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「マスター酒だ、後つまみも頼む」

 兄貴が円卓についてオーダーをだす。


 私たちも同じ円卓に腰を落ち着けるとそれぞれオーダーをだした。


 さすがに昼間からお酒を呑んでる人は少なく、私たちの他は数人の坑夫らしき人がいるだけだった。


「さて、まずはお宅等からの質問を聞こうか?」

 兄貴と呼ばれる戦士が口を開いた。


「なんでフーリクスさんたちを襲ったのよ。彼何も悪いことしてないじゃない!」

 思わず語気を荒げててしまった。


「フーリ……あのコボルトのことか?」

「そうよ!」

「俺たちにコボルトの見分けなんざつかない。コボルト一掃の依頼をこなしていただけだ」

「依頼主はだれなんだ?」

「言うと思うか?」

 兄貴はグラスを傾けた。


「きさ……」

「質問を変えよう。受けた依頼内容を聞きたい」

 レモンが席を立つのをホイヤーさんが押さえた。


「「おかわり」」

 マイヤー、アイヤーあんなに朝食食べたのにまだ食べるの?


「そうだな、そのくらいならいいだろう」


 兄貴はナッツを口に放り込んでかみ砕く。


 ポリポリとおいしそうな音を立ててから一気にグラスを傾けた。


「依頼内容はこうだ。最近コボルトが裏街道に出没する様になった。

 実害として食料を奪われたりもしてるらしい。

 裏街道に宿屋を作るためにも驚異を排除してほしい。

 つまりコボルトを一掃してほしいって依頼だ」


「コボルトが人を襲う?」

 たしか臆病だからよっぽど人数差がないと襲ってこないはず。


「実際にコボルトの集落があった。俺たちはその集落を一掃したときコボルトのガキを討ち漏らしちまった。放っておけばまたコボルトがやってくるだろうからな。面倒だがコボルトのガキを捜していたら坑道跡でコボルトを見つけたんだ。後は知っての通りだ」

 グラスをあおる兄貴。


「それってフーリクスさんたちと関係ないじゃない。それに子供まで……」

 そこまでする必要ないじゃないの。


「言ったろコボルト一掃が依頼だって。それに奴らは放っておけば増えていく。たいして強くはないが討ち漏らすと沽券に関わるんでね」

 だからって関係ないフーリクスさんを……。

「事情はわかった。つまり君たちはコボルトが裏街道に出没しなければ問題ない。そう言うわけだね」

 ホイヤーさんの言うとおりだよね。


「ああ、そうなれば問題はないな」

 兄貴も頷く。


「坑道に住むコボルトはスマルの住人だ。今後手を出さないでいただきたい」

 そうだよ。ギャリさんや子供に手を出さないで。


「そうはいかない。そいつらが人を襲わないと言う保証がないからな」

「な、襲ったりなんかしない!」

 フーリクスさんたちだって今迄に襲ってないよ。


「悪いな嬢ちゃん。口約束は信用しない主義なんだ」

 なんなのこの人たち。ぜんぜん話にならないじゃない!


「ではこの依頼をわれわれが引き継ぐと言うのはどうですか?」

 そうか、引き継いじゃえばいいんだ。ホイヤーさん頭いい。


「ナイスな提案だ。と言いたいが却下だ」

「どうしてだよ」

「ふ、坊主それはな俺たちで手に負えない依頼と噂が立つからだ。この商売は信用が第一だからな。受けたからにはきっちりこなす。わかったか?」

 どうあっても譲る気なしってこと?


「ふ~む、困りましたね。私たちはスマルの住人が安心して住める環境を整えたい。しかしあなた方はスマルの住人であるコボルトの命を狙う。妥協点はないですか?」

「俺たちは妥協するつもりはない。コボルトさえいなくなりゃいいんだがな」

 く~、コボルトを目の敵にしてる。


「どうやら話し合いは決裂だな」

 席を立つレモン。


「待ちたまえレモン君、まだ話は終わっていないよ」

「何言ってる、えせ占い師。どう考えても話は平行線だろ」

「レモン君、血気盛んなのはいいが、それだけではこの世界やっていけないぞ」

「なにを……」

 レモン仲間割れしてる時じゃない。


 レモンの腕を掴むと首を横に振る。


「他にどんな妥協点があるんだ?」

 兄貴は興味津々だ。私も興味ある。ホイヤーさん。


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