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エンドコンテンツ裏ボスである主人公の親友に転生した俺、最強だがいずれ敗北が確定しているため、ハッピーエンドを目指して学園生活を謳歌する  作者: 椿紅颯
第四章

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第25話『貴重な休み時間を活かせばいい!』

 授業中にも妨害が入るのなら。

 いっそのこと、休み時間を有効活用すればいい。


 そう考えた俺は、貴重な時間を活かすべく教室から飛び出して外に出る。

 中庭にあるベンチに座れば、誰にも邪魔はされないはず。

 昼休みじゃないから大丈夫だろう。


「ふぅ。これで考え事ができる」


 さて、と。

 放課後まで時間はあるけど、代案が何も思い浮かんでいない。

 さっきみたいなイレギュラー的なことが起きてくれたら助かるが……予想外だからいいのであって、意図的に起こすのは困難だ。


 雨……とかどうだろうか。

 圧倒的な力を利用し、大魔法に値する水魔法を発動させ少し洪水するぐらいに調節して。

 演出のために雷を発動させるのもいいな。


「何か手伝おうか?」

「ありがとう、一緒に考えてくれると助かるよ」

「わかった」


 ん?


「え」

「ん?」

「どうしてアリサがここに」

「さっきの授業が早く終わって、時間を持て余していたの」

「偶然ここに?」

「そうだけど。わたし、あそこに座ってたよ?」


 アリサが指さす方へ目線を向けると、通路横の壁だった。


「椅子に座るのはなぁ~って思ってたから」

「それで草の上に?」

「さっきから質問ばかりだね。逆に質問するけど、座るとき視界に入っていたと思うけど、気が付かなかったの?」

「う、うん」

「まあ考え事しているみたいだし、それは仕方ないとして。何に困ってるの? お金で解決できそうなこと?」


 焦っていると人は視野が狭くなる、と聞いたことがある。

「まさかそんなことがあるわけない」と思っていたのにな。

 独り言を零してしまった失態も加えて、諸々なんてタイミングなんだ。


 頭を抱えたいところだけど、今の「お金で解決できそうなこと?」という助け舟を出してきた令嬢に、付け入る隙を与えてしまうからできない。

 なんせ、アリサも程よく距離感を遠目に維持し続けたい存在なのだから。


「大したことじゃないから大丈夫だよ」

「でも凄く困ってそうだった。眉間に皺を寄せて」


 くぅっ!

 誰にも観られていないと思っていたから油断していた!

 どうにか話を逸らすことはできないものか。


「そ、そういえばファッションの勉強はどんな感じ?」

「うーん、初めてのものが多すぎて自分に合う服を探すのが大変かな」

「わかる。俺も雑誌に目を通したけど難しいよね」

「ドレスだったら抵抗がないけど、全部が冒険になっちゃうからねぇ」


 現実離れした感想を述べているが、たぶんドレスコーデの方が高いから安心して買い漁ればいいのでは、と純粋に思ってしまう。

 銀色の髪は何にでも会うだろうし、そもそも美少女枠に入る容姿なのだから、遠慮なく自信を持って沢山のコーデを試せばいい。


 なんて無責任かつ投げやりなことを言うわけにはいかず。


「女性もののファッションはアドバイスできないけど。ドレスに似ているワンピースとかから試してみるといいんじゃ?」

「……やっぱり?」

「世間知らずな一般市民的な意見だけどね。服の勝手が同じかどうかも想像でしかないよ」

「わたしもそう思ってたの」


 まあ自然な流れではなる。

 いい感じに話を続けられているし、このまま――このまま?


 そうだよそう、俺は会話を楽しむわけでも弾ませるためにここへ来たわけじゃない。

 放課後の作戦だよ! 作戦!

 で、でもアリサと話をしながら別のことを考えていたら、たぶんボーっとして深堀されてしまう。


 くっ……。


「も、もしもだけどさ」

「うん?」

「誰かと約束をして、それを断りたいときはどうしたらいいと思う?」

「ん~。一番は素直に伝えることかな。急用だとしたら誰にだって怒る可能性がある話だし、はぐらかされたり無言で集合場所へ行かないのはダメだね」

「まあそうだよな」

「約束を無下にされると悲しい気持ちになっちゃうからね。だから誠意をもって誠実に対応することが正解だと思う」


 迷っている暇があったら直球に、ということだよな。

 ましてや今だったら放課後まで時間があるし、アリサの言う通りに考えて悩んでいた時間は過ぎ去ってしまった。

 即答は無理でも、次の休み時間にでも伝えていたら俺だって考えている時間を別のことに充てられたわけだし。


「昨日言ってた親友と出かける予定だったの?」

「いや、隣クラスの女子と……」

「ふーん、女子とね。ミナトって案外そういうタイプだったんだ」


 あっかーん!

 口が滑った!


「もしかして。一昨日、廊下で会った金髪の子?」

「う、うん」

「綺麗だったもんね。わたしと違って、お淑やかで清楚って感じの」

「どうしたどうした」

「誰からも好かれる感じだったもん。わたしと違って」

「落ち着いて?」

「身長は同じぐらいだけど、胸だって大きい方だったもんね。わたしと違って」


 暴走モードに入ってない? 話聞こえてる?

 腕を組んで目線を合わせてくれないし、足を上下に揺すって苛立ちが表面化し始めた。


「一旦、話を聞いてくれ」

「なんの? その子が好きになったって話?」

「違う違う。元はと言えば、俺の親友に繋がる話なんだ。アリサと同じく紹介する目的があって、放課後に3人でショッピングモールにでも行こうって話で」

「ふーん、そうなんだ」

「そうそう。でもさ、あいつモテすぎるから毎日毎日女子から告白されていて。今日はとんでもないほど移動することが発覚して、その子と2人で行くことになって」

「それはまあ、仕方ないと言えば仕方ないかもね」

「だろ? 当初の目的通りだったら、断るかどうかも考える必要もなかったんだ」


 ここまで話しておいて思うが、なぜ俺は浮気を疑われた彼氏みたいにアリサを説得しようとしているんだ?

 素直にそう思うが、関係を悪化させて復縁できなくなってしまうのは避けなければならないのは事実。


 いい感じに落としどころを見つけて納得してくれ!


「じゃあ、その子とのデートは断るんだ」

「デートなんて大袈裟だ。知り合って2日目だぞ」

「わたしも2日目だよ」


 アリサは何を張り合っているんだ。

 でも腕組と足を揺すらなくなって顔をこちらへ向けてくれた。

 このまま話を進めたら大丈夫……と信じたい。


「でもわたしともお出かけしてくれるなら、その子とも行っていいよ」

「ん? どういうこと?」

「その子だって、もしかしたら楽しみにしているかもしれないし」

「流れ変わった?」

「わたしも他人のことは言えないけど、誰かと話しているところ見たことないから」


 そんな話題、初めて知ったぞ。


「クラスが違うから明確なことは言えないけど」


 言われてみたら、ゲームスタート時期は1年生の1学期が始まって間もないタイミングだ。

 だからこそ、学年全体的に関係際の浅さが垣間見え、しかしカイト・ミナト・カリナの長い関係性が際立つものになっていた。


 でも冷静に考えたら、それ以前の話もあって不思議ではない。


 たった2週間されど2週間。

 交友関係を築くには短すぎないし、グループだって形成されていてもおかしくはない。

 俺も現実世界で経験したからこそわかるし、学び舎という場所が知らない土地だからといって大幅に変わることもないだろう。


「だから、わたしはその子と2人だけで行ってもいいと思う」

「それはそれ、これはこれ。随分と話が急展開で変わったね?」

「あ、もう10分経っちゃったんだね」


 2階渡り廊下の壁に設置してある時計へ目線を移動させると、アリサが言っている通りに時間が過ぎていた。

 つまり、もう自教室へと戻らないといけないということ。


「それでも断る理由にお金が必要だったら、いつでも言ってね」


 アリサは立ち上がりながら、とんでもないことを言い始める。


「避難場所が必要だったら、わたしの部屋に来てもいいから」

「そこまでは頼れないよ」

「大丈夫だよ? 寮じゃないから。出入り自由。門限なし。お泊りも大丈夫っ」


 だんだんと笑顔になり、楽しみ始めていることを察する。


「じゃあお先~。またね」


 俺が立ち上がる頃には、既にスタスタと小走りで去り始めていた。

 言葉を返さず見送るも、一応は新規の作戦を練ることができたな。


 アリサに頼る選択肢と素直に断る選択肢。

 断るなら次の休み時間に伝えた方がいいだろうけど……。

 可愛そうだからとか同情するから、とかいう理由じゃない、決して。


 でも、独りでいる時間が長いと寂しい気持ちになることもわかる。

 話せるクラスメイトが居ても、なんとなく友達っぽい人が居ても、その寂しさは拭えない。

 それどころか増していく。


「……断らずに、行こうかな」


 アリサも美少女枠だが、ミーシャだって同じだ。

 であれば、1回ぐらい助けた恩を返される、ぐらいの気持ちで出かけたっていいじゃないか。

 役得ってやつだよ、うん。

 今回を逃したら2度と訪れないラッキーイベントかもしれない。


 ああそうだ、プラスに考えよう。

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