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大騒ぎ 1

 


 その日は結局眠れず終い。

 いろんなことを考えちゃった。

 冒険ってわくわくするものだって、楽しいものだって決めつけていた。

 でもそれは違っていて辛いことや悲しいことも沢山ある。

 大切なものを失ったりもするし、得たりもする。

 こうして冒険譚はつづられていくものなんだって。


 名をあげた冒険者が称えられるよう陰に、なも無き冒険者たちが沢山いること忘れてた。


 おじいちゃんだって冒険者としては無名のまま引退してたんだもんね。

 それでも旅はいろんな出会いを作ってくれる。


 それが辛いかもしれないけど……。


 私はどうしたい?

 このまま旅を続けたい?


 それとももう悲しい思いをしないように冒険を止める?

 これ以上続ければあるいはレモンだって失いかねない。


 そこまでして旅を続けたい?


 冒険をしてどうしたいの?


 ダメだ考えがまとまらない。

 外も明るくなってきたから顔でも洗いに行ってこよう。


 隣で寝てるレモンを起こさないようにそっとベットから抜け出す。


 坑道を抜けて表に出る。

 東の空が白みがかっている。

 うっすらと霧も出ていた。


 井戸に向かうと先客がいた。


 ギャリさんだ。

 どう声をかけて良いかわからない。


 しばらく声をかけれずに突っ立っていると、ギャリさんが気づいてくれた。


「コボ」

「おはよう。まだ寝てなくていいの?」

「コボボ」

 泣きはらした目はまだ赤い。

 それでもいつまでも落ち込むわけには行かないと言っているように聞こえた。


 ギャリさんは力こぶを作るとウィンクしてくれた。

 まるで落ち込んでいる私を励ますように。


「コボボコボ」

 おけに水をくむと調理場の方へと歩いていった。

 なんだか頼もしい。そんな背中を見せて。


 私もいつまでも落ち込んでちゃダメ。

 やらなくちゃいけないことがあるんだから!


 井戸の水が冷たくて気が引き締まる。

 きょうはあの人たちの依頼人を探すんだから!


 まずやろう!

 結果はどうであれ納得できるまで。


「悩むのはお終い!」

 もう一度井戸の水を顔にかけた。


「ギャリさん、私も手伝うよ」

 調理場に駆けていく。

 今朝の献立はイノシシの肉に野菜を添えた朝食にしては豪華な品ぞろえだ。


 パンもパリッと焼けて美味しそう。


く~


 落ち込んでてもお腹は空くのね。


「みんなを起こしてくるね」

 坑道の中へと駆けていった。


「ドリアンさん……は起きてるね。ご飯だよ」

「わかった」

 短い返事が返ってきた。


 朝の筋力トレーニングしながらの返事だ。


 次はマイヤーとアイヤー。


「ご飯だ……」

「「ワ~イ」」

 扉を開けたら二人が出て行った。

 香りにつられたんだねきっと。


 次はホイヤーさんとリーンさん。

 ノックしてっと。


「朝ご飯だよ」

 中は薄暗く二人仲良くベットの上で寝ていた。


「ご飯だよ」

「起こしていくわ」

「うん待ってるね」

 リーンさんに言って部屋を出る。


 次はレモン。

「ご飯だよ」

「おう、わかった」

 レモンも起きてたんだね。


 あとはコボルトの子供たち。


「ご飯だよ」

 起きてはいたけどビクビクしてる。


「おいで、ご飯にしよ」

 震える二人の頭をなでる。


 ビクビクしていたのが次第におさまってくる。


「大丈夫、お姉ちゃんは味方だよ」

 頭をなでなでするとおそるおそる私によってきた。


「おいで。ご飯食べよ」

 言葉が通じたのか感じ取ってくれたのか私にしがみついてくる。


 みんなのところに行こうね。

 頭をなでながら言うと背中を押して外へと続く扉に向ける。


 ビクビクっと反応したのがわかった。

 そうだよね、賊はあそこから入ってきたんだもんね。

 怖くないよといいながら扉まで来て手招きする。


 おそるおそる近づいてきた。



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