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「ねぇレモン、どうして遅くなったのよ?」

 荷物をまとめての帰り道、レモンに遅くなった理由が気になった。


「すまんミカン、実は……」

 言いにくそうにしているレモン。もしかして本当に村長さんの家で酒池肉林を……。


「そういえばみんなは?」

 まさかケルト村長さんの家で、宴会?


 暗闇の中でポツリと光が見えた。

 その光はゆらゆら揺れながらこっちに向かってくる。


 あの明かりはランタンの明かりだね。誰かがこっちに向かっているってことなんだよね。


「おお、まにあったようじゃな」

 村長さんまで来てくれているの。

 声に出そうと思ったのを思いとどまる。


「姉ちゃんあのヒラヒラ着たのか?」

「なんだと本当かミカン?」

「き、着るわけないじゃない!」

 何言っているのよマイヤー。


「な~んだ残念」

 心底残念そうにアイヤーは頭の後ろで腕を組む。


「それよりなんでこんなに時間がかかったのよ。ケルト村長のところで引きとめられていたの?」

 当たり障りないところでやんわり聞いてみる。


「いや、実は今も交渉中なんだよ。今えせ占い師がケルト村長と交渉している」


「え? じゃ、レモンが持ってきた銀塊は?」

「交渉が長引きそうだったから、オレとマイヤー、アイヤー、村長でスマルまで取りに戻ったんだよ」

「すまんかったなぁ、ミカンちゃん。大変な思いをしたじゃろう」

「いえそんなことはありませんけど……」

 ちょっと華やかな裏側を見ることができたし。


「じゃ、これからケルト村長のところに?」

「ああ、そうだ。ドリアンもいるからな」

 そうか、ドリアンさんも残っているんだね。ホイヤーさん一人じゃ心配だもんね。

 ケルト村長の家に向かう私たち。


「こんな遅くても入れてもらえるかな?」

 確か初日は断られたんだよね。


「ホイヤーとドリアンがいるから大丈夫だろう」

「わしもおるしの」

 村長さんが胸を張る。


 なんだろう、五日ぶりなのになんだかもっと長い間会っていない気分になる。

 やっぱり私の居場所はここなんだよね。


 そんなことを考えながら、レモンを筆頭にケルト村長の家に向かった。


ゴンゴン


 入口のドアについた牛を型どった呼び鈴を鳴らす。

「はいはい、今開けますよ」

 ずいぶんイメージが変わったね。それとも私の感覚が変わったのかな?

 メイド長がいればきっとお叱りの言葉が飛んでくるんだろうな。


「ささ、どうぞ」

 素直に私たちは奥へと通された。


「えせ占い……いや、ホイヤーと村長の話し合いはどうなってる?」

「今日はもう遅いので明日に持ち越しになりました。お部屋の方に案内いたします」

 淡々と話す使用人。きっとこれがあの店だと『え~いま~夜遅いから、明日に伸ばしちゃった。えへ』とか言うんだろうな。


 あ、だめだ。私も毒されてる。


 ぶんぶんと頭を振っているとレモンが「どうしたミカン。何かあったのか?」と声をかけてきた。


「いや、なんでもなで~す」


 両の拳を顎に当てておしりフリフリ。


「……」


 やってしまった。


「あのね、これはね……」

 なんて言い訳したらいいんだろう?

 頭の中で必死に言い訳を考えていると、ガバッとレモンが抱きついてきた。


「か、可愛い」


「へ?」


 私の聞き間違い?


「もう一回やってお姉ちゃん」

 アイヤーが言った。


「ちょ、そんな……」

 いくらなんでも恥ずかしいよ。


「こちらでございます」

 ちょっと大きめの低い声で面倒くさそうに使用人さんが扉を開けた。


「あ、あそこだって」

 抱きついているレモンを引きはがし、さっさと扉へと向かった。


「お、ミーちゃんお帰り」

 ホイヤーさんがベットの上で横になっていた。

 ドリアンさんはソファに座っていた。


「た、ただいま」

 なんだろう、なんだかこそばゆい。


「おい、えせ占い師。交渉はどうなっているんだ?」

「まぁ慌てるなよ、レモン君」

 なんだか自信ありげに、上半身を起こすホイヤーさん。


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