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エンドコンテンツ裏ボスである主人公の親友に転生した俺、最強だがいずれ敗北が確定しているため、ハッピーエンドを目指して学園生活を謳歌する  作者: 椿紅颯
第五章

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第32話『ゲートを潰しつつ考えるとしよう』

 再燃し始めてしまった体を冷ますため、いざゲート内へ。


 モンスターへ八つ当たりする目的だが、移動の最中に別の件も考えようと思う。

 ついさっき疑問に思った、イレギュラー的展開についてだ。


『カーッ』

『キュー』


 最高の相棒たちを連れてきているから、1人で暴走することもない。

 2匹に暴れ回ってもらっている内に考えよう。


 イレギュラー的展開、それは全て唐突だった。

 表ルートの展開的にカイトが選択授業の結果を決めていないから、まだ進んでいないと判断していいだろう。

 裏ルートに関しても現状のカイトはレベル上げや経験値稼ぎができているとは思えない、だから前に同じ。

 エンドコンテンツルートで言うなら、裏ルートの進行状況的に突入するだけ地獄ルート確定。俺よりも先にカイトが命を落とす可能性が非常に大きくなってしまう。


「おぉ、容赦ねぇ」


 2匹の暴れっぷりとモンスターが無条件に蹂躙していく様は、かなり爽快感があって見応えがある。

 月明りと星の光だけで視界が良好なのはゲート内だからだろうけど、黒い靄が漂っているから不気味さは消えないな。


 しかし大熊の件は、収穫こそあったけどイレギュラー的展開で会ったことは事実だ。

 もしかしてカイトが戦闘に関与し経験値を稼ぐための措置だった、という可能性はあるだろうか。

 表ルートで話が進んでいるというのに、それでは強引に別ルートへ導かれようとしているみたいじゃないか。

 俺が倒してしまった大熊が再び出現し、進みが遅いから自分からカイトへ吸い付かれるように登場した、と。


「そう仮定すると十分にありえるな」


 実際、表ルートが順調に進んでいるかと問われたらそうでもない。

 一番最初のミーシャが襲撃される裏イベントや、進行上必要不可欠なハサミイベントも失敗に終わってしまった。

 両方とも俺が関わっているから誰を責めることはできない。


 でもそう考えると、裏ルートも失敗からスタートしていることになる。


「うわ、爆発してるけど何?」


 黒い爆発に黒い爆風、という異質すぎて理解に苦しむ攻撃が炸裂し驚かずにはいられない。


 そして失敗したからとセーブポイントへ戻ることもなく、時間が止まるわけでもゲームオーバーになるわけでもない、ときた。

 じゃあ次に待ち受けているのは、時間経過で強制的にエンドコンテンツのイベントになる。

 表と裏と違い、ひたすら効率と大量の経験値が必要になるため現状を鑑みるに……大熊より強力または強大なモンスターから襲撃されることになってしまう。


 もしも本当にそんなことが起きたら、大変も大変。


『ブルゥ!』

「――邪魔しないでね」


 背後からの突進中であろう地面を蹴る音へ反応し、クルッと反転からの蹴飛ばして猪モンスターを討伐。


「蹴りだけでモンスターを倒せるの、普通におかしいよな。でも体が強くて感謝感謝」


 要するにレベル1か2の登場人物たちに対し、レベル10ぐらいのモンスターが襲ってくる計算になる――たぶん、大体それぐらい。

 しかも大熊の件を加味すると、間違いなく周りの人間にも危害を加えてくる。

 主人公のレベルを上げるため、ただそれだけで他生徒が命を落としてしまう可能性が大いに出るなんて――胸糞展開すぎるだろ。


 運営なのか神様なのかわからないが、理不尽すぎるというか、好き勝手やりすぎだ。


「でも逆に考えると、物語の進行を遅らせた、または妨害してしまった俺にも責任がある可能性もあるか」


 自身の行動を振り返れば、全てが感情的に動いていたことは間違いない。

 ミーシャとアリサを最初から助けたことも、美談としてとらえているけど実際は自己満足の領域だ。

 だからミーシャは物語になかった、2度目の襲撃を受けることになった――とも捉えられる。


 1度襲われたのなら2度目も、と考えることもできるが、それはここがゲームではなく世界が正常に動いている場合のみ。

 ゲームの中に居るか夢の中であれば、ゲームの枠を飛び出ないだろうから良くも悪くも正常に世界が回っていないことになる。


「うわ、何あれ」


 白い竜巻が急に発生して木々とモンスターを吹き飛ばしまくっている。


 何でもかんでも手伝ってしまうと、手伝われた人間が成長しない的な話か。

 なんだっけあれ、『食料に困っている人に食料を渡すより、自給自足できる手段を教えた方が後々生きていける』、という感じだった気がする。


 世界の強制力を視野に入れるなら、強力な武器を渡したり、序盤者憶えることができない魔法を教えたりすることはできない。

 せめてできることがあるとすれば、授業中に教えていた地道に強くなる手段のみ。

 あまりにもゲーム的な要素すぎて笑えてしまう。


「陰! 陽! そろそろ一緒に行動しよう!」


 俺も歩き出す。


 知識としてある、ゲーム的な要素については慎重な判断をしていけばいい。

 だが、このゲートに関しては別だ。

 この場所はゲームに登場したのは、エンドコンテンツの本当に最後の最後。

 強くなった状態で入ったのに、手強いモンスターばかりだった記憶があり、今みたいにほぼ平地だがダンジョンめいたものだった。


 であれば、ゲートというものも考察しつつ探索も交え攻略していく必要があるだろう。


「強いからパパッと片付けていると、いつかは使用がわからず痛い目を見る可能性もありそうだし」


 陰と陽が気持ちよさそうに滑空しながら戻ってきた。


「そういえばさ。さっきの感じから、まだまだ全力って出していないの?」

『ピィー!』

『カーッ!』

「そ、そうなんだね。せっかくだったら、ボス以外を任せてみてもいい?」

『ピ! ピ!』

『クルルルル』

「もう一度言うけど、ボスだけは残しておいてね」


 活気溢れる返事の後、2匹は俺の回りをクルクルと飛ぶ。


「遊び足りなかったんだね」


 たぶんだけど、散歩に連れ出した犬のようなものだと思う。

 遊び疲れて飼い主に抱っこされたまま帰宅したのに、家の中に入るや走り回る、みたいな。

 飼い主的には苦笑いする状況だけど、元気がある証拠で大変よろしい。


「下で見てるから、飛んできていいよ」


 そう伝えると、陰と陽は羽ばたいて高度が上がっていく。


 俺みたいに落下しない様子を見て、当然だけど『鳥類』なんだなぁ、とお気楽な感想を抱く。

 思い返せば戦闘するときは低空飛行気味だったし、一帯が吹き飛んでいる様子を見ているとはいえ本領を発揮できていなかったのだろう。


 じゃあ逆に、あんなに高く飛び上がっているということは今まで以上の攻撃が行われるということ?

 愛くるしい外見で忘れかけていたけど、そういや陰と陽はラスボスの使い魔的存在だ。


「――あれぇ……全力って伝えたけど大丈夫かな……?」

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