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エンドコンテンツ裏ボスである主人公の親友に転生した俺、最強だがいずれ敗北が確定しているため、ハッピーエンドを目指して学園生活を謳歌する  作者: 椿紅颯
第六章

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第37話『ワーニングワーニングワーニング』

 なんということでしょう。

 まさかのまさか、1組と2組と3組の合同実技授業が始まってしまいました。


 しかも交流を主に置き、各々の能力向上を――という、あまりにも絶好すぎる機会を得た。

 さーらーに、俺が何か画策する必要もなくスムーズに組むことができた。


 まあ、カイトとアリサも一緒なんだけど。


「2人にはちょこちょこ話題を出していた、親友のカイト」

「話題にしてくれるのは嬉しいけど、ミナトがまともに伝えているとは思えない」

「イケメンでモテる男」

「他には?」

「ない」

「はぁ……」


 もはや、お前にとってそれがアイデンティティだろイケメンがよぉ!


「ふふっ、この時期でそんなに仲がよかったら誰も親友同士って疑わないよ」

「仲がいいんだね」


 しかし、まあ、なんというか……ミーシャと目線を合わせられないし、気合を入れて目を見てみるとミーシャも恥ずかしそうに目線を逸らしている。

 アリサとは普通に目を見ることができるし喋ることができるのに。


 でも幸か不幸か、これでカイトへミーシャとアリサを合わせることに成功した。

 ここではミーシャの説得は難しいかもしれないけど、カイトとの距離を少しでも縮めてもらえたら大収穫祭になる。


 軽い自己紹介を終え、いざ授業内容。


「『広範囲防御魔法が展開されている中なら、どこに移動してもいい』と言われても、移動する必要はないもんなぁ」

「でもさすがに3組分の合同授業、ちょっと広がって魔法を発動させるには狭いよね」

「どうせだし移動しちゃお」

「そうだね」


 思っていた以上に距離感もなく話ができている。


 さすがは離れしているカイトは普通に話し始めるし、アリサもいい提案をしてくれる。

 ミーシャも抵抗感なく返事をしているし、元々が人見知りというわけではないから流れができたらって感じか。

 ちなみに俺は、人数が増えると本当に何も考えられない。

 開口一発目も愚痴だった事実に泣きそう。


 少しどころか、ちゃんと離れ――もはや見慣れた木々のある一帯へ。


「そういえば、モンスター騒動ってどんな感じだったの?」

「話が出回っている通り、ケガ人は0。先生が倒したようだけど、僕は見ていないね」

「私、そんな状況に遭遇したら怖くて動けなくなると思う」

「わたしは抵抗するだろうけど、まあ何もできず終わると思う」

「先生が対応するぐらいだからね。僕たちは戦わないよう立ち回らないとね」


 す、すごーい!

 俺はたったの1言も話していないというのに、円滑な会話が繰り広げられている。


 物語の補正力があるのか、主人公補正が適応されているのか。

 これがイケメンがサラッとした理解不可能なアドバイスの正体ということなのか……実演されると、自分の不甲斐なさが際立ってさすがに落ち込むな。


「恥ずかしいけど、僕は体を動かすことはできるけど魔法は全般的に苦手なんだ」

「それで言えば、わたしも攻撃魔法はできるけど補助魔法はぜーんぜんできない」

「私も、そうかな。攻撃魔法は得意じゃないし、防御魔法も得意じゃない」


 あまりにも設定を史実通りに発表されるとプレイヤーに戻った気分になる。

 ミナトというキャラクターを遊んでいる、と言えばそうでもあるけど、でも今は俺がミナトだ。


「俺は防御魔法が得意だね」


 と自己紹介しただけなのに、3人からの目線をあからさまに感じる。


 ああそういえば。

 ミーシャの前では身体能力を、アリサの前では攻撃魔法を、カイトには魔法全般を教えていた。

 それぞれから見る俺は別々の目線だろうが、総合すると全部できることを披露してしまってもいる。


 3人ともお願いします、疑問を口に出すことだけはしないでください。


「あ! なんだあれ!」


 みんなの口元が怖すぎて、古典的な注意逸らしを実践してしまった。

 あまりにも使い古された、何もない虚空を指差す――という。


「え……」

「何あれ」


 ミーシャとアリサが、まさかの悪乗りをしてきてくれて逆に俺の方が動揺――ん?


「空が黒い」


 カイトの言葉により、一気に血の気が引いた。


 みんなと同じ方向へ目線を向けると、学園を覆ってしまうほどの黒い靄――いや、ゲートが出現している。

 う、嘘だろ……という感想以外が出てこないほど、状況を理解できない。


 そして訪れる、最悪の助走。


「モ、モンスターが」


 続くカイトの言葉に、ハッと我に返る。


 ずっと気になっていたイレギュラー的展開。

 まさに現在突発的に発生したゲートが全ての答え合わせになっているようなもの。

 神の仕業なのかゲーム的なシステムの強制力かは知らないが、何かが作用している事実に変わりない。


 ゲートから次々に落ちてくるモンスター。

 しかし全て一直線にこちらへ向かってきているわけではない。

 たぶん、ほぼ無差別に人間を襲っている。


「ど、どうしよう」

「私たちは逃げた方がいいんじゃ……」


 アリサとミーシャも焦りの色を見せ始めた。


 しかし俺は冷静に思考でき、それは前もって立てていた仮設のおかげ。

 ゲームの修正を進める強制力なのか、それとも物語進行するうえで足りない経験値の補填かはわからない。

 だが今、仮設通りにイレギュラー的展開が起きてしまった。


 大熊モンスター同様に無差別の襲撃として。


「でもここから奥に逃げたら完全に孤立するし、別のモンスターに襲われちゃう……」


 ミーシャの懸念は真っ当なものだ。

 俺たちは今、結界の中という外敵の心配をせずに居られる安全地帯の中。

 そこから飛び出すなんて危険行為でしかない。


 かと言って、俺がモンスターを蹂躙すれば全ての計画が破綻してしまう。


「先生たちがどうにかしてくれるまで、ここから動かない方が――」


 アリサの提案に耳を傾けているとき。


『ガァッ!』

『キィー!』


 5体のモンスターがこちらへ直進してきている。


「下がって!」


 3人を後方に、俺が盾になるかたちで前へ出る。


「ミナト!」

「俺がモンスターを引き付ける。3人は隠れられそうな場所に逃げて」

「そんなことできるわけないだろ!」

「そうだよ! 一緒に逃げようよ!」

「戦ってもいいじゃない!」


 みんなが俺を説得しようと必死になってくれている。

 逼迫した緊張が走る状況だが――当然、俺があの程度のモンスターに負けるはずはない。


 でも俺は今、突破口を見つけ出した。


 今回の目的はカイトと2人の距離を近づけること。

 そして突発的に出現した、イレギュラー的展開のゲートを潰す、この2点が目的だ。


「カイト、頼む」


 俺は閃いた。

 危機的状況を共有することによって発動する【吊り橋効果】、が存分に効果が発揮することを。


 別々に行動する理由を得られたら後はモンスターを蹂躙してゲートを潰すだけでいい。

 そして、これら計画を実行するためには孤立する必要がある。


 だから今、物凄く心配されているけど好機でしかないということ。


『ンガーッ!』

「――わかった」

「頼んだ」


 さすがは物語の主人公、当人からすれば難しい判断だろうが覚悟を決めた目をしている。

 顔がイケメンというバフはあるが、ヒロインを守ろうとする姿――かっこいいじゃねえか。


「ダメだよ!」

「危ないって!」

「――こっちだ!」


 魔法障壁発動ついでにモンスター小団体へデバフを発動させ、俺だけを標的として定めさせる。

 ミーシャとアリサの制止が響き渡るも、反応はしない。


 先頭の1体が魔法障壁に突進してきて、あえて崩壊させる。


「こっちだ!」


 3人が離れてくれることを期待したけど、さすがに無理そうだ。

 俺がこのままモンスターを引き連れて離れる。


 走り去る瞬間、カイトへ目線で「頼んだ」と気持ちを伝えた。

 俺が離れている時間は本当にカイトを頼るしかないから。

 頼んだぞ物語の主人公、主人公補正でもビギナーズラックでもなんでも発動させて誰も死なないでくれ。


 頼むぜ、親友。

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