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小説 「 p 」 - 死刑囚、2080年から1582年へ  作者: /WoKoERu ( wokoeru )
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第41話 繋がり

/WoKoERu From Japan


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第41話 繋がり


─── 地下


匿名機材ルーム ──




端末の前で、Pは静かに立っていた。



発信はすでに完了している。



冷たい事実の羅列が、世界のどこかへ飛び立っていったはずだった。



だが、部屋の中に変化は訪れていない。


頭の疼きが、まだ続いている。

首輪の内側が熱を帯び、首の奥から脳に向かってじわじわと伝わってくる。

故障した装置が、彼の内側を静かに、しかし確実に蝕み続けている感覚があった。


Pは、黒い箱状の装置から視線を外した。



彼の脳は、元々普通の人間とは異なる性質を持っていた。




JunkDNA——ヒトゲノムの大部分を占め、長らく機能が不明とされてきた領域。



その中に、特定の条件下で活性化する配列が存在していた。

神経細胞の可塑性と、外部からの信号に対する感受性に関わるものだ。


2080年において、

脳内チップ技術が発達したことで、この配列が持つ意味がわずかに明らかになり始めていた。



特定の状況下で活性化すると、

脳の特定の領域が、

微弱な信号や特定の脳波パターンに対して過剰に反応するようになる。



Pの場合、その特性が先天的に強かった。


過剰反応だ。




幼少期から、彼の脳は周囲の「何か」と繋がりやすい状態にあった。


P本人はそれを自覚していなかった。抑制が効いていたからだ。普通に生活できていたからだ。



問題は、NCC-7の故障・チップとの不干渉だった。


拘束装置と連動した脳内チップの異常が、脳に施されていた抑制を、ゆっくりと、しかし確実に剥がしていった。



今、彼の脳は——意思とは関係なく、外部に向かって微弱な信号を発し続けている。

Pは、そのことに完全に気づいていない。



ただ、頭の奥で、どこかへ向かうような、曖昧で制御できない「何か」が、静かに生まれ続けている感覚だけは、ぼんやりと自覚していた。


(……何かが、動いている。)


その感覚は、以前よりも少しずつ強くなっている気がした。



まるで、誰かに向かって、言葉にならない声を発しているかのように。



Pはそれを、ただ感じているだけだった。






端末の淡い光が、狭い部屋を照らしている。



TAOSUは部屋の隅で、ほとんど動かずに立っていた。

甲农の軋む音はなく、ただ静かに存在している気配だけが感じられる。




Pは、再び黒い箱状の装置に視線を戻した。


頭の疼きが、静かに続いている。

彼の脳が、無意識に何かを呼びかけ続けていることなど——

今のところ、彼はまだ知らなかった。


ただ、頭の奥で、確かに「何か」が動いている。



それは、Pの意思とは関係なく、ゆっくりと、しかし確実に、外に向かって広がり続けていた。



───

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