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暑くもなく寒くもない。

 春のような陽気。

 まさか年中こんな陽気でもないだろうに。

 それに見れば見るほど不思議な世界だよね。


 見たこともない木々。

 

 天井がある分けじゃないし、今日も抜けるような青空が広がっている。

「おい、アイヤー来て見ろよ。なんかいるぞ」

「何々?」

 マイヤーとアイヤーは草原の中に入っていった。


「なあ姉ちゃん。これなんだ?」

 マイヤーの指す方を見てみると、葉っぱを一生懸命食べている芋虫がいた。

 そうか、地下で暮らしていたマイヤーとアイヤーはこういうのも知らないんだ。

 私も幼い頃はいろんなモノに興味持ったな。


「あのね、これは芋虫って言うんだにゃ。いっぱい葉っぱを食べて大きくにゃるの」

 キレイな蝶になるために。

「いも……むし?」

「そうよマイヤー、芋虫だにゃ」

「つまりあれか、コイツは葉っぱを食べてでかくなって……」

 そうそう、蝶になるの。

「芋になるのか?」


「何でそうにゃるのよマイヤー」

 どうすれば芋虫が芋になるのよ!


「え? だって芋虫だろ? まるまる太って芋になるんじゃ……」

 いや~、止めて気持ち悪い。

 思わず想像しちゃったじゃない。


「芋は植物。芋虫は蝶の幼虫にゃ」

「ちょう? ちょうって腹ん中にある奴か?」

「何でそうにゃるのよ」

 どんな発想よ。

 てか、よく知っていたね。

 ある意味感動もんよ。


「何だマイヤー、そんなことも知らないのか。芋虫はどんどんデカくなってワームになるんだぞ」

「本当か! ホイヤー兄さん」


「ホイヤーさん、嘘を教えにゃいでよ!」

 本気にするじゃない。

「へ~コイツがワームの子供か~」

 目を爛々と輝かせて、芋虫をつつくマイヤーとアイヤー。


「おお、確かにワームそっくりね。この凶悪そうな顔といい体つきといい……」

 いや、違うから。


「ワームとは違うからにゃ。確かに似て無くもないけど、ワームは砂漠にいる魔物だからにゃ」

「なんだ、違うのか」

 いきなり興味をそがれたのか、芋虫の観察をやめてまた野原を走り回る。

 マイヤーとアイヤーにしてみれば地上に出たのは初めてだもんね。

 初めての体験が嬉しいんだろうね。

「おいアイヤー、これ見ろよ。ジャイアントアントの子供がウジャウジャいるぞ」

「どれどれ、ホントだ。えい、今のうちに退治だ! アイヤーキック!」

「こらこら、そんなことしたらだめにゃ。これはただのアリさんにゃ。モンスターじゃないにゃ」


 あ~あ、巣を踏みつけられて……。


「何だよコイツらが成長するなり合体するなりして、デカくなるんじゃないのか?」

 うん、凄い発想力だ。

「ちがうわよ。これで大人なの」

 小さいけどね。

「じゃ、ジャイアントアントは?」


「アイヤー、ジャイアントアントは洞窟とか地下ダンジョンを住処にしてるよにゃ」

 そう言えばジャイアントアントの子供ってどんなんなのかな?

 やっぱりアリと一緒なのかもね。

 指でつんつんやってる二人の背中を見ながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。


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