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エンドコンテンツ裏ボスである主人公の親友に転生した俺、最強だがいずれ敗北が確定しているため、ハッピーエンドを目指して学園生活を謳歌する  作者: 椿紅颯
第六章

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第38話『物語の主人公が活躍する裏での事』

 さて、追ってきたモンスターは腕で払ったぐらいで討伐完了。

 負ける気はしなくても、初めて目の当たりにする種類だと少しだけ怖気づいてしまいそうだった。


「陰、陽」


 2匹は、呼ばれることを事前に把握していたぐらいの速度で到着。

 目の前で空中制御し、いつものように甘えてくる様子はない。


「状況を把握してくれているようだね」


 であれば、好都合。


「陰は俺と行動を。そして陰には、彼らの護衛をお願いしたい」

『キーッ』

『カーッ』


 あまりにも物分かりがよすぎて感心するしかない。


 陰はすぐ行動へ移し、カイトたちが居る方向へ飛んでいく。

 細かい指示を加えたいところだったけど、状況が状況だから、時間の余裕はないから陰の行動力が正解だな。


 でもこれで安心。

 少なくとも3人の安全は確保されたわけだから、焦って行動せず、段取りを決めながら移動しよう。


「陽、今回のゴールはゲートのボスを討伐することにある」


 とりあえず、校舎の方へ歩き出す。


「たぶん人の目を気にしなければ、バーッと行ってバーッとモンスターを倒し、ゲートの中に入って暴れ回ってボスを討伐すれば今回の騒動は終わる」

『カ~』

「それでもいいよ、みたいな反応するじゃん。まあそれはそうでもあるけど」


 でも重要なのは、これがゲームではなく現実として起きているということ。

 このままゲーム感覚で問題解決をしてしまえば、これから先の生活に支障が出てしまう。

 今回の騒動が『主人公の強制的なレベルアップ』という、世界の強制力によるものであれば、そもそもイレギュラーな存在である俺は消されてしまうかもしれない。


 だからこそ、俺は正体を隠しながら事態を解決する必要がある。


「変装していこう」


 あまりにも物分かりがよすぎる陽は、光に包まれながら俺へ接近してきた。


「ありがとう」


 俺の体も光に包まれ、学生服から純白のタキシードに仮面で顔を隠す。


 スーツとも言える格好ではあるが、体の動きを妨げることのない伸縮性は本当に助かる。


「剣も合わせよう」


 【聖裁の破壊ジャッジメント・デストロイ】を召喚し、左手で握る。

 改めて陽の光に照らされる純白な剣に見惚れるも、光を反射しないにもかかわらず、今にも光を放ち始めそうな違和感は消えない。


「ん」


 校舎の方で爆発したような音が聞こえたような気がする。

 全体の状況を把握したいけど……そうだ、校舎の屋上にっ!


「――と、跳んで到着したものの。なるほど」


 校庭の上空に展開してあるゲートから降ってくるモンスターは、そのまま校舎を目指して進行している。

 さっき襲ってきたモンスターたちは、偶然の遭遇だった、ということだろう。


「人が多いところを目指しているのかな」


 物語の主人公を狙って、というよりも無差別に近い……どこまでもイレギュラー的な展開なのだろう。

 神様のいたずらか、ゲームシステム的なバグか、それとも本当に偶然の展開か。


 どれも明確な答えが出せない疑問だから――今は、自分にできることをしよう。


「よし、じゃあまずは校庭から」


 ひょいと跳び、着地。


 先生たちは数人がかりでモンスターの大群と交戦しているから、俺が来たことは誰も認知していない。

 気づいているかもしれないけど、振り返っている余裕がないのだろう。


 変装もばっちりだし――俺も参戦だ。


「――はぁっ」


 地面を抉り、前進。


「く、くそぉ!」


 数に押されそうだった教師1人の前へ。


「な、何!?」


 モンスター数体を薙ぎ斬り捨てる。


「だ、誰なんだ」


 始めて見る顔の先生だけど、ごめんなさい返答はできません。

 無言のまま次、次、次と移動の流れでモンスターを討伐して回る。


 しかし、それでもモンスターの波は終わらない。


 後ろの方ではバラバラで応戦していた先生たちが集合し始めた。

 これで戦力不足で各個撃破される心配はなくなったはず。


「――」


 ゲーム進行度的な視点から、現状でゲートの存在を把握している人間は極めて少ない。

 加えて、突如姿を現した俺の存在に疑念の目を向けている人も居るだろう。

 ここは協力関係になった方がいいと思うけど……まあ難しい。


 モンスターの進行速度は遅いものの、止まらないことが一番めんどくさいな。

 行動して思ったけど、俺がゲート内へ飛び込んで行ったとしてもボスへ到達するまでの時間をどうするかが問題だ。


 陰を戻す選択肢もあるが……いや、あちら側が危険な状況になってしまう。

 陽を解放すれば地上を一掃し続けることは余裕。

 でもそれだと俺が素のまま行動する羽目になる。


「今は――」


 解決策が出てくるまで、モンスターを倒し続けるしかないか。


 今の俺は、どれだけ高速移動を繰り返し強力な攻撃を続けようとも疲弊して倒れることはない。

 現に今、背後から注がれ続ける目線の中モンスターを次々に討伐し続けているけど、全く膝を突く未来が想像できないほどだ。

 陽のおかげだけど。


 それにしても、陰が傍で待機し続けているとはいえ物語の主人公は可愛いヒロインたちを守ることができているだろうか。

 感動的な別れをし、ここら辺で好かれるようなかっこいい場面を見せてもらわないと困る。

 さもなければ、俺に待ち受けているのは“死”。


「――まだまだ出てくるな」


 咄嗟に判断したとはいえ、状況を打破するには陰の能力が必要だったな。

 デバフを撒き散らし続けてくれたら、この場を離れてゲート内に突撃できる。

 殲滅力では陽の力が必須だっただけに、もう少し先を見据えて判断するべきだった。


 ハイスペックなキャラクターに転生しても、中身が能力に不釣り合いだと認めるしかない。


「先生!」


 あまりにも聞き馴染みのある声に、足を止めてしまう。


「どうして外に居るんだね!」

「それよりも今は校舎の中へ!」


 教師陣は余裕がないのだろう、声を荒げている人も居れば、冷静に避難指示を出している人も居る。

 そんなことよりも驚きを隠せないのは、カイトが森の中から校舎まで移動してきたことだ。

 陰が居たとはいえ、あからさまに保護する支持を出してはいない。

 だというのに、別モンスターとの戦闘する危険を顧みず2人を連れたまま校舎まで移動したのか。


 勇敢と無謀が同居している話だが――さすがは物語の主人公。

 一歩間違えたら大惨事になる、実際には陰が居るからそうならないが、それでもやってくれたな。


 その行動のおかげで役割を終えた陰と合流することができた。


「お疲れ様」

『ピーッ』


 これで準備はできた。


 右手に【闇裁の破壊ダークネス・デストロイ】を召喚。


「陰、ゲートの下に黒いのを頼む」

『ピィ!』


 陰がブラックホールをゲート下に展開することにより、モンスターが地面へ降り立つことが不可能となる。

 そして。


「ふんっ」


 召喚した【闇裁の破壊ダークネス・デストロイ】を地面へ差し、範囲デバフを継続的に発動させ続ける。

 これによって飛行系のモンスターにも対応できる、と。


「陰、このまま任せる。頼んだ」


 俺はそれだけを言い残し、返事を待たずに地面を蹴り上空のゲートへ直行。

 初めてだったら躊躇っていただろうに、俺も慣れてきたものだな。


 邪魔をした報いは受けてもらうぞ。

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