6
「へっくち、う~さぶ」
「ほらもっとこっち寄って」
たき火にマイヤーを近づける。
今は全身濡れネズミになったマイヤーを乾かしているところ。
「全く時間のロスだわ。今日中に龍の髭に行った人にあわないと、間に合わなくなるわよ」
そう、リーンの言うとおり時間はない。
七日間の滞在期間しかないのに、今日はすでに三日目だ。
帰りの行程を考えれば明日には引き返さないといけない。
「全く何で池になんか飛びこんだんだい?」
そっか、ホイヤーさんはあのおぞましいやりとりを見ていないんだっけ。
「へっくち、そこの姉ちゃんのせいだよ」
毛布にくるまったマイヤーが横目で私を睨む。
「何よ、元はと言えばマイヤーが悪いんじゃにゃい。自業自得にゃ」
「だからといってアレはやりすぎだ、ミカン」
「は……い、レモン」
確かにやりすぎました。
「何はともあれ、怪我がなくてよかったよ」
ホイヤーさん……仰るとおりで。
つい浮かれていたけど魔物はいないけど危険はあるもんね。
「さて、そろそろ行くか。リーン後どのくらいだ?」
「そうね、今夜にはつくんじゃない?」
レモンの質問に対して適当に答えるリーン。
本当に大丈夫かな?
歩き始めてから体感時間で三時間ほどがたったころ、やっと山らしいモノが見えてきた。
「あった山だにゃ、山」
思わずジャンプしながら喜んだ。
「そんなにはしゃがなくても見えてるぜ、ミカン」
レモンは落ち着いた笑顔を見せてくれる。
「よっぽど嬉しいんだね」
ホイヤーさんが笑った。
「え? ホイヤーさんは嬉しくにゃいの?」
やっと龍の髭についての情報が入るのに。
「まぁ、はしゃぐほどではないかな?」
「何で?」
目的地は目の前なのに。
「わからないの? おバカさんね。龍の髭に着くわけじゃないのよ。ただ行ったことがある人に会えるだけよ」
それだけでも大収穫じゃない。
龍の髭の場所がわかるんだよ。
「とにかく行ってみようぜ、話はそれからだ」
レモンが私の手をつかんで引っ張ってくれた。
う~、なんだかドキドキするよ。
「お姉ちゃん、顔赤いよ。風邪でも引いたの?」
「ち、違うの。何でもにゃいんだから、何でも」
私とアイヤーのやりとりにレモンはフっと笑っていた。
まさかドキドキが聞こえたんじゃないよね?




