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エンドコンテンツ裏ボスである主人公の親友に転生した俺、最強だがいずれ敗北が確定しているため、ハッピーエンドを目指して学園生活を謳歌する  作者: 椿紅颯
第四章

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第28話『実質的にメインヒロインとデート』

 ショッピングモール内に到着し、改めていろいろと眺めてみる。


 あっちの世界と比較すると、これといって違いがあるわけではない。

 両開きの自動ドア、エスカレーター、消火器、時計台。

 店内を覗けるガラスの向こうには、シューズ、コート、バッグ、腕時計。

 もはや違いを探す方が難しい状況下で、レジやテレビなどの電子機器があるにもかかわらず、やはり電話とスマホなどの通信機器は見当たらない。


 テレビはあるのに携帯電話はないのかい、とツッコミを入れたい。

 たぶん誰も理解してくれないのだろうけど。


「ここって、いろいろあるよね~」


 ミーシャから話題を振られ、今更ながらに納得した。

 ここ、ショッピングモールでもありコンビニでもありデパートでもあることに。


「たしかに。休日の日に来る場所というより、日常的に来ることができる場所だよね」

「買い物しなくても気分転換に来ても、見る物が多いし楽しい」

「ミーシャは頻繁に来てるの?」

「そうだね。寮の中に居ても、楽しいことは起きないし」


 まさにその通り。

 友人が少ない、もしくは居ないのであれば寮内は暇そのもの。

 ひきこもり万歳って正確じゃないと、部屋は広くても窮屈に感じてしまうこともあるだろう。


 そして納得したのが、だからこそ文房具店で鉢合わせしてしまったということ。

 情報の見落としがあったのか、不覚だった。


 目まぐるしく忙しい時間が流れているけど、どこかのタイミングで時系列やイベントを思い出して整理しないとな。


「でも楽しい時間はあっという間。寄り道せず来ても、すぐ帰らなくちゃいけない時間になっちゃう」

「俺もそうだけど、門限があるとどうしてもそうなるよね」

「だから毎日思うの。ずっと楽しい時間が続いたらいいなって」


 俺も、その願望に心当たりがある。


 いつの時代も、どんな場所でも共通認識なのだろう。

 勉強しなくちゃ、何かをやらなくちゃ、こうしなくちゃ。

 そんな考えがぐるぐると巡り続け頭では理解する、でも、心のどこかでは自由や解放を望み続けてしまう。


「心に折り合いをつけるの難しいよね~」

「激しく同意」

「え、意外」

「そう?」

「うん」


 包み隠すことはできないけど、中身の俺は自由を求めてゲームを没頭して遊ぶようになった。

 最後に遊んだゲームが偶然、この世界【ファルファロ・オンライン】だったけど、様々な世界を遊んだ。


「隣の芝生は青く見える、的なやつだよ。たぶん、誰だってそうだと思う」

「友達が居ても?」

「うん。全てが満たされている人は居ないんじゃないかな」

「そういうものなのかな」

「断言はできないけど」


 実際、門限も校則も破ったところで命を落とすわけではない。

 素行不良と評価され煙たがられるだろうけど、反抗を自由、秩序は拘束、と捉える人間は居るし、守る側でそれに憧れる人も居るだろう。


 そんな会話を続けていると、目的地である文房具店へ到着し足を止めることなく入店。


「欲しいものは決めてるの?」

「ううん。流れに任せようかなって」


 一番最初に視界へ入ったのはメモ帳とメモ紙コーナー。


「お、新作がある。かわいい~」


 ミーシャが飛びついたのは、プリンみたいな色をした犬が描かれているメモ紙。

 愛嬌を振り撒くているような、あからさまなやつではなく、遊んでいる最中に振り向いているような構図だ。

 たしかにかわいい、もふもふな短い尻尾、ぷりっとしたお尻――コーギーかな?


「動物が好きなの?」

「うん。散歩している姿を見ると、つい目で追っちゃうぐらい」

「あはは、わかる。俺もやる」

「かわいいよね~。飼い主とペットの絆も感じられて、本当、尊い~って感じ」

「わかるわかる。散歩しているはずなのに抱っこされているのもかわいいよね」

「うんうん、わかるわかる」


 カイトとはできない会話内容に、つい楽しくなってしまう。


「じゃあこれは最後にするとして。次に行こう」


 次のコーナー、次のコーナー、次のコーナー。

 俺は初めての発見で溢れかえっているから楽しめているけど、ミーシャは楽しめているのだろうか。

 表情と声色で判断する限りでは楽しめていそうだけど……普段から来る場所で、果たしてそれが本心なのか疑ってしまう。


 本人の希望だから、退屈ではないのだろうが……内心ではどう思っているのか疑問を払拭できない。


 くぅっ~! なーんにもわからん!


「あっ、そういえば」


 次に足を止めたのは、記憶に新しいハサミコーナー。


「お揃いのハサミ、大事に使ってるよ」

「そ、そう」

「ミナトくんは、ちゃんと使ってる?」

「いやまぁ、その。まだ使いどころがなくて」

「ふぅーん? それはそうだよね」


 実際に必要な場面に遭遇していないから、机の上に置きっぱなし状態だ。

 というのは事実でもあり立て前。

 本音は、お揃いのハサミを持ち歩いていて、誰かに知られたら恥ずかしくて仕方がないから。


 偶然を装うことはできるだろうが、会話をしている姿を他生徒に見られている時点で無理がある。

 しかも思春期の男女が変な方向に噂を流さないわけもなく。

 そんな収束させるのが大変なイベントを発生させるわけにはいかない。


「透明感があって明るい色にしてよかったなって思ってるの」

「そう?」

「派手な色でも、案外探しにくいものってあるから」

「なんかちょっとわかるかも」

「1つ1つは個性的で目立つのに、混ざり合っちゃうと記憶に残らないというか、存在が薄れちゃうというか」


 その表現、凄いよくわかってしまうな。

 まさに目の前にある文房具の数々は、どれも単体で見たら個性的で目立つし種類もある。

 でも全体を俯瞰して見ると、ぼんやりと色と個性が混ざり合って1つのもの、という認識に変わってしまう。


 これは別のことにも当てはまり、学び舎もまた同じ。


「能力も個性も人それぞれなのに、周りに合わせ平たくなって」

「どこに行っても出る杭は打たれて」

「……いつも、何か起きて欲しいと思っているのに行動はできなくて」


 その意見を聞いてしまうと、辿るはずだった本来のルート、ゲームでは正規ルートが報われないというか救いがないというか。

 日常の中に非日常を望んでいた結果が、トラウマを抱えてしまうほどの最悪なものだったとは――今思えば胸糞展開すぎる。


 しかも表と裏、両方ともそのスタートだからこそ未来が変わるとしても助けてよかったと思う。


「でもね。そんな日常の中に凄いものを見つけたの。正しくは出会った?」

「なんでそこ疑問形なの」

「だって、言いにくいもん」

「何と出会ったの?」

「すぐに見つけられるような、そんな出会い」


 ああなるほど、ハサミのことか。


 ちょうどここで出会い、買って、実際に使っているわけだし。

 まあたしかに、沢山の色があるからこそ透明に近い青色って探しやすいかも。

 光を当てたら透き通るというか反射するというか、いい意味で異物感があって。


 文字通り異色という感じ。


「あ、そういえば他の店は行ってみる?」

「ミナトくんが大丈夫なら行きたいかな」

「時間的には1、2ぐらいになっちゃうけど」

「それでいいよ。じゃあ、さっきのメモ紙を買ってきちゃうね」

「うん」


 昨日ぶりに同じ光景を目の当たりにした。

 同じ店舗で、同じ背中を、同じ画角で。

 ゲームだったら何も思わないのに、キャラクター目線になった途端意識してしまうものなんだな。


 と、冷静に状況を分析しているが。


 いやもうこれ、完全にデートだろ。

 意識しないよう立ち振る舞っていたけど、無理全然無理。

 あんなかわいい美少女と2人っきりで買い物って、完全にデート以外ないでしょ。

 ミーシャがどう思っているかはわからないけど、俺はこのイベントをデートと認識する!


 距離感めっちゃ近いし、ちゃんと話してくれるし、目線を合わせてくれるし。

 あの透き通った金色の目も、目線と顔を商品に近づけるときの耳へ書き上げる仕草も全部かわいい!


 でもダメだ絶対に暴走するなよ俺。

 完全に嫌われるようなことはしちゃダメだ、間違っても勘違いはするな。

 平静に冷静に落ち着いて平常心を保って浮かれることなく話すんだ。

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