「いえいえいえいえ、ワタクシも、床で大丈夫ですわ! ワタクシ。こう見えて、野宿もできるタイプの野性味溢れた令嬢ですの!」


 不思議です。

 なぜだか床の取り合いがヒートアップしてきます!


「こうなったら決め手は一つですね!」

「うん。勝負!」

「私…………、この勝負。チョキを出します!」


「ちょっ、心理戦なんて卑怯ですわ! えっと……、ならワタクシはグーを出せば良いんですわね! ……と見せかけて、えっと。えっと……?」

「じゃんけん、ぽん!」


 エリンちゃんがパー、セシリアさんがグー。

 エリンちゃんの勝ち──心理戦には滅法弱いセシリアさんなのです。


「床、いただきます!」

「くっ……、またこの手でやられるとは。不覚ですわ──」

「あの~……、そんなに床が良いなら変わりましょうか?」

「「それじゃあ何の意味もないよ!(ですわ!)」」


 勝ち誇るエリンちゃんと、本気で悔しそうなセシリアさん。

 そんな不思議な争いをしていると、ガラガラっと部屋の扉が開き、


「エリン姉、クッション三人分用意したから後で取りに来て」

「その手があった!(りましたわね!)」


 ひょこっと顔を覗かせたリィちゃんが、そんなことを言い出し──無事、三人仲良く横になって眠ることに決まったのでした。

 それからの時間は、あっという間に過ぎていきました。

 私が持ち込んだトランプを三人で遊んでいると、好奇心旺盛なエリンちゃん姉妹が部屋に遊びにきて五人で遊ぶことになりました。


(勝負の世界は非情!)

(今こそ知識チートのターンです!)


 ちなみにトランプの遊びをクラスメイトに広めたの私です。

 当然、前世の記憶がある私が有利! ……なんてことはなく、なぜか私とセシリアさんで、いつもビリ争いをしていました。

 エリンちゃんたち、あまりにも心理戦が強すぎます。

 その後はリィちゃんにせがまれて、私が学園での”やらかし”について話したり(リィちゃんは、何をはなしてもキャッキャと喜んでくれました)、この三人が仲良くなるきっかけについて話したりすることに。


「──それでセシリアさんは、学園で一番の派閥を作るために活動してたんです。その途中で、私も声をかけてもらって」

「え!? ちょっと待って、セシリアさんってお貴族さまだったの!?」


 話の途中で、リィちゃんが素っ頓狂な悲鳴をあげました。

 見ればルルくんも、きょとんとした顔で固まっています。


「えっへん。あなたたちも我が派閥に入ってくださった暁には、ローズウッド家の名にかけて素晴らしい将来をお約束しますわよ!」

「うっさんくさ! ……あっ。ごめんなさい、つい──」

「ちょっ、リィ!? 失礼だよ、たしかにものすごく胡散臭いけど。……あっ、ごめんなさい。僕たち、お貴族さま相手に慣れてなくて」


 胡散臭いとエリンちゃん妹弟に連呼され、密かにショックを受けているセシリアさん。


「「えーっと…………」」

「構いませんわ。気にせず今まで通りに接してくれると嬉しいですわ」


 リィちゃんとルルくんは、セシリアさんが貴族だと分かり距離感に困っていた様子。それでもセシリアさんの言葉や態度に、パッと表情を明るくすると、


「もうひと勝負!」


 そう言って、トランプ勝負を再開するのでした!

 なお私とセシリアさんのビリ争いはさらに白熱。泥沼のラスト争いは、ギリギリ私の勝ち越しで終わるのでした──えっへん。

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