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サーチェの話 1

 


 何よ何なのよ。

 体が勝手に、服を脱いでく。


「ちょ、リーンやめてにゃ」

「あら? わたしは何もしてないわよ。ん~いい眺めだわ」

 何で体が言うことを……リズム似合わせて服を脱いで……。


「ほ~ら、ミカンちゃんのかわいい胸が丸見えね~」

「£%#&*」

 い~や~!


「うぐ……」

 れ、レモン……ダメ目を覚まさないで。

「あら? 愛しの殿方がお目覚めのようねぇ」


 ダメダメダメ!


「うぉ、なんだ?」

 レモンも踊りながら服を脱ぎだした。

 ちょ、どうなってるのよ。


「ミカン、どうなってるんだ」

 ああ、レモンに見られた。


「うふふ、楽しいわね」

 リーンは高みの見物。

 リーンの仕業じゃないなら一体。


 それにしても、レモンの体筋肉質ですごくきれい……じゃなくって。

 ああ、ついに禁断の領域に手が伸びて……ダメダメダメ!

 妖艶な音楽と共に一気に脱ぎ捨てる。

 い~や~!

 レモン、見ないでってレモンも下着に手をかけて……。


 ゴクリとのどを鳴らしてしまった。

 そのとき視界の端に奇妙な人物が笛を吹いているのが目に入った。

 どう奇妙かと言えば……ってソレどころじゃない。


 確か歌や音楽に魔力を込める魔法があったっけ。

 一か八かよ!


「解呪!」


 フッと体が軽くなった。

 体の芯の熱さが消えた。

 体の動きが止まった。


 やっぱりあの音楽が原因だったんだ。


 あの奇妙な人物。

 上半身は少年。クルクルくせっ毛の金髪から申し訳なさ程度の角が二本伸びている。

 大きくてきれいなブルーの瞳。

 すらっと高い鼻。


 そしてそれらを台無しにしている鼻の下から二房伸びている腰まである長い青銀の髭。

 下半身はヤギ?


 その人物の方にリーンの視線が向くと「腕が落ちたんじゃないのかぇ? サーチェ」とリーンが微笑む。


「かもね。にしてもいい眺めだね。はるばるこんなとこに来たからどんな人かと楽しみだったよ」

「ミカン、早く服を着ろ」

 は、私裸だった。

 レモンは?

 もう着てる。


 う~ん惜しい……じゃなくって見られたのがレモンだけでよかった。

 下着をつけると森の影に視線を泳がすドリアンさんが目に入った。

 ……見なかったことにしよう、うん。


「さあ、どういうことか教えてもらおうか? ことと次第によっちゃ怪我では済まないぜ」


 レモンが剣に手をかける。

「あら? はるばる彼に会いに来たんじゃないのかな? レモン君」

 唇に人差し指をあてるリーンの仕草にドキリと胸が高鳴る。


 やっぱり女性の私から見ても艶っぽい。


 ヒョコヒョコとリーンの横まで出てくる奇妙な人物……彼がサテュロス?

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