アデール将軍、新たなる仲間を求めて
己の道を往く
ひたすら突き進むのみ
二人の間に不穏な空気が流れる、そんな時に限って足元がおぼつく
笑顔から一転、椿の顔は真っ白な程に血の気が引いた
「(サラちゃん助けてくれえ・・とんだミミックに捕食されそうだああああ!)」
すぐさま軌道修正を図るべく名前を聞いた
「そうだ名前聞いてなかったな俺は地球から来た椿、よろしくなっ」
「私はランタム・ヨーコン、年上の男性って優しいのねびっくりしちゃった」
「とっ年上!?あまり意識してないが、いざ女の子に言われると照れるぜ」
「23歳だけどね、この建物にお世話になっているのは10歳からよ」
軽く喋るがその一言が椿の心を貫く
あまり深くは質問せずと己に言い聞かせた、人にはそれぞれ事情がある
「へー結構世話になってるんだな、どう一人で歩けそうか?」
「うん、倒れそうになったら助けてね」
そう言ったヨーコンは覚束ない足取りながら椿の肩から離れる
「(この呪いの装備を発掘した俺はなんてバカなんだ・・・)」
「一人で歩いたのは半年ぶりかも」
少し笑顔を見せ椿の目を見て離さない、見つめられ椿もどうしていいか迷う
「(まてまてまて、何かの間違いだ人を見つめる癖があるんだヨーコンは)」
「あのねっ、ツバキさんと会話する度に元気が出てくる気がするの・・・・」
勝ち越しを決めた若手力士の様な笑顔を見せる彼女
だが椿の顔は汗が止まらない、そして若干涙目になってきた
「えそっそう??俺ってカウンセラー向いてるんかなハハッ」
「(まずいまずい完全に良い感じになっているぞ、どうしよう・・・)」
「(このフラグを叩き壊さなければ完全に面倒な事になる、よしっ)」
「飯もう出来てるんだ!早く大広間に行こう料理が冷めちゃうぜーーー!」
そう声をかけ堪らずに走り出した
「ハアッハアッ、俺にはサラちゃんが待ってるっ!」
全力で階段を駆け下り、いままで体験した事がない恐怖感からは解放された
息を切らしながらやっとの思いで辿りついた、一階には賑やかな声が響く
「ゴブリンからは逃げ切ったが、何しに二階に行ったんだ俺は・・・」
食事している者達を見渡しながら考える椿
「さっきの人?」
老婆にまた話かけられた
「ヨーコンって人を起こしに行きましたよ、はぁーなんか疲れた」
「もう一人は連れてこなかったの?その人と同じ部屋の筈よ」
「えっ・・・?ああ後一人残っていたのか」
言われて思いだした椿はまた階段を上り始めた
「このままだとゴブリンとエンカしてしまう、どうにか誤魔化せまいか」
と言っている矢先に前方にヨーコンが見えてきた
「あっ!ツバキさん」
「そうだヨーコン、部屋に誰か人残ってないか知ってる?」
「その人は私より体の調子が悪いの、連れていかない方が良いかも」
「そうか、手間がはぶ・・・仕方ないな俺も夜食をごちそうになるか」
空いている席に着き、目の前にある料理に手を合わし頂く
皆食べ終わり雑談の中、少し遅れて到着した男のお腹はペコペコ
「まずは野菜からだな、美味しいお肉は最後にとっておいて・・・」
ふと視線を感じ横を見るとヨーコンが座っていた
「おわあっ!ヨーコンな・・なんで俺の隣に来たんだよ!?」
「・・・ダメ?」
目をうるうると輝かせ、訴えかける様な視線が椿に向けた
どうもその目が苦手な様子
「いや全然良いようん、ただ驚いただけでさアハハッ」
「(そうだ隣には誰もない誰もいない、ゴブリンなんか絶対いない)」
急激に食欲がなくなり吐き気を催す、体は正直だ
なんとか気力を保ち食材を口に運ぶ、フォークを持つ手は硬直している
「(この青菜美味しいな、日本のより野菜臭さもないし最高じゃん!)」
顔が綻び次第と調子が戻りかかった
・・・ッチャ
・・グチャッ
何かを潰す様な、聞きなれない音が耳に入る
ジュルルルルッ!
ズゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾッ!!!
「ッ!?」
突如椿の右耳が襲われた、未知の音響兵器が容赦なく注がれる
「ま・・・まさか嘘だろ・・・」
恐る恐るヨーコンを見る、やはり音の発信源は彼女であった
「やっ野菜を吸い込んでいるッ!?」
麺を啜るように野菜を食べ、口を大きく開け咀嚼している
それは獲物を捕食するカマキリの様、椿の目には大変残酷に映った
尋常ではない咀嚼音を轟かせながら喰らいつく姿、まるで山姥




