アデール将軍、守るべき地位
地位を狙う者、様々な欲望が混沌する
その中で生きる野心は人を惑わす
村長宅の前には子供達が集まり、聞き耳を立てていた
時折聞こえる怒号、ただ事ではない事態に住民は不安に呑まれる
「大人は言い争いばっかり、僕はあんな風になりたくない。」
「将軍を変えるの新しくするの、そればかりしか聞こえないね」
「じゃ早いとこ誰か決めれば問題解決じゃん」
「でもさ、アデール様がいなくなったら残りの奴ら何するか分からないじゃん」
「あの感じ悪い兵士達の事?酔っぱらって騒いでばかりって父ちゃんが怒ってた」
「目つき悪いし、あんな奴らアデール村から消えればいいのに」
すこぶる評判が宜しくない兵団、将軍が少し村から出かけると騒ぎを度々起こす
食堂や路地裏に酔った兵士が暴れる為、夜の時間は全住民が外出できずにいた
「みんな会議聞きにきたの?私も気になってきたんだけど」
「サラか、チキュウから来た奴が何言うかみんなで待ってんだぜ」
「私、今朝その人に服を渡してきたけど本当に呼ばれたの?」
「ああ石切りの兄貴と一緒に歩いていったぜ」
「何があってそんな・・」
「直接呼ばれるとか、前に殺人で村を追放になったヤツ以来初めてじゃね?」
「ツバキお兄ちゃんの事で、私の親が心配して様子みてこいって」
「サラの父ちゃんて救貧院経営してるからチキュウの奴もそこに入れるん?」
「そう考えていても、どんな命令が村長から下されるのか心配で・・・」
「コラッ!大事な会議中だぞ、さあ帰った帰った!」
一人の大人が子供達に注意を促し解散させた
村長宅前から人は去り、時刻は昼に差し掛かる
戸から漏れる声は大分落ち着きを取り戻した様、まだ結論は出まい
「ふうむ残るはツバキか、お主の素直な気持ちここにいる全員に聞かせておくれ」
「はいっ!」
体は硬直し声も若干震え気味、顔から2、3滴の汗が流れる
ララキと作戦を練っていた事もあり自信はある、それで元気よく声を出す事が出来た
「まずアデール将軍の地位は誰にも継承させない考えです、絶対に!」
「確かに現実的に考えればいない者の代わりは直ぐに擁立するべきだと思います」
「でも反社会的いや反アデール村の者に渡った場合はこの村の存続危機が・・・」
「う~むワシもそれを一番危惧している、補佐も同じ考えじゃぞ」
椿は補佐に視線を送った、両者目が合いお互いに何かを察しあう
「最高の地位を譲る案は絶対に反対、俺自身アデールを尊敬して憧れてますから」
「ほかの人も新しい将軍に決まったら村から出て行く覚悟を持つと聞きました」
「それだけ信頼された将軍が失踪したとしても、帰って来る可能せ・・・」
「帰って来る訳ないだろおがあああ!!!!!」
椿を怒鳴り付ける、睨み付け今にも手を出す雰囲気を一人の男が纏わせる
他の大男がすかさず椿をガード、村長はその人物を外に出すように命じた
会議は一旦休憩を挟んでから再開する
「すまんのうツバキ、彼も同じアデールに忠誠を誓った最側近じゃ」
「この村でもっともアデールを憎んでいる、すっかり変わってしまったんじゃ」
「将軍がいなくなってまだ3日位しか経ってないけど、人って豹変するもんか」
「もう昼ど、みんなで飯食ってその中で意見出し合って終わらすど」
「なるほど、全員で食堂に行ってそこで決めるってか」「いい案だ!」
椿と会議に参加した人間を食堂に誘う
ララキが意外にもリーダーシップを発揮、会議は食堂で続く事になった
「あれ?村長はこないんですか?」
「みなの考えが集まったら来てくれ、ワシはここで休んで寝るんじゃ」
「村長は将軍がいなくなって以来元気がなくなって、休みがちで」
「そうなのか、補佐も石切り場にいったり来たり忙しくて大変だな」
補佐が椿の肩を叩く
「同じ考えを持った同胞よ、将軍継承賛成派には徹底抗戦を頼みたい」
「私を含め大勢の人間にも根回しはしてある、賛成派の気力に負けるなよ」
「はっはい、凄く優秀な人・・・地球に来たらすぐに出世するタイプだ」
「フフッありがとう、生憎出世よりこの村に還元したい気持ちがある」
「俺もなんとか将軍が帰って来るまで、その席を守るのが使命かなって」
「君にスパイ容疑がかかっているが、その気持ち素直に受け取るよ」
「おえ!?スパイじゃないし地球からきた普通の日本人ですよお!」
「冗談だよ、じゃ頑張ってね」
そう言い残すと忙しげに資料を持ち、駆け足で去ってゆく
「補佐って大変なのに、冗談も言って彼からは余裕を感じる」
「仕事が出来る男って羨ましいな、バイト以外仕事の経験ないけど」
「ツバキお腹空いたから食堂に行くど~、早く来ないと置いてくど~」
「うっせーな腹減らし、今行くよ」
「ブハハ、ツバキも腹空いてイラついてるど」
男らは食堂へ向かった、第二ラウンドの幕開けである




