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「やぁ、おいらの名前はサーチェ。君たちから見ればサテュロスだね。 もうかれこれ五〇〇年くらいやってる。こうもサテュロスやってると飽きてきちゃって。でもしょうがないよね、生まれ変われないから」
妙に明るい話口調に想像していたお爺さん像が音を立てて崩れていった。
「そうそう、お姉ちゃんのダンスよかったよ。でも残念、色気が少し足りないかな。そのあたりはリーンから指導してもらうといいよ。人気のストリッパーになれるよ」
いやいや、ストリッパーになるつもりは毛頭ありませんから。
身構えるレモンの背中に隠れた。
「兄ちゃんもいい体してたね。流石は戦士だよ。見事なモノ持ってるし。ね、リーン」
リーンが妖艶な笑みを漏らす。
り、立派なモノって……いやいやいや、今驚くのはそこじゃない。
「リーン、私たちが探していた相手って……」
「彼よ」
やっぱりそうだよね。
「えと、はじめましてにゃサーチェさん。私はミカン、彼はレモン、こっちの子供二人はマイヤーとアイヤーで木の陰に隠れちゃってるけど彼は巨人族のドリアンさん。で、リーンの隣にいるのがホイヤーさんにゃ。私たち龍の髭を探しに来たにゃ」
「これはこれはご丁寧に。龍の髭はこれだよ」
自慢気に鼻の下から延びる二房の長い髭を撫でてみせる。
え?
聞き間違いだよね。
「あの……」
「それよりサーチェ。あんたまた寝床変えたんだねぇ。案内しなよぇ。話はそこでゆっくり聞くぇ」
リーンの言葉に私の言葉がかき消されてしまった。
皆が目を覚ました頃リーンとサーチェの話がまとまっていた。
結局、私が口を挟む間もなくサーチェの寝床に行くことになった。
ゾロゾロ移動する私たち。
サーチェは葦笛を吹きながら歩いている。
さっきのように妖艶な曲でなく軽快な行進曲だ。
きっと音楽が好きなんだろうねサーチェは。
私たちは足も軽く楽しい気持ちで移動していった。
「……これはいったいどういうこと?」
サーチェの住まいは洞窟だった。
けど、驚いたのはそこじゃない。
なんと若い女の子からお婆さんまで裸同然の格好で出迎えてくれたのだ。
種族は様々。
総勢約一〇人。奥にもいるかもしれない。
「ヒャッホ~いいケツしてるね姉ちゃん」
「フカフカだね。やっぱりこれくらいのボリュームは欲しいわよね」
マイヤー、アイヤーコンビがすでに特攻してる。
「ミスハニー。今夜はボクと熱~い夜を……」
ホイヤーさんまで。
頭痛くなってきた。
は、レモンは?
振り返ると微動だにせず堂々としてる。
やっぱりレモンだね。ホイヤーさんとは違うよ。
ほっと胸をなで下ろした。
「レモン、行くにゃ」
レモンの腕に絡まって、サーチェのとこまで行こうとすると、ど~んとレモンが倒れてしまった。
「レモン!」
すぐに抱き起こすとレモンの鼻から赤い液体がしたたり落ちていた。
……男って……。
ちょっと悲しくなってきた。




