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労働2 1

 


 厨房に行く途中にハガネさんに声をかけてお風呂場に行くように伝える。

 ハガネさんは無言のままうなづくとお風呂場へと向かって行った。


「大丈夫かな? リカー」

 胸の奥がぎゅーっと締め付けられる。息苦しい。

 そんな気持ちのまま厨房へと向かった。


「遅いじゃないのさ。何グズグズしていたんだい」

 そこにいたのはあの妊娠していた彼女だった。

 今日はヒラヒラの服じゃなく私と同じフリフリの服だ。


「ご……めんなさい。それよりも大丈夫なんですか体の方は?」

「大丈夫なわけないだろ、あたいはしばらく身動きが取れないからアンタと同じ皮むきさ。よろしくな。え~と……」

「ミカンです」

「よろしくなミカン。あたいはウィスキーさ」

「よろしくです」

 右手を出されたのでウィスキーと握手を交わした。


「お腹……」

 ついつい目が行ってしまう。


「あれは済んだよ。もう赤ちゃんはいない」

 淡々としゃべるウィスキーになんだか可哀想な気持が芽生えてくる。


「本当によかったの?」

「いいに決まってるじゃん。誰の子かさえ分からないんだよ。それに子供なんていたらあたいらの仕事なんてできないさね」

 無表情でじゃがいもの皮をむき始める。


「そっか……」

 私もこれ以上追及はせずに、じゃがいもの皮むきを始めた。

 昨日の応急手当と、手袋のおかげで右手の痛みはない。

 それに今日は二人で皮むきとのことで、ペースは昨日より早かった。


 じゃがいもの皮むきは黙々と進んでいった。

 重い荷物運びや皮すてなどは私が行った。

 その甲斐あってか昨日より早く仕事が片付いた。


 ウィスキーはそのままリンゴの皮むきに回り、仕事が一段落ついたころ。私は水を汲みに井戸に向かった。


 西の空は真っ赤に染まって夕日がきれいだった。


「レモン、何してるのよ」

 明日で五日だ。つまり期限の日。

 明後日にはリカーと同様接客をすることになるだろう。


 とてもそんなことできないよ。


 私、リカーみたいに強くないもん。


「早く助けに来てよレモン」

 強がってみてもやっぱりさみしい。すぐに迎えに来るって言ったのに。


「レモンのバカ!」

 レモンに会いたいよう。涙で潤んだ視界をこすり桶に組んだ水を厨房へと運んでいく。


 厨房の方もほとんど片付けが終わっているようだった。

 今日は昨日より早く上がれるね。

 気がかりはリカー。彼女がどうなったのかはわからない。


 そういえば今日はハガネさんの姿もメイド長の姿も見ていない気がする。何かあったのかな?


 一足先に部屋戻るとリカーが寝ていた。


「リカー、大丈夫?」

 ひどいことされてない? 


「ん? あぁミカンか。どうしたんだそんなしけた顔して?」

 明らかに顔つきが違うリカー。その体には目立たないが腰のあたりに手形がたくさんついている。


 いや手形だけじゃない。あちこちに小さなあざのようなものが無数に見て取れる。


「なにされたの? リカー」

「うふふふ、い・い・こ・と」

「リカー、ちょっとやめて」

 リカーの手は私の服の中にするりと入りこむと、小さな山の山頂を目指す。


「やめてってば」

 思わずリカーを突き飛ばしてしまった。


「何でよ、気持ちいいことだよ。ミカン」

「リカー、あなたおかしいよ。どうしたの?」

「どうもしないさ。あたいはあたい。女の幸せに目覚めただけさ」

 その瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた。

 

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