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二階の部屋から一階に降りると一階は閑散としていた。
朝食が一段落したからだろう。
「ご主人、ご主人はおるかの?」
村長さんがご主人を呼ぶ。
「何用ですか? お客様」
ご主人と一緒にハガネさんも現れる。
う~、大丈夫だよね。成功するよね。
ホイヤーさんに視線を移すとオペレーションK発動のサインが出た。
私はこっそりと幻術を唱える。
ボトル棚に幸せの鍵が現れた。
直後にホイヤーさんの手元に本物の鍵が移動する。
辺りを警戒するけど気づかれた様子はない。
ほっと胸をなで下ろす。
村長さんの方はどうだろう?
視線を移すと楽しそうにご主人と話をしていた。
「先に部屋に戻っていますので」
ホイヤーさんが何食わぬ顔で私の肩を抱いて階段の方へ歩いていく。
私はそれに従った。
ご主人の前を通るとき心臓がばっくんばっくん高鳴っていた。
村長さんより一足先に部屋に戻ってきた私たち。
もちろん幸せの鍵は手には入った。
後はこれをケルト村長に届けるだけだ。
しばらくすると村長さんも戻ってきた。
何故かルンルン顔で。
何を話してたのかな、ちょっと気になる。
けどこの際まあ不問にしておこう。
聞かない方がいいこともあるもんね。
こうしてオペレーションKは成功した。
「さて、ケルト村長の所に行くかの」
ご機嫌な村長さんはしっかりと幸せの鍵を握っている。
また怪しい人になっている。
みんなが荷物をまとめたのは日が真上に来た頃だった。
「では、お会計を。全部で銀貨二〇万枚になります」
ご主人がハガネさんを伴って笑顔で答える。
えっと……。
みんなの視線が村長さんに集まる。
「ん? どうしたのじゃ? ホイヤー殿会計じゃぞ」
「おやおや村長、お人が悪い。必要経費ですよ。ここは村長が払うのが筋。さあ、お願いします」
だ、大丈夫だよね。
村長さんとホイヤーさんのやりとりをハラハラしながら見ていた。
「ワシは持ち合わせがないじょ」
「「「ええ~」」」
ちょ、ちょっとそんな大金私たちだって持ってないわよ。
「村長、ご冗談を。村長たるものこの程度の金額なんてことないハズ」
ホイヤーさんはにこやかに村長に話をするけど……。
「ワシは大金を持ち歩かぬ主義じゃ」
キッパリと言い切る村長さん。
このパターンて……。
「お客様、お会計はいかがされるおつもりで?」
オールバックの髪に色眼鏡がギラリと光る。
「それはホイヤー殿が……」
「いやいや村長が……」
「つまり払えないと?」
村長さんとホイヤーさんのやりとりにしびれを切らしたご主人が色眼鏡をギラリ途光らせた。
「でわ仕方ありませんな。ハガネ、やれ」
「へい」
え、ちょ、ちょっと何で私?
ハガネさんにひょいと担がれた。
「お代がわりにこの娘をいただきます」
ちょ、ちょっと聞いてないよ。
「そんな事できるわけ無いだろ。ミカンを放せ!」
「放して欲しくば代金銀貨二〇万枚耳をそろえて払ってもらおうか!」
「う、」
「ちょ、レモン。何とかしてにゃ!」
ジタバタ暴れてみるけどびくともしない。
「待ちたまえ、払う宛はある。ミーちゃんを放しなさい」
ホイヤーさん。
「まずは話を聞こうか?」
「我々はある依頼を受けてこの村にやってきた。その依頼がすめばここの代金など……」
「ハガネ、連れて行け」
「いや~、レモン助けてにゃ!」
「ま、待て! ミカンは関係ない。人質が必要ならオレが残る」
レモン……。
「勘違いするんじゃない。男に用はない。こんな小娘でも需要はあるからな」
ちょ、それってお店に出るってコト?
ヒラヒラ女の衣装や接客態度が脳裏を駆けめぐる。
あれを私にやれと?
無理無理無理、絶対ヤダ!
「金は必ず払う! だからミカンを……」
「ならいますぐ、ここで払ってもらいましょうか?」
「ぐ、それはできない。明日までには金を用意するから」
レモン、頑張れ!
「わかりましたこうしましょう。五日間は待ちましょう。もちろん彼女には下働きをしてもらいますが。五日たってもあなたたちが支払いを済ませない場合、この小娘は晴れて我々のモノとする。ここまでが妥協点です」
ギラリと色眼鏡を光らせるご主人。
「く、わかった。すぐに連れ戻しに来るからなミカン」
「レモン、待ってるにゃ。なるべく早くににゃ」
ああ~、やっぱりこのパターンね。
ホイヤーさんのバカバカバカ!




