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エンドコンテンツ裏ボスである主人公の親友に転生した俺、最強だがいずれ敗北が確定しているため、ハッピーエンドを目指して学園生活を謳歌する  作者: 椿紅颯
第四章

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第27話『いよいよ来てしまいました放課後』

「やっほー」


 いよいよ訪れてしまった、放課後。


 門の壁付近で待っているミーシャを発見し、近づいて説明を始める。


「紹介するってやつ、どうやら用事があるみたいで今回は来ない」

「そうなんだ?」

「だからその、2人だけで行くことになっちゃったけどよかった?」


 今更になって、いろいろと考えが浅かったことに気付く。

 だってこの状況で断られたら、心へのダメージが尋常じゃない。


「うん、大丈夫だよ」


 よ、よかったぁ~!


「じゃあ時間も惜しいから、歩こ」


 歩き始めたミーシャに追いつき、肩を並べて歩き出す。


 時間も時間だから、周りも同じように歩いている人たちの姿がある。

 男同士、女同士、男グループ、女グループ。

 中には、恋仲なのかわからないけど男女のペアも居たり。


 いつもと変わらない、穏やかな時間が流れ――正しくは俺が生きていた日常ではないけど、確かに心が落ち着く。


「……」


 青空の下、隣には金髪美少女。

 どう考えても俺が知っている日常ではない。


 違う違う、素直に言うけど何を離したらいいのかわからなくて目線を景色に逃がしているだけだ。


 女子と2人だけで道を歩いた経験なんてしたことないから、本当にどうコミュニケーションをとったらいいのかわからない。


「ミナトくんって、得意な魔法って何?」

「ま、魔法? えーあー、平均的かな。苦手な魔法がないとも言える」

「そうなんだ、凄いね。私は攻撃系の魔法が苦手なの。あと自分で体を動かすのも」

「これから頑張っていけばいいよ。まだまだ先は長いんだし」


 なんともまあ、当たり障りのないようなことしか言えない。


 だって、こんなシチュエーション慣れてないから!

 幼き記憶を辿れば初めてじゃないことは確かだけど、全く状況が違いすぎるってば!


「そ、そういえばさ。選択授業はどっちにする予定なの?」

「俺は後衛術の方だよ」

「そうなんだ。私も後衛術の方にしようかな」

「さっきの話だと、得意を伸ばすか、苦手を伸ばすか迷っている感じ?」

「うん、そうなの」


 ゲームの知識すげぇ~。

 表ルートを経て会話をすると、カイトと同じことで悩んでる。

 各選択肢によってルートが変わるからこそ、ミーシャが決まっていない=カイトも決まってない、ということなのだろう。


 であれば、逆にここはミーシャの選択を現状から変えなければならない。

 このままだと3人が一緒になってしまい、ミーシャは顔見知りの俺と会話する頻度が増えてしまう。


「でもやっぱり、平均的にできた方がいいと思うし前衛術を選択した方がいいんじゃないかな」

「どうして?」

「ほら、俺も平均的って言ったでしょ? ある程度のことを誰にも依存せず対応できた方が自分で身を守ることもできるようになるわけだし」


 さすがに恐怖体験をした人間へ伝える内容ではないと思うけど、嫌な記憶がいい具合に作用してくれたら自然と説得力が増してくれる。


「……それはそう、かも」


 目線を下げ、やはり記憶が蘇ってしまっているようだ。

 悪いことをしている自覚があるけど、本当にごめん、ハッピーエンドへ行き着くため許してほしい。


「でも私……こんなときに言うことじゃないかもしれないけど。あんまり話せる人が居なくて」


 なるほど、これはアリサが言っていた内容でもあり、物語的には間違った方向へ進んでいない証拠でもあるな。


「そこも逆手にとったら、新しい出会いが待っている可能性もあると思うよ」

「それはそうだけど……」


 ふと辺りへ目線を向けてみると、気づけば周りの生徒は減っている。

 帰路に就かず制服のままショッピングモールへ直行する人は少ないようだが、代わりに様々な声と美味しそうな匂いが増えてきた。


 別の移動手段も方法としてはよかった、と今更ながらに少し離れた場所で停車したバスを見て思う。


「まあ一応、選択後も1回だけ変更可能だから試す期間だと思っていいかも?」

「なるほど、それはたしかに」

「でも正直に言うと、学年が始まって1か月以内に決めなくちゃいけないって、随分と急かされている気分になるよね」

「うん。私みたいに迷っている話、やっぱり聞こえてくるもん」


 あっちの世界を基準で考えても早すぎる話だとは思う。

 一応は同じく1か月以内に決める選択内容はあったけど、体育の屋内と屋外のどちらを選んでも大差がないものだったし。


 でもこっちの世界を基準に考えると、冗談抜きで護身の技術を会得する必要があるから仕方ないのかもしれない。

 そういえば、この世界って卒業した先にある就職先って何があるかわからないな。

 高校と大学が一貫している学園だから、卒業後までエスカレート式までしか描かれていなかったし。


「こんな時期から進路についた考える必要もあるってことなのかな」

「進路?」

「就職先ってやつ」

「たしかにそうだよね。私は今のところ決まってないけど、ミナトくんはどうする予定か決まってたり?」

「いやまったく」

「清々しいぐらいの即答だね」


 エンドコンテンツのラスボスとして命を落とす日は、3年後の冬。

 学園は合計で7年間だから、その先について考えている余裕もなければ憧れもない。

 全てが問題なくハッピーエンドに終わったとして、そこから先のゲームでは用意されていないであろう未来を生きることはできるのだろうか。


 ゲームクリアしたら現実に戻される可能性もあるわけだから、今のところ考える余裕がないことが先頭に来て、将来を考える必要がないのでは、とも思ってしまっている。


「一般職、魔法関連。大きく分けて2つだけど、さらに細かく見ると膨大な量でもあるからね」

「そうそう。先の未来ばかり見ていて、今を疎かにはしたくない」

「一理あるね。でも私は、その考えに行き着くため選択授業を決めないとだけど」


 でもそういや、そもそも戦闘のためしか思えない魔法を授業として取り入れているんだ?

 作中では語られなかったけど……先生の戦いっぷりを見たら、護身以上に必要な何かはありそうだけど。


「そういえば今日、大丈夫だったの?」

「ん?」

「授業中にモンスターの襲撃があったって聞いたけど」

「あったね。全然大丈夫。逃げ遅れたけど、先生が瞬く間に討伐してくれたから」

「よかったぁ」


 話をしていると時間の経過は早いもので。

 気づいたらショッピングモールが視界に入ってきて、賑やかな声はすぐそこに感じられる。


 でもよかったぁ~。

 会話が途切れて変な時間が流れたらどうしようと思ったけど、運がよかったよ。

 ショッピングモールでは話題が尽きないだろうし、今だけはルートを考えずに楽しもう。


 しかも人生初めて女子と1対1のおでかけだしっ!

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