第44話 世界の理が揺らぐ時
黒い奔流が光を押し返した瞬間、
世界の守護者セラフィアの瞳が大きく揺れた。
「……この闇……
“破壊”ではなく……
“守るための闇”……?」
光の翼が震え、
世界の意志そのものが迷っているようだった。
(おい……世界の理が揺らいでるぞ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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ミュリエルが震える声で言った。
「ま、魔王様……!
セラフィア様の光が……弱まっています……!」
ガルドも驚愕していた。
「魔王様の闇が……世界の光を押し返してる……!」
「そんな大げさな……!」
(いや実際すごいことだぞ)
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セラフィアは剣を下ろし、
ヴァルナをまっすぐ見つめた。
「魔王ヴァルナ……
あなたの闇は……
“世界の拒絶”を超えようとしている……」
「……!」
「私は……世界の意志。
世界は魔王を拒む。
魔王は“破壊”の象徴……
それが……世界の理……」
光が揺れ、翼が震える。
「しかし……
あなたの闇は……
“守るため”に輝いている……」
(おい、セラフィアが完全に揺らいでるぞ)
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ヴァルナは涙を拭き、
まっすぐ前を向いた。
「私は……弱いし……怖いし……
魔王候補にも、王国にも、世界にも……
勝てる気がしない……」
(いやそこは正直だな)
「でも……!」
ヴァルナは胸に手を当てた。
「私を信じてくれる人がいる……
支えてくれる人がいる……
だから……守りたいの……!
魔王として……みんなを守りたいの!!」
(……お前、本当に強くなったな)
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セラフィアは静かに目を閉じた。
「……“守るための魔王”……
そんな存在が……本当に……?」
光が弱まり、
世界の意志が揺らぐ。
「私は……
あなたを排除するために生まれた……
世界の均衡そのもの……」
剣が震える。
「しかし……
あなたの闇は……
均衡を壊すどころか……
“新しい均衡”を作ろうとしている……」
(おい、世界の理が書き換わり始めてるぞ)
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バルゴが胸を張って叫んだ。
「魔王は筋肉で世界を守る!!」
「守らないよぉぉぉ!!」
(いやバルゴのせいで空気が台無しだな)
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セラフィアはヴァルナに問いかけた。
「魔王ヴァルナ……
あなたは本当に……
“世界に拒まれても”魔王であり続ける覚悟がありますか?」
「……!」
ヴァルナは震えながらも、
しっかりと頷いた。
「うん……!
私は……弱くても……
怖くても……
魔王として……前に進む……!」
魔力が走り、
影が輝き、
闇が世界を照らす。
「私は……みんなを守る魔王になる!!」
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セラフィアは剣を構え直した。
「……ならば。
あなたの“覚悟”を……
世界に示しなさい」
光の翼が広がり、
世界の意志が最後の判断を下そうとしている。
「魔王ヴァルナ。
次の一撃で……決着をつけます」
「っ……!」
(いよいよ……本当に最後の一撃だ)




