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 この子たちにとってこの扉をくぐるのはきっと勇気がいったんだと思う。

 それでも扉を開けて待っていた私のところまでやってきた。


「エラい!」


 二人を抱きしめる。

 人間で言えば五歳にも満たない子供たちが、恐怖の対象である扉まで自分たちで歩いてきたんだもん。


 本当にすごいことだと思うよ。

 私たちは手をつないで坑道を出た。

 朝食の良い香りが漂ってくる。


グ~ギュルギュル


 子供たちのお腹がなっている。

 育ち盛り、お腹は空くよね。

 子供たちはギャリさんのもとに走っていった。


 ちょっと微笑ましい。


 私もみんなの和の中に入っていった。


「「おかわり」」

 ちょうどマイヤーとアイヤーがお椀を差し出したところだった。


「ところで賊の依頼主をどうやって探す?」

「まずは村長さんに聞いてみることからだよね?」

 まさか村長さんが依頼主とは思えないけど。


「たしか、宿屋がどうのとか言っていたよな?」

「そう言えばそうだよね」

 二号店がどうのとか言っていたよね。


「ま、確かに村長に聞き込みをすれば何かわかるかも知れないな」

 そうだね、レモン。


「一応念のためだ、ギャリたちは住処を変えてくれ。ドリアンは護衛についてくれ」

「そうね、この件が片づくまではその方がいいね」

 ギャリさんも渋々うなずく。


「食事がすんだら、オレとミカン、えせ占い師の三人で村長のところへ行くぜ」

「うん、わかった……よね? ホイヤーさん」

 リーンさんにアーンしてもらっているホイヤーさんが頷いた。


 ようし、なんとしても狩りを止めさせないと。


「ちょっと待てよ。俺たちも行くぜ。な、アイヤー」

「そうよあたいたちだけのけ者にしないでよ。ね、マイヤー」

「わかった。悪かった。じゃ二人ともきてくれ」

「「うん」」

 こうして村長さん家に行くメンバーは決まった。


 早々に食事を済ますと私たちは村長さんの家に向かった。


「レモン、あれ」

 そこには昨日の三人組が村長さんの屋敷から出てくるところだった。


「どうする? レモン」

 昨日の惨劇が脳裏をよぎる。


「つけるに決まっている。村長は逃げないからな」

 ギリリと奥歯を噛みしめるレモンの表情は穏やかではなかった。

 きっとレモンも同じ気持ちなんだ。


「よし、行くぞ」

 人混みに紛れながら後をつける。

 大通りの為か結構人の往来はある。

 山羊のミルクをうって歩くミルク屋さんや買い物途中で井戸端会議を開いている女性。

 靴磨きの少年。けど一番多いのはがっしりした体の坑夫さんたちだ。


 昼間からお酒を飲んでる人もいるみたい。


「はぐれるな、ミカン」

 ぎゅっと私の手をつかむレモン。


 ドキンと胸が高鳴った。

 ドキドキする胸を落ち着かせようとするけどだんだんドキドキが早くなる。


「あ~ん、きゅんきゅん」

 ほとんど無意識に基本動作をやってのけた。


「ミカン……」

「は、いやこれはその……」

「可愛い、もう一度やって」

「今は尾行が先でしょ」

 レモンの手をグイッと引っ張った。


 正面を見てびっくり、あの人たちがこっちを見ていた。

 何とかごまかさないと……。


「あ~ん、きゅんきゅん」

「ママ、あのお姉ちゃんの動き可笑しいよ」

「め、見るんじゃありません」

 じゃなくって……。



「下手な尾行はするもんじゃないぜ。お前たちがつけてきていたのは知っている」

 兄貴が言ってのける。


「ち、すべてお見通しってわけか」

 レモンが剣に手をかける。


「待てよ、こんな人通りの多いところでやり合うつもりか?」

「く、ならどうする?」

「焦るなよ若造、昨日は依頼で戦ったんだ。今は依頼じゃない。戦う理由はないだろ」

「フーリクスを殺っておいてよくそんなことが……」

「おうそれのことよ。俺たちも聞きたいことがある。呑みながら話さないか?」

「なにを……」

 勢いよく反論しようとしたレモンの肩をホイヤーさんがつかむ。


「いいだろう。こちらも一般人を巻き込みたくはないからな」

 ホイヤーさんが一歩前に出る。


「えせ占い師、テメエ……」

「落ち着けレモン君。ここはお互いの情報を交換すべきだ」

 こうして近くの酒場へ移動した。

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