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エンドコンテンツ裏ボスである主人公の親友に転生した俺、最強だがいずれ敗北が確定しているため、ハッピーエンドを目指して学園生活を謳歌する  作者: 椿紅颯
第三章

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第18話『エンドコンテンツラスボスVSボス』

 駆け出したものの、そもそもボスはどこに居るのか。


 プレイヤーとしてゲートへ入るのは、ラスボス戦だけだったから構造や仕組みを理解していない。

 仕様として『ボスを討伐するとゲートは消失する』という認識はある。

 ダンジョンみたいな場所とは違って、ボス部屋があるようには思えないし、階層を上がったり下ったりした先にボスが居るわけでもないだろう。


 てか、移動速度が尋常じゃない件。

 モンスターが視界に入っても無視し、襲い掛かってきても無視し続けて。

 だから後を追われ、その数も増えている。

 振り返ったら数十体は確認できるはず。


「出現条件とかある?」


 ゲームだったら解決策または答えが選択肢で用意されている。

 でも現状だと、探るなら自分で動いて見つけなければならない。


 さて、どうしたものか。

 ボスの外見もわからないし。


「そうだ」


 握っている漆黒の剣の能力を思い出し、地面を擦りながら急停止。

 向かってくるであるモンスターの大群へ向かい、再び地面をける。


「――斬る!」


 接敵すると想像以上の数ではあったが、速度の限界はさらに思っている以上だった。

 木々を蹴って移動する、という1つの最適解を導き出せたおかげでモンスターをものの数秒で討伐完了。


 息を切らすことなく、目的を果たすことができた。


「なかなかに悍ましい」


 剣を持ち上げて目線を向けると、禍々しい黒いオーラを身にまとっている。

 これの正体は思念や怨念といったものではなく、魔力。


 そもそもの話、モンスターは魔力体という説が有力視されており。

 討伐することにより、魔力が解放される。

 魔力は空気みたいなものだから、別にそれ以外でも以上でもない。


 しかし、この剣は漂う魔力は管轄外だけど、モンスターを倒すと魔力を刈り取ることができる。


「天井がないことを祈って――」


 空へ跳ぶ。


 幸いにも天井らしきものはなく、辺り一帯を見渡せる高さまですぐに到着し、【闇裁の破壊ダークネス・デストロイ】を高く持ち上げる。


「――はぁっ!」


 自分の魔力を流し込むイメージも追加で試してみて、剣を振り下ろす。

 想定通りに黒いオーラを放つことに成功し、視界に収まる一帯に降り注いだ。


 そして落下が始まっているから、急いで目的の場所を探すべく目線を走らせる。


「――見つけた」


 標的発見。


 落下の最中、咄嗟に思い付いた自分の案を自画自賛する。

 辺り一帯への被害を考えたとき、祈る以外にも選択肢があることに気が付いた。

 消去法というなのゴリ押しで解決するなら、【聖裁の破壊ジャッジメント・デストロイ】を使用して同じ流れで魔力をぶっ放せば、一帯は消し炭になるだろうけどボスを流れで討伐できる。


 でもゲート外に実害が出るとすれば、次の日はニースの一面を飾ることになるだろう。


 しかし【闇裁の破壊ダークネス・デストロイ】であれば、デバフや封印を散りばめるだけで納めることが可能だ。

 そして効果が発動すれば、個体の位置を把握できる。


「――よし」


 着地と同時に地面に穴が開いて砂煙を起こしてしまったけど、ちょっと慣れてきている自分が居て怖くなってきた。


「このまま一直線だ――」


 再び地面を蹴り出し、察知した標的へ突き進む。


『グルルルル』


 到着するまで時間がかからなかったけど、さすがはラスボスのデバフ。

 ゲートの主でもあるボスだというのに、もはや立ち上がることすらできていない。


 せっかくの状況だからこそ、デバフを解除して正々堂々――なんてことはしないさ。


「悪いけど、このまま終わらせてもらうよ」


 警戒を解かず、地面に伏せた大型の狼モンスターの元へ歩き出す。


 誰かに卑怯だ、と言われるかもしれないけど。

 現在の状況で視聴者などは居ない。

 わざわざ危機的状況に陥る可能性を自ら広げる意味もないからね。


「これで終わり、と」


 剣を頭に突き刺し、1撃で討伐完了。

 目線を上げる頃にはゲート内だと判断できる、黒い靄は消え去っていた。


 しかし振り返るには、少しばかり勇気がいる。

 お願いしますお願いしますお願いします。


「――よかったー」


 薙ぎ倒されたであろう木々はなく、一直線にできた伐採後もなく、息を吐き出し安堵できる時間が訪れてた。


 ゲート内に居るとき、大半は外への影響だったもん。

 本当によかった。


「陰、陽もありがとう。またよろしくね」

『カーッ』

『ピーッ』


 一瞬で実態に戻った2匹は、元気よく返事してくれた。


「陰、おいで」


 右腕を差し出し、言われるがままに乗ってくれた陰は首をクイックイッとひねっている。


「普通に考えて、こうすればよかったなって」


 左手で、お腹を撫でる。

 サラサラフワフワな感触が絶妙に心地良く、陰も気持ちよさそうに目を細めたり、おっとりとした表情をしている。

 犬や猫と違って、頭が小さいから指で撫でる感じでいいのかな。


 すっごい気持ちよさそう。


「どう? 痛くない?」

『ピィ』

「よかった」


 声も優しい感じで、本心が伝わってくる。

 初めて、こういう風に直視すると本当にかわいい。

 そもそも生きていて、鷲を間近で観察することすら叶わないだろうから貴重な経験だよな。


「そろそろ交代しよっか」


 物分かりがよくて助かる。

 陰から、少し名残惜しそうな気配を感じたけど文句を言わず再び飛んでくれた。


 次は左腕を持ち上げ、陽が乗ってくれる。


「おぉ」


 同じく、腹を撫でると同じくサラサラフワフワな感触でも、確実に違いがある。

 具体的に詳しく、と言われると説明に困っちゃうから言えないけど。


 目を細めておっとりする表情は、みんな同じなのだろう。

 本当に気持ちよさそうにしてくれている。


 烏に関しては、生きていたら目にする機会は少なくない。

 実際に何度も見てきたし、道路でぴょんぴょん跳ねていたりしていたから身近な存在でもあった。

 でも、このなんだっけ……そう、アルビノって言うんだっけ。

 あまりにも純白な羽やくちばしは、初めて目の当たりにする。


「綺麗だね」

『カーッ!』


 それでいて、俺の言葉を完全に理解しているのだから凄い。

 ゲーム的な要素、と言われたら終わりだけど、でも今の俺には本当にありがたいことだ。

 だって現状だと、俺は永遠に孤立し続けることになる。

 なんせ、未来を全て把握する唯一の人間でありゴールを操作しようとしているのだから。


 こんなこと、誰に相談したり打ち明けられるって言うんだ。

 主従関係にある、もはや絶対的な関係性である陰と陽ぐらいにしか伝えられないし、でも言葉に出してしまうと誰かに聞かれてしまうかもしれない。


「そろそろ帰るよ」


 陽は名残惜しそうに飛び立ってくれる。


 今回は俺が先に去ることにした。

 見送るのも大切だと思うけど、いろいろ考えたせいか寂しさが押し寄せてきてしまったから。

 もしも今日が終わったら、元の生活に戻っていないかな、なんて希望を抱きつつ駆け出す。


 この世界で生活していく方が、なんでも自分でできるから気楽だし居心地がいいのは間違いない。

 だから、『今すぐ元の世界に戻りたい』と思っていないん自分が居るのもまた事実。

 誰かから「親不孝者」「現実逃避するな」なんて言われそうだけど、それもまた事実だし、でも今までが誰かに誇ることができる人生だったわけでもない。


 いつの日か思った、『このまま消えてしまいたい』という願望が叶ってしまったのかもしれないな――。

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